Guitar

エレキギターには適切なゲージの新しい弦を使用すべし!

お手持ちのエレキギターの弦、どれくらいのサイクルで交換していますか?

いつも張っている弦って決まっていますか?

ということで、今回はエレキギターに張る弦について考えて行きたいと思います。

一言にエレキギター弦と言っても多くのメーカーから、色々な種類の弦が発売されていて、さらにゲージ(弦の太さ)についても考える余地はあります。



目次

エレキギター弦のゲージについて

エレキギターのゲージとは弦の太さを表しています。6本セットで販売されている弦は各弦のバランスを考えて組み合わされています。以下、私も愛用しているElixirのゲージセット名を元にご紹介していきます。

なお、多弦ギター用の7〜9弦については各メーカーが模索中なのか、ゲージのバラツキが大きいため、今回は記載していないことをご了承ください。

基本的な考え方は、『太ければテンションが強い』で間違いありません。メーカーごとにテンションの差はあれど、太いゲージの方がテンションが強くなります。

実際には『太ければテンションが強い』は逆説で、テンションとチューニングは弦のゲージごとに固定なので、『太い弦で同じ音程を発音するためには、強く張らなくてはいけない』が真なのですが、プレイヤー目線で考える場合『太ければテンションが強い』で全く問題ありません。

ゲージを変更する際の注意点

ギターのナットやブリッジのサドルには弦の太さに合わせた溝が切ってあります。現在のゲージから変更するとナット溝に収まらなかったり、隙間が生じてしまいます。この場合、楽器店さんなどでナットとサドルの調整、交換をしてサイズのあったナット、サドルを使用しましょう。

また、ゲージを変更すると当然テンションも変わります。

テンションが変わることで、ネック、ブリッジ、弦高、オクターブなどの再調整が必要になります。これらの調整については下記記事を参照してください。

Super Light(0.09-0.42)


一般的なエレキギター弦の中でもっとも細いゲージがこのSuper Lightゲージです。D’AddarioではEXL 120 Super Light、Ernie BallではSUPER SLINKYがこのゲージです。

主にロングスケールのエレキギターをレギュラーチューニングで使用する際に使用されます。ミディアムスケールのギターには少々緩すぎる感もありますね。

  • 1弦 → 0.09
  • 2弦 → 0.11
  • 3弦 → 0.16
  • 4弦 → 0.24
  • 5弦 → 0.32
  • 6弦 → 0.42

Super Lightゲージの各弦はメーカーによって多少のばらつきはありますが、おおよそこのような構成になっていることが多いです。ゲージの単位はインチで表されるのが一般的です。

多くのギターメーカーの出荷時調整用ゲージとなっていて、ナット溝、サドル溝がこのゲージに合わせられている場合が多いです。別のゲージに張り替える際には溝の調整が必要なので注意しましょう。

1弦のゲージと6弦のゲージを抜き出して0.09-0.42と表されることが多く、『スーパーライトゲージ』と呼ぶ方よりも、『0942(ゼロキューヨンニー)』と呼ぶ方が多い気がします。実際私はゼロキューヨンニーの方がはるかに聞き慣れています。

Light(0.10-0.46)


このゲージはレギュラーチューニング用の太い方のゲージと考えるのが一般的です。D’AddarioではEXL110 Regular Light、Ernie BallではREGULAR SLINKYがこのゲージです。

主にミディアムスケールやショートスケールギターのレギュラーチューニング時に使用されます。人気のPRSなんかはSuper Lightよりもこちらを張るのがよいのではないでしょうか。

ロングスケールギターを半音下げ〜1音下げチューニングで使用する際にもこちらのゲージが良いのかもしれません。

  • 1弦 → 0.10
  • 2弦 → 0.13
  • 3弦 → 0.17
  • 4弦 → 0.26
  • 5弦 → 0.36
  • 6弦 → 0.46

メーカーによってはRegular Lightとも呼ばれるLightゲージです。これも『1046(イチゼロヨンロク)』の方が聞き慣れています。

少し話はそれてしまいますが、Super Lightの1〜3弦とLightの4〜6弦を組み合わせたCustom Lightなんてゲージを用意しているメーカーもあります。これは『0946ゼロキューヨンロク』と呼ばれます。

この0946は、現代のロックギターを演奏する上で実に理にかなっているゲージ構成で、チョーキングなどを多用するプレーン弦はテンションを抑えて弾きやすく、巻き弦を使用したバッキング、リズムギターでは芯のある低音を出すことが可能です。

Medium(0.11-0.49)


このあたりから箱モノギター用、もしくはダウンチューニング用の領域に入ってきます。D’AddarioではMediumやEXL115 Blues / Jazz Rockが、Ernie BallではPOWER SLINKYがこのゲージに近い構成です。

レギュラーチューニングではミディアムスケールでもかなりのテンションを感じます。個人的には、JAZZ用の箱モノギターに張って使用されているイメージがあるゲージです。

  • 1弦 → 0.11
  • 2弦 → 0.14
  • 3弦 → 0.18
  • 4弦 → 0.28
  • 5弦 → 0.38
  • 6弦 → 0.49

例によって『1149(イチイチヨンキュー)』と呼ばれています。近代ロックを演奏する上ではあまり耳にする機会もないかもしれません。

Heavy(0.12-0.52)


このゲージは完全にフルアコ、セミアコ用、もしくはダウンチューニング用だと思ってください。通常のソリッドギターでは、ネックとブリッジの問題でレギュラーチューニングにはならないのではないでしょうか?ちなみに、このセットでは3弦が巻き弦になります。

D’AddarioではMediumやEXL145 Heavy(3弦プレーン)が、Ernie BallではBEEFY SLINKY(3弦プレーン)がこのゲージに比較的近い構成です。

  • 1弦 → 0.12
  • 2弦 → 0.16
  • 3弦 → 0.24w
  • 4弦 → 0.32
  • 5弦 → 0.42
  • 6弦 → 0.52

太さを見比べるとお判りだと思うのですが、Super Lightの2〜6弦がHeavyの1〜5弦と同じゲージになっています。確証はないですが、3弦がプレーン弦で用意されていないことからも恐らく同一のものだと思います。

ということは、およそ2音半下げチューニングでSuper Lightのレギュラーチューニング時のテンションと同等ということになります。ちなみに、7弦ギターのSuper Lightでは7弦が0.52です。つまり、7弦ギター用Super Lightの2〜7弦を張っているのと同じ状態ということになります。

名前だけみて太い音が出そうなことから、初心者泣かせ(?)のゲージですが、間違えてもロングスケールのソリッドギターにレギュラーチューニングで張ることのないようにお願いいたします。

ちなみに、『1252(イチニーゴーニー)』と呼んでいる人は見たことがありませんし、使用している方もあまり見たことがありません。

Light-Heavy(0.10-0.52)


Light-HeavyというLightの1〜3弦とHeavyの4〜6弦を組み合わせたゲージも用意されています。3弦がプレーン弦となり、リードプレイ時にも演奏しやすいテンションになるので、ダウンチューニング時にも通常こちらのゲージを使用するのがおすすめです。こちらは『1052(イチゼロゴーニー)』と呼ばれていますね。

その他のゲージ


Super LightとLightを組み合わせたゲージ構成であるCUSTOM LIGHTのように、複数のゲージを組み合わせたセットが各社からリリースされています。

また、D’Addarioなどからは、Super Lightより細いゲージのExtra-Super Light(0.08-0.38)なんてゲージもあります。ぜひブラスナット、スキャロップド指板のストラトキャスターに張りたいところですね。



弦の素材について

エレキギターで使用される弦は殆どがニッケル弦、稀にステンレス弦です。ニッケル弦やステンレス弦と言っても、1〜3弦のプレーン弦、4〜6弦、多弦ギターの7〜9弦の芯線はスティールで出来ているのが一般的です。

ニッケル弦と比べてステンレス弦は硬度が高く、物理的な耐久性、耐摩耗性、耐サビ性能に優れるのですが、サウンドも同様に硬くなる傾向にあります。

現在の各社ラインナップを見る限り、耐久性を考えるのであれば後述のコーティング弦を使用するのがよいでしょう。

ちなみに、D’AddarioのEXLから始まるセット弦とErnie Ballの弦は全てニッケル弦です。

また、通常エレキギターの巻き弦は表面に巻いてある弦の凸凹があるラウンドワウンド弦ですが、巻き弦の表面が平らなフラットワウンド弦というものがあります。ロックやポップスで使用することはほとんどなく、主にジャズギターで使用されます。サウンドはエッジの取れた丸いサウンドで、手触りはプレーン弦のような感触です。

コーティング弦について

Elixirを皮切りに各社からコーティング弦がリリースされています。

コーティング弦とは、巻き弦の表面に非常に薄い酸化防止コーティングを施すことで、弦の寿命を伸ばした弦のことです。セットになっているプレーン弦も耐酸化性の強いものを使用していて、結果として通常の弦の3-5倍(Elixir)の寿命を誇るということです。

私も実際に使用していますが、通常の弦のようにプレーン弦の色が変わってきたから交換するというようなことはなく、巻き弦の音にブライトさが無くなってきたタイミングで交換しています。

また、コーティング弦は金属の表面に電気を通しづらいコーティングがされているために、弦アースが落ちづらいという意見を耳にしますが、私の環境では弦アースが落ちづらいと感じたことはありません。そもそも、プレーン弦やブリッジに一切触らず、巻き弦だけに触れている状況というのはかなりレアなケースだと思います。

前項でご紹介しているElixir以外にもD’AddarioやErnie Ballなど各社からコーティング弦はリリースされています。私は使ったことがないので、確かなことは言えませんが、市場での評判ではコーティングの品質についてはElixirが優勢のようですね。
DADDARIO / EXP120
DADDARIO / EXP120

ERNIEBALL / Coated Super Slinky
ERNIEBALL / Coated Super Slinky

弦の劣化について

まず最初に、『エレキギターの弦は消耗品』です。

当たり前のことですが、コーティング弦などで寿命が伸びたと言っても無限に使用できるわけではなく、製造された段階から劣化して行きます。

劣化した弦は重量バランスが悪いためチューニングが安定せず、サウンド面でも弦振動が安定せず、音が抜けて来なかったりします。また、弦の強度も落ちるため、弦が切れやすくなります。

劣化その1 – 弦は錆びる!

弦は金属なので、空気中の酸素と化合して酸化していきます。また、人間が素手で触るものなので、手の油脂によっても酸化していきます。簡単にいうと『錆びて』いきます。

使用後にしっかりと弦をクロスで拭く、など対処方法がないわけではないのですが、寿命が来る前に新しい弦に変えた方がよいのは間違いありません。

コーティング弦を使用していると、目に見えて錆びていくことはないのですが、ピッキングなどでコートが剥がれると、その部分から錆びていきます。

劣化その2 – 弦はすり減る!

弦を張り替える時に古い弦の裏側を見てみてください。フレットの跡がくっきりと残っているのが確認できると思います。弦とフレット、つまり金属同士を擦り合わせて演奏している以上、弦もフレットも磨耗していきます。

フレットだけではなく、金属製ナットやブリッジとの接点、テンションバーなど弦と金属が触れる場所や、ピックが当たる場所などでも弦はすり減っていきます。

すり減ることで、重量のバランスが崩れたり、コーティングがハゲてしまうので、気づいたら早めに交換しましょう。

コーティング弦では、ピッキングするあたりの弦に注目すると、剥がれたコーティングが弦の表面で毛羽立っていることがあります。こうなったらもう寿命と考えてよいでしょう。

劣化その3 – 弦は伸びる!

エレキギターの弦はギターに張っている限り、1本あたり5kg〜8kg程度の力で引っ張られています。

引っ張る力というとイメージがしづらいですが、それぞれの弦に2リットルのペットボトルを2〜4本吊り下げているのと同じ力と考えるとしっくりくるのではないでしょうか。イメージしてみると、弦が伸びて行くのが想像できると思います。

 

伸びること自体は当然想定されているのですが、他の原因とも合わさり、均一には伸びていきません。そのため、部分的に真っ直ぐに戻ろうとする復元力が変わってしまったり、重量バランスが崩れることで、弦振動が不安定になります。結果としてサウンド面、チューニング面に不具合が生じてしまうのです。

対処法としては、弾かない時は弦を緩めておく、といったところですが、ロック式トレモロ搭載ギターなどではかなり面倒な作業(個人の主観)です。必要経費と割り切って交換してしまうのがよいでしょう。

弦の交換時期

pickup_height

では、エレキギターの弦はどれくらいの周期で交換するのがよいのでしょうか?

これには様々な意見があり、どれも正解だと思うのですが、非コーティング弦であれば毎週、コーティング弦であっても月に1度は交換するのが私なりの目安です。

非コーティング弦は使用していると伸びる前に錆びてきます。プレーン弦を拭いたときに「キーキー」と鳴ったり、サビが見えたら交換、としているとだいたい1週間から長くても2週間くらいではないでしょうか。もちろん演奏する頻度や季節にもよりますが参考にしてみてください。

わかりづらいのがコーティング弦で、錆びるよりも前に伸びてきます。特に巻き弦が顕著なので、新品の時に比べて6弦のオクターブが目に見えてずれたら交換する、というのではどうでしょう。私の場合、だいたい違和感を覚えるのが張り替えてから1ヶ月目くらいです。敏感な方はもっと早いタイミングで感じることもあると思います。

また、巻き弦の表面の毛羽立ちが目立っても交換しています。だいたいオクターブが狂うのと同時期くらいに毛羽立ちが目立ち始める印象があります。

定期的にライブを行っている方は、ライブ前にリハーサルスタジオ入りするタイミングで交換するのもおすすめです。この方法だとライブには常に新しい弦で望むことができます。

交換時期Tips

弦を交換したタイミングで、ギタースタンドやギターケースなどのわかりやすい位置に日付をメモしておくことで、いま張られている弦が張ってから何日経過した弦なのかを正確に把握しておくことが可能になります。スマートフォンのメモ機能やカレンダー機能を使用するのも効果的ですね。

特に複数本のギターを使い分けている場合は、どのギターの弦をいつ交換したかを覚えていることは困難なので、メモっておくと安心です。



3行でまとめると

  • ゲージはしっかりと根拠を持って選ぶ!
  • 寿命を迎える前に弦交換を!
  • コーティング弦でも劣化はしている!

最後に

さて、今回はエレキギターの弦について注目してみました。

各メーカーごとのサウンド特性など高尚な方向にいけなかったのは、ここ数年ElixirのSuper LightとLightしか使用していないからです。いったん使用する弦とゲージが決まってしまうと、全てのギターをその弦用に調整してしまうので、別の弦を試す気になれない、というのが一番の原因です。

ともあれ、弦のメーカーによる違いよりも、弦の新しさ、古さによる音質の変化を気にして使用していくのがよいと思います。

使用する弦をネットショップなどでまとめて購入しておくと、弦のストックが切れて張り替えられないといった最悪の事態を避けられるのでおすすめです。

 


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