Headphone / Earphone

音楽業界標準!現場のプロも必ず使用している定番機器10種

どんな業界にも業界標準というものがあります。ライブ現場や音源製作の現場にも当然定番機器と言われるものがあります。

今回は、そんな音楽業界の定番機器を10種ご紹介いたします。

ケーブル一つ取っても音質や取り回し、耐久性など様々です。

例えば、高音が綺麗に伝わるケーブルと言っても、何と比べて綺麗に伝わるのかという基準が必要になってきます。

項目別にそれぞれの基準となる業界標準の機器をご紹介していきます。フラットな状態とは、これらの機材を組み合わせて使用している状態と思っていただいて間違いないです。




目次

定番ヘッドホン


業界標準のヘッドホンと言えばSONY MDR-CD900STです、

帯域ごとのバランス、定位感、音像の分離に優れたヘッドホンで、モニター用、MIX用ヘッドホンの基準になるサウンドです。

機器のサウンドに与える影響は入り口(マイクなど)と出口(スピーカーなど)に近いほど大きくなります。このことからも音の出口であるヘッドホンに業界標準のMDR-CD900STを使用するメリットは大きいです。

定番ボーカルマイク

通称『ごっぱ』、ボーカル用マイクロフォンの定番はSHURE SM58-LCE/SEです。LCEはスイッチなし、SEはスイッチ付きの型番です。

スタジオや多くのライブハウスで何も言わなければこのマイクが出てきます。

周波数特性を見ても特にフラットな特性のマイクロフォンではないのですが、長きに渡り業界標準となっているために、このマイクがフラットなセッティングの基準となっています。PAエンジニアは手元でON/OFFが可能なスイッチ付きのSM-58SEを使用することが多いです。

環境によりサウンドが変化しづらいことや、耐久性に優れており壊れにくいこと、また、比較的安価で数を揃えやすいことが特徴です。

ボーカル用マイクは各社からいろいろなものが出ていますが、まずはこのSM58を使ってみてから考えるのがよいでしょう。

定番楽器用マイク


通称『ごーなな』、楽器の集音用マイクロフォンの定番SHURE SM-57LCEです。

極端な話、前出のSM58とこのSM57があればPAオペレートは出来てしまいます。

スネアドラム、ギターアンプなど中域〜高域を拾うのが得意で、主に近接集音が可能な楽器に使用されます。オフマイクにも比較的強く、ドラムスのオーバーヘッドマイクなどの集音も可能です。

周波数特性や許容入力音圧の関係で、バスドラムなどの低域楽器の集音には別のマイクが使用されることが多いですが、レコーディングにも耐えうる楽器用マイクロフォンです。比較的安価なのも使われる理由ですね。

余談ですが、SM58も、SM57も外箱にLEGENDALY VOCAL/INSTRUMENT MICROPHONEと書いてあります。SHUREからみても公式に伝説のマイクロフォンということのようです。

定番DI

ライブハウスなどでのシェアを考えると間違いなくBOSS DI-1がDI界の業界標準です。ギターのライン録り用などのために一つ持っておくのもよいでしょう。

BOSS(ROLAND)は安心と信頼の国産メーカーです。DI-1自身もボックス本体が堅牢な造りになっていて壊れにくく、サウンド面でもクセのない、扱いやすいDIになっています。

他にもベース用DIにはCOUNTRYMANのTYPE85やRADIALのJ48、アコースティックギターにはBSSのAR-133などがよく使用されています。

DI-1は本体で位相の反転が可能なのですが、NOR(ノーマル)状態だとなぜか3番Hotです。INV(2番Hot)にして使用しましょう。

また、ミキサーやオーディオインターフェースからファンタム電源を供給して使用する際、グラウンドリフトスイッチを有効にして1番ピンを浮かすとDI-1に電源が供給できなくなります。中に電池が入っていれば使用可能なのですが、この点にも注意が必要です。

定番マイクスタンド

マイクスタンドではK&M ST210/ST259が広く使用されています。K&M(ケーアンドエム)はドイツのメーカーKönig & Meyerの略です。

ボーカル用などのレギュラーブームスタンドがST210、楽器用などのミニブームスタンドがST259です。他にもストレートスタンドのST200など多くのラインナップがあります。




定番マイクケーブル


ライブハウス、スタジオなどでよく使用されている標準的なマイクケーブルはCANARE(カナレ) L-4E6Sで、このケーブルがフラットな特性の基準です。

BELDEN 8412の中低域が太いというのも、L-4E6Sと比べて中低域が太い、と言い換えることができます。

ケーブルメーカーはカナレ、モガミ、オヤイデ、プロヴィデンスなど日本メーカーが頑張っていますね。

音響屋さんは、基本的にコネクタのついた既製品のケーブルを買うことがありません。切り売りのケーブルとコネクタをそれぞれ別に買ってきて、ケーブルを自作した方が安価な上、好みの長さに調整可能だからです。

ケーブルの自作にチャレンジしたい方は上記リンク先の記事をご参照ください。画像付きでケーブルの作り方を解説しています。

XLRコネクタ

キャノンコネクタ界ではITT CANNONのXLR3-11C / XLR-12Cと、
NEUTRIK NC3-FXX(B) / NC3-MXX(B)がよく使用されます。

ITT CANNONのコネクタ

ITT CANNON(アイティティキャノン)は日本のコネクタメーカーで、長年の信頼と実績があります。XLRコネクタのことを一般的にキャノンコネクタと呼称しますが、ITT CANNONのコネクタだからキャノンコネクタというようになったのがスタートです。

ITT CANNONのコネクタはネジ固定式でケーブルの半田付け部分やコネクタとケーブルの境目がしっかり固定されています。反面、ケーブル作成や修理の時にドライバーを使用しなくてはならない手間がかかるのが難点です。

また、使用中のネジ滑落を避けるために、熱収縮チューブなどを被せて使用することが多いです。

NEUTRIKのコネクタ

NEUTRIKは後発ながら、ドライバーを使用しなくても作成できるという利点もあり、広く使用されています。

型番の末尾にBと付くモデルはカラーが黒のモデルです。カラーが違うだけでなく、端子の金属部が金メッキをされています。メッキによる音質の変化を気にされる方は通常のB無しモデルを使用するのがよいでしょう。

かつてのコネクタはオスのロック部分の金属が折れやすく、不評だったのですが、モデルチェンジされたコネクタはロック部分が強化されていて安心です。

定番レコーディングマイク

ボーカルレコーディングで使用されるマイクの定番がNEUMANN U87です。

レコーディングスタジオの機材リストには必ずと言っていいほどこのマイクが載っています。

周波数特性のフラットさは群を抜いていて、ボーカル録音だけでなく、そのフラットな特性を活かして楽器用のオフマイクなどにも多用されます。

モニタースピーカー

同じくレコーディング用のニアーフィールドモニターの定番がYAMAHA NS-10M STUDIO、通称『テンエム』ノンパワードの2wayスピーカーです。

10Mにはバリエーションモデルが山ほどあるのですが、定番となっているのは10M STUDIOです。

サウンド面では中域に癖があるように感じるんですが、小音量でも安定して鳴り、定位感や分離感の良いモニターです。

フラットな特性でおすすめしたいところなのですが、実は大分前に廃番になっているんです。それでも今現在、スタジオで使用され続けているモデルなんです。

リファレンスCD

PAエンジニアはスピーカーと会場の部屋鳴りなどの癖を均すために、チューニングという作業をします。ライブ会場などで聞こえる「ワンツーワンツー」というのが声でチューニングをするときの一般的な方法なのですが、2MIXや楽器の鳴りを確認するためにCDを流してチューニングをすることもあります。

そのチューニング時に流すCDがリファレンスCDといい、エンジニアが2MIXの中身のサウンドを把握できているCDが用いられます。

このリファレンスCDの定番がDonald Fagen(ドナルド・フェイゲン)のThe Nightfly(ナイトフライ)というアルバムです。もっと言うと1トラック目のI.G.Y.(What a Beautiful World)という曲をよく使用します。

なぜこのCDがエンジニアに使用されているかというと、過度なエフェクト処理がされておらずサウンドが活きていること、音数が詰め込まれておらず音の分離、定位感がよいこと、サウンド全体が圧縮されておらず、ダイナミックレンジが広いことなどが挙げられます。

個人的には、ドナルド・フェイゲン氏のサウンド面へのこだわりというのが色濃く出たサウンドなんだと思っています。自分よりも世界的に評価されている人の聴覚、センスにあやかろう、といった感覚で使用しています。

また、これを流してチューニングしていると、ベテランの主催者や舞台監督に『ちゃんとした音響屋が来た』という安心感を与えることもできますよ。

このアルバムでは現代のEDMのサウンドやサブキックなどローエンドの確認は厳しいです。別のリファレンスも合わせて使用するのがよいでしょう。




3行でまとめると

  • 音質だけでなく耐久性なども優秀!
  • 国内で入手しやすい!
  • 耳を鍛えるにはこれらの機器を使用するのがオススメ!

最後に

エンジニアが初めて触るミキサーのマイクプリ部のサウンドを把握するには、SM58をL-4E6Sでミキサーに接続し、CD900STで自分の声を聴くのが最も確実です。こうしてミキサー以外がフラットな状況を作り出すことで、ミキサーのキャラクターを浮き彫りにすることができるからです。

これらの定番機器は音質の基準になっているだけでなく、耐久性に優れているものが多いこと、そして日本国内で比較的安価で入手しやすいことも特徴です。入手のしやすさは非常に重要な要素で、万が一のときにすぐに代替品が手に入る安心感はなにものにも変えられません。

今回ご紹介した定番機器の中でもDTMなど音楽製作を行う人に特にオススメしたいのがヘッドホンです。CD900の音を聴き慣れておくことでMIXの定位感、音の分離感などを判断することができるようになります。

 

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