ギター・ベース初心者の方でも仕事でギター・ベースを触る方でも、必ず使用するものの一つとしてチューナーがあります。
ギター・ベースを持ち運んだり弦を張り替えた後などはチューニングが不安定になるため、音を出す前にチューニングをすることはよいことです。
どんなにいい演奏でもチューニングが合っていないと台無しです。というか、チューニングが合っていない段階で音楽的に良い演奏ではありまえません。
今回はギタリスト・ベーシストであればだれでも必ず持っている(であろう)チューナーについて解説していきます。
目次
チューナーの種類
チューナーと一言で言っても、様々な種類のチューナーがあります。
基本的に適切なタイミングでチューニングを合わせることが出来ればどれを使ってもよいのですが、ここからはチューナーの種類について確認していきます。
コンパクトチューナー
一般的な単体のチューナーです。正式なカテゴリ名称がよくわからないのですが、コンパクトチューナーやただ単にチューナーとしているメーカーが多いように思います。
比較的小型でギター・ベースケースに入れて持ち運べるので、ケースに入ってるという方も多いのではないでしょうか。多くの製品は単三・単四電池で駆動し別途電源を必要としないのも便利です。
ペダル型チューナー
ペダル型チューナーは、コンパクトエフェクターのような形状をしたチューナーです。9V電池やACアダプターで動作するものが多いですが、中には単三電池で駆動する製品もあります。
多くの製品はペダルを踏むとチューナーがONになると同時に出力がミュートされてギターアンプなどから音が出なくなります。
以前の製品ではチューナーOFF時にも信号がバッファーを通過する構造による音質変化を嫌う方も多くいらっしゃいましたが、現行機種では高品位バッファーを使用していたり、トゥルーバイパス機能がついていたり、音質変化を最小限に抑えている製品も多くみられます。
クリップチューナー
基本的にアコースティックギターで使用される方が多いですが、エレキギターでも使用している方を見かけるのがクリップ式のチューナーです。CR2032、いわゆるボタン電池で駆動する製品が多いです。
ヘッドに取り付けて、楽器本体の振動から周波数を検知する構造になっています。周りで音が鳴っている状態ではチューニングがしづらいですが、コンパクトチューナーよりもさらに小型で持ち運びが非常に楽なのが特徴です。
マルチエフェクター内蔵チューナー
デジタルマルチエフェクターやデジタルプリアンプにはまず間違いなくチューナー機能が内蔵されています。
チューニングのためにマルチエフェクターを使用する方はいないと思いますが、マルチエフェクターを使用している方は別にチューナーを持ち運ぶことなくチューニングが可能になります。
ラックマウントチューナー
ラック型プリアンプや、マルチエフェクター、ワイヤレスなどを使用されている方は、1U分のスペースを使用すればチューナーをラックに内蔵できます。
チューナー用の配線を組み込んでおけるのが便利で、ワイヤレスレシーバーのチューナーアウトから繋ぎっぱなしにして使用するのが一般的です。
ペダル型やフロア型マルチエフェクター内蔵チューナーよりも設置位置が高く表面積が広いので視認性が良いという特徴があります。
その他のチューナー
大きく分けるとここまでにご紹介した5種類が多く使用されていますが、他にもいろいろなタイプのチューナーがあります。
ここではその中から2種類をご紹介していきます。
ギター内臓型チューナー
ピックアップのエスカッション部分やボリュームノブ、ヘッドの裏など目立たないところに内蔵されているチューナーです。エレクトリックアコースティックギターのプリアンプ内蔵チューナーもここに分類されるでしょうか。
今回ご紹介する中では持ち運び時に最もかさばらないチューナーですが、電池を内蔵するため、ギター本体に加工が必要であったり、重量が増加することによる音質変化が起こるのでそこを許容出来るかどうか、と言ったところです。
音叉やチューニングパイプ
とてもアナログな手法ですが、音叉やチューニングパイプもチューナーと言うことが出来ます。自身が基準音を発して、それに楽器の音を合わせることでチューニングを行います。
ちなみに、以前携帯電話の「ツーツー」がG音だと言われたことがあって、録音してみたのですが、微妙に高かったです。調べてみたところ、「ツーツー」は400Hzだそうです。G音(G4)はA=440Hz時に391.995なのでだいぶ違いますね。
状況・用途で選ぶチューナー
さて、ここまでいろいろな種類のチューナーをざっくり見てきました。近年は小型のチューナーでも非常に精度が高い製品が多く、楽器のチューニングに関する精度についてはラックチューナー一強というわけではなくなってきました。
先ほどまでは主に携帯性についてみていきましたが、ここからは実際に使用する状況ごとに使いやすいタイプのチューナーをご紹介していきます。
スタジオ
リハーサルスタジオではライブ本番よりも長時間楽器を演奏することになると思います。チューニングが気になるたびにチューニングを直したり、休憩明けでスタジオ内の気温が下がったタイミングでもチューニングの必要性があります。
そのため、その都度配線を変えなくてはならないコンパクトチューナーはあまりお勧めできません。マルチエフェクターを使用している方はマルチエフェクター内蔵、コンパクトエフェクターを使用している方はペダル型、それ以外の方にはクリップ型のチューナーがおすすめです。
レコーディングスタジオでもテイクを重ねるたびにチューニングをする場合に繋ぎ替えを毎回行うのは不便です。ペダルタイプの音質劣化が気になる場合にはトゥルーバイパスタイプのチューナーやA/B BOXを使用してチューニングをするのがスマートだと思います。
リハーサル時
ライブ会場でのリハーサルは時間との戦いです。サクッとチューニングを済ませて、サクッと音を決めて、と可能な限りセッティングを速く済ませて、リハーサル時間を音楽的に使うべきです。
そのため、会場入りしたら自分のリハーサル前にチューニングを済ませておきたいところですが、マルチエフェクター内蔵やラックタイプ、ペダルボードに組み込んであるペダル型は多くの場合、AC電源が無いと動作しません。
ステージに上がる前にチューニングをするためにも電池駆動のコンパクトチューナーがおすすめです。クリップチューナーもよさそうですが、他のアーティストがリハーサルを行っている状況では正確なチューニングが困難な場合もあるので注意が必要です。
リハーサルが始まってからは、ラックタイプやペダル型、マルチエフェクター内蔵タイプなど配線を変更せずにチューニングを行えるチューナーが便利です。
ライブ本番中
ライブ本番中でもMCや曲間の少しの隙にチューニングを直す必要があります。
その時にはいちいち配線も替えていられないので、ラックタイプやペダル型、マルチエフェクター内蔵のチューナーが使いやすいと思います。
また、意外(?)な盲点ですが、チューナーの設置位置について考えてみましょう。
ラックタイプやラックプリアンプ内蔵のチューナーを使用する際には客席に背を向けることになります。曲間のちょっとしたタイミングならともかく、MC中などには他にメインMCが居ない状態だととても悲惨なことになります。
他にはエレアコの弾き語りライブでも注意すべき点があります。
普段便利だからとクリップチューナーだけを使用している方は、チューニング中の音を止める手段が楽器本体のボリュームを絞る以外にありません。気にせずライン音を出したままチューニングをされる方が多いですが、聴いてる側からするとこれ、結構かっこ悪いです。
オクターブ調整
12フレットを押さえた時と12フレットのハーモニクス音のピッチを合わせるオクターブ調整でもチューナーは大活躍します。
この用途に使用する場合には押弦された音やハーモニクス音でも正確に検知できるよう、可能な限り精度の高い製品がおすすめです。チューナーのタイプは正直どれでも構わないのですが、クリップチューナーは電気信号で検知するタイプと比べるとやや不安定な印象があるため他のタイプのものの方が安心です。
各タイプ別オススメチューナー
ここまででチューナーのタイプと、それぞれがどんなシチュエーションで使いやすいかを解説してきました。
ここからは、各タイプのオススメ製品をご紹介していきます。
KORG / GA Custom
コンパクトチューナーでオススメはKORGのGA Customです。私も愛用しています。
GA Custom最大の特徴は視認性が非常に高いところです。少々角度があるところからでも見えやすい3Dビジュアル・メーターと明るいLEDでステージ上やリハーサル中の暗いライブハウス内でも容易にチューニングが可能です。
私の環境では、ワイヤレスレシーバーのチューナー出力から接続して、Kemper Profiling Amplifierの上に設置して使用することが多いのですが、階名もメーターも非常に見やすく重宝しています。
また、このコンパクトサイズながら±0.1セントまでの精度を誇るストロボチューナー機能を搭載しているところも見逃せません。基準ピッチもA=436~445Hzまで変更可能です。
機能性・視認性・携帯性を併せ持ったクラス最高のオススメチューナーです。
BOSS / TU-3W WAZA CRAFT
ペダルタイプでは、BOSSのTU-3W WAZA CRAFTモデルがおすすめです。KORGのPitchBlackシリーズも視認性の面ではよいのですが、ペダル型チューナーではバイパス時の音質を重視してこちらをおすすめします。
TU-3Wは回路設計を見直し、TU-3の機能をそのままに音質面がブラッシュアップされています。
また、従来のバッファードバイパスとトゥルーバイパスを切り替えることが可能で、バッファーを活かしたサウンド作りをすることも、トゥルーバイパスでサウンド作りをすることも可能です。
TC ELECTRONIC / PolyTune Clip
PolyTuneシリーズのクリップタイプチューナーで、精度が良いクリップチューナーとしてだけではなく、一風変わった機能があるのでオススメさせていただきます。
その機能と言うのが、ポリフォニック・チューニングという機能です。
名前だけではピンときませんが、ポリフォニック・チューニングモードでは、アコースティックギター弦6本を全て開放でピッキングすると、メーターにそれぞれの弦のチューニング状態がまとめて表示され、6本まとめてチューニングを行うことが可能です。
また、この機能以外にも、スマートフォンのように取り付け向きによって画面表示の向きが自動的に回転したり、ストロボチューナー機能がついていたり、ドロップチューニングやカポタスト装着時用のモードが備わっていたりと、小さなボディで非常に多機能です。
KORG / PitchBlack Pro
1980年代辺りからラックマウントチューナーと言えばKORGのDT-1Proでした。その後後継機のDTR-1、DTR-1000/2000も同様に大流行をしてきました。
現在KORGのラックマウントチューナーと言えばPitchBlack Proです。
まずはシリーズ伝統の精度と抜群の視認性が特徴としてあげられます。先ほどご紹介したコンパクトタイプのGA Customと同様の3Dビジュアル・メーターが備わっており、距離の離れたところからもチューニングがしやすくなっています。
また、特筆すべきはそのサイズ感と重量です。
当然ラックマウントサイズ(1U)なので横幅482mm縦幅44mmは固定サイズなのですが、奥行きが49mmしかありません。シールドのジャック内部に埋没する長さがおよそ32mm程度と考えるとその驚異的な薄さに驚かれると思います。そして、本体重量は脅威の363gです。
実際、ラックマウントして使用するなら重さはともかくサイズ感は関係ないとお思いの方も多いかと思いますが、これ超重要です。
例えば、360mmの深さのラックケースに350mmの奥行きのチューナーとプリアンプをマウントした場合、内部配線はギッチギチになります。使用できるケーブルにも制限がかかりますし、ラック内に電源を固定することは諦めるしかありません。
しかし、PitchBlack Proを使用することで、少なくとも1U(高さ44mm分)は背面に十分なスペースが生まれるため、ケーブルを取り回したり、パッチ盤を取り付けたりといったことが容易になります。
Line6 G90などの奥行きの浅いワイヤレスレシーバーとは非常に親和性が高いと思います。
3行でまとめると
- 持ち運ぶものなので携帯性大事!
- ステージで使うなら視認性大事!
- 差し替えせずにチューニングが出来る環境大事!
最後に
今回はみんなが使っているけど、あまり気にしてない方が多いチューナーについてみていきました。
個人的な見解では、コンパクトタイプとペダル型orラックマウントチューナーの併用がよいのではないかと考えています。本番前の時間などにコンパクトタイプでしっかりとチューニングを合わせて、本番中はペダルタイプやラックタイプでササっと直す、という使い分けイメージです。
と言っても多くの人は自宅でペダルボードを全開しないでしょうし、ラックもライブ用であれば全て設置している方は少ないので、コンパクトチューナーを使用しているとは思いますが・・・。
私は現場に忘れ物をした状態で到着したくないので、GA Customをギターケースに入れっぱなしにしています。自宅の作業場ではBOSSのTU-15というコンパクトチューナーを使用しています。これもよいのですが、ライブ中の視認性ではGA Customに軍配が上がります。
また、近年の高品位バッファーはカリカリしたサウンドの角が取れたり、エフェクト乗りが良くなったりと非常に進化しています。たかがチューナーと思わず、騙されたと思って入れ替えてみるとサウンドがレベルアップすることもあるかも知れませんよ。
最後の最後ですが、チューニングをする際には必ずギターを構えた状態で行うようにしてください。寝かせた状態などでチューニングすると、ブリッジの重さなどで実際の演奏時と異なるテンションが弦にかかり、正確なチューニングが出来ません。
今回はここまでとさせていただきます。皆様の音楽ライフに役立てていれば嬉しいです。
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