ライブ中、ギターを弾いてないパートでもギターアンプから「サー」、「ジー」や「ブーン」などのノイズが出てしまったり、音量をあまり出していないのにフィードバック、ハウリングが発生して困ってしまう。特に静かなパートだと気になりますよね。
さらに、ノイズが多いギタートラックをレコーディングで多重録音をすると、ノイズがさらに際立って残念なことになってしまいます。
誰もが一度は悩まされているエレキギターのノイズ、今回は各種ノイズの原因を探って、なるべく発生しないようにする対策をご紹介していきます。
目次
ノイズの種類
エレキギター周りのノイズは、大きく分けると外来ノイズと機器から発生する内部ノイズに分けられます。
ここからは、ノイズの発生箇所別にどのようなノイズがあるのかをみていきましょう。
外来ノイズ
外来ノイズとは、読んで字のごとく、ギターやエフェクター、アンプ以外の外部から来るノイズのことを指します。
主にエレキギターのピックアップやシールドなどの伝送経路からノイズが侵入し、ギターの信号経路を通ってアンプから出力されます。
外来ノイズには主に以下のようなものがあります。
電磁波などの空気中からのノイズ
電子機器や携帯電話などは常に電磁波を発生させています。この電磁波をエレキギターのピックアップが拾うことでノイズが発生してしまいます。
DTM環境ではコンピューターから発生する電磁波をピックアップが拾ってしまうことでノイズが発生します。デスクトップPCを使用している場合は、長めのディスプレイケーブルなどを使用して、ギター本体から可能な限り遠ざけるのがよいでしょう。
また、スタジオやライブハウスでは携帯電話の影響を受けている場合があります。携帯電話をアンプの上に置いたり、ポケットに入れたまま演奏しないようにすることで、ノイズの発生を抑えられます。
電源からのノイズ
コンセントから電源を取っている機器がある以上、避けられないのがこの電源ノイズです。電源コンセントに流れている電流は交流電源です。交流電源では、周期的に電源の向きが代わりますが、その周期によってノイズが発生します。
交流周波数50/60Hzから発生するノイズで、主に「ブーン」という低音のハムノイズを発生させます。
内部ノイズ
内部ノイズはエレキギター本体や周辺機器から発生するノイズです。主に以下のようなものがあります。
エフェクターのホワイトノイズ
歪みエフェクターなどの信号増幅回路を持つエフェクターは、エフェター単体でも出力端子からノイズを発生させるものもあります。「シャー」とか「ジー」とかいうノイズを伴うものが多いです。
ギターアンプのホワイトノイズ
信号増幅回路そのものであるギターアンプからも当然ノイズは発生します。これもエフェクターのノイズ同様「シャー」とか「ジー」というノイズが主です。
ポット類のガリノイズ
パーツの劣化などによって、エレキギター本体のボリュームなどを操作するときに「ガリガリ」というノイズが発生する場合があります。また、症状が重い状態では、ポットやスイッチ類に触れていなくても同様のノイズが発生したり、突然音が出なくなったりする場合があります。
また、ギター本体だけでなく、エフェクターやギターアンプのボットやスイッチ、ジャックのガリによってノイズが発生したり、音が出なくなったりする場合もあります。
ガリ、所謂接点不良に関するノイズの対処法に関しては以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
ノイズの発生箇所を特定する
ノイズの種類について解説したところで、実際にノイズの発生源をつきとめてみましょう。
エレキギター本体のノイズ
エフェクターを使用せずにエレキギターをギターアンプに直接接続することで、ノイズの発生源を絞り込むことができます。
エレキギター本体から発生するノイズは、主に外部から来る電磁ノイズです。この電磁ノイズの対策として、一般的なエレキギターにはノイズ対策として弦アースというものが存在します。
弦アースとは?
弦アースとは、ギター本体のアース電位によるノイズをポット類、ブリッジと経由して弦に接続することで、ギターを持っている人体にアースを取る方法です。
文章で説明するととてもわかりにくくなってしまうのですが、簡単にいうと、エレキギターは弦に触っていればノイズが抑えられる構造になっています。一部のアクティブピックアップを搭載したギターやレスポールタイプの一部のギターでは弦アースを取っていないこともありますが、ほとんどのエレキギターはこの弦アースでノイズ対策がされています。
エフェクター周りからのノイズ
エフェクターから発生するノイズは、主に増幅回路からのホワイトノイズです。エフェクターをOFFにしてもノイズが止まらない場合は別の発生原因やエフェクターの故障も考えられますが、歪みエフェクターでハードな歪みサウンドを作っている場合はある程度避けることのできないノイズになります。
また、エフェクターの切り替えを行った時に発生する「バツッ」というようなノイズは主にトゥルーバイパス仕様のエフェクターで発生します。このノイズは構造上のもので取り除くことはできません。
複数のエフェクターがある場合は、すべてのエフェクターを外した状態から一つずつエフェクターを戻していくことでノイズを発生させているエフェクターを突き止めることができます。
また、エフェクター間を接続するシールドの接触不良によるノイズも多く見受けられます。
ギターアンプ周り
ギターアンプ本体から発生するノイズは、増幅回路のホワイトノイズか電源からくるハムノイズが考えられます。
擬音化すると、ホワイトノイズは「シャー」でハムノイズは「ブーン」です。
発生箇所別ノイズ対策
ノイズの発生原因、発生箇所を調べたところで、今度はノイズを可能な限り小さくしていきましょう。
ここからは、発生箇所別のノイズ対策について解説していきます。
エレキギター本体のノイズ対策
エレキギターのノイズは本体内部の電気パーツの消耗や、アースが浮いていることが原因になっていることが多いです。
また、ギター本体が拾う外来ノイズの影響は構造上、アクティブピックアップよりもパッシブピックアップの方が、ハムバッカーピックアップよりもシングルコイルピックアップの方が受けやすくなっています。パッシブのシングルコイル搭載ギターはノイズ対策をより入念に行う必要があります。
また、現在のサウンドを変化させたい場合などは、ノイズ対策も兼ねて、ノイズの少ないピックアップに交換するのも大変効果的です。
アースでのノイズ対策
エレキギターのノイズは前述の弦アースで対策が取られています。エレキギターの弦に素手で触れてもノイズが減らない場合、弦アースが正常に接続されていない可能性があります。
ストラトやディンキータイプのギターの場合、バックプレートを外すことで弦アースが正常に接続されているかを確認することが可能です。
画像の丸内に導線が一本半田付けされています。この導線が各パーツと出力ジャックに接続されているのが正常な状態です。
どこかのパーツの半田が浮いていたりすると正常にアース接続ができず、外来ノイズに弱い状態になります。自分で半田ごてを使用して修理をするか、楽器屋さんに相談するのがよいでしょう。
また、黒系のカラーなので少しわかりづらいですが、このギターはキャビティ内に電導塗料が塗ってあり、バックプレートが金属製です。つまり、電装系全体が電気的には金属の箱に入っている状態と同じになります。
弦に手を触れていることで、この金属の箱全体がアースに落ち、箱の内部は外部からのノイズの影響を非常に受けづらくなります。また、このノイズに強い箱構造はギター内部では終わらず、楽器用シールドのシールド部分とも接続され、ギターアンプのシャーシにも接続されています。
こうした伝送を行うことで回路全体がノイズに強い状態になっています。
楽器用シールドのノイズ対策構造に関しては以下の記事もご参照ください。
パーツの洗浄、交換による対策
ボリュームを操作するときにノイズが発生する場合や、ギター本体に挿さっているシールドに触れた際にノイズが発生する場合は、ポット類や出力ジャックの磨耗、劣化による接点不良の可能性が高いです。
ジャック内部の接点不良には、接点洗浄剤を綿棒に付けてジャック内部を洗浄するのが効果的です。スプレータイプの洗浄剤を直接ジャック内部に吹き付けると木部を痛めたり、内部に残ったスプレー剤がホコリを吸い付けてしまったりするので、必ず綿棒を使用しましょう。
CUSTOM AUDIO JAPAN / CLEANSABLE
CLEANSABLEのようにスプレータイプではなく、接点に塗るタイプの洗浄剤が無駄がなくオススメです。私は接点洗浄の前に無水エタノールを使用してから使用するようにしています。そうすることで、前回の洗浄剤の塗膜を剥がしてから新しい塗膜を張ることができます。
また、洗浄を行っても接触不良が残る場合やギターに挿したシールドがガタつく場合には、ジャックパーツを交換する必要があります。こちらも自分で交換するか、楽器屋さんに相談しましょう。
交換用のジャックはSWITCHCRAFT製がオススメです。世界的にシェアNo.1の同メーカー製ジャックは、シールドを挿したときに「カチッ」というロック感があり、信頼できます。
エフェクター周りのノイズ対策
エフェクター本体から発生するノイズは主にエフェクターの増幅回路からのホワイトノイズです。先ほども説明した通り、歪みエフェクターで深い歪みサウンドを作っている場合はある程度避けて通れないものです。
歪みエフェクターのノイズ対策としては、歪みを抑えるか、ノイズサプレッサーを導入する位しか方法がありません。歪みエフェクターを電池で駆動している場合は、AC電源を使用することで電源供給が安定し、ノイズが減少する場合もあります。
ノイズサプレッサーを使用する場合はROCKTRONのHushがおすすめです。ノイズといえばHushという位有名なエフェクターで、ギターサウンド自体にあまり影響を与えずにノイズを抑えてくれます。Micro Hushは小型でエフェクターボード内でスペースを取りません。
また、トゥルーバイパスのエフェクターはスイッチの切り替え時にポップノイズが発生します。これについては対策のための改造などをされている方もいらっしゃいますが、残念ながらトゥルーバイパススイッチの構造上避けられないものです。
バッファードバイパスのラインセレクターやスイッチャーを使用する方法も考えたのですが、本末転倒ですよね。
エフェクター本体以外では、接続に使用するパッチケーブルもしっかりシールドされているものを使用しましょう。また、シールド長が長くなればなるほど外来ノイズの影響を受けやすくなります。パッチケーブルは必要以上に長いものをしようしない方が賢明です。
ギターアンプ周り
ギターアンプ本体から発生するノイズのほとんどは電源に起因するものです。
同系統の電源からデジタル機器などの電源を取っている場合は、電源の取り口を変えてみたり、電源ケーブルを変えてみることでノイズが減少することがあります。
アース接続が行われていないことが原因でノイズが発生している場合もあります。逆にアースにノイズが乗ってしまっている可能性もあります。現在アースが接地している場合は、アースカットを使用してアースを浮かせてみるのも一つの手です。
こちらも前述ですが、コンピュータやタブレット、スマートフォンなど電磁波を発生させる機器をアンプの上に置いたりすると、発生した電磁波がノイズの原因になってしまうので、置かないようにしましょう。
3行でまとめると
- 電磁ノイズはギター本体から!
- 電源ノイズはギターアンプから!
- ちゃんとシールドされたケーブルを使う!
最後に
今回の記事はギター周りで発生するノイズについてでした。
結局はノイズの原因は総当たりで追求するしか方法がないのですが、発生要因の切り分け方法などお役に立てていれば幸いです。
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ノイズ対策は信号の流れが分かっていれば解決出来ます。
ドーターイトを塗る必要は有りません。
ギターマイクからのプラスとマイナスのリード線を正しくアンプまでバランスを考えながら引き回していけばハムは出ません。
ノイズも同様です。
ボリューム(ポット)の金属ケース部にアース線を半田付けするのは大間違いです。
こんな所に信号を流したらハムだらけになるのは当たり前。
どのメーカーもやってますけどね。
バランスが大きく崩れるのでハムが出ます。
信号線のアース側と電気を流さないアースを一緒にしてはいけません。
私のギターもアンプもとても静かです。
外部ノイズを拾うのは仕方が無いが、影響は僅かなものです。
配線の仕方だけで大きな違いが出ます。
フェンダーやマーシャルアンプも同様です。
やたらと何処でも構わずにシャーシにアースを落としています。
大昔の真空管ラジオの作り方を其の儘やっています。
これを誰もおかしいと指摘しないから不思議です。
シャーシに電流を流れない様に改造をすると全くノイズの出ない静かなアンプになります。
小笠原さぶろうさん
コメントありがとうございます。拝見いたしました。
非常に興味深いご意見です。勉強になります。
参考までに、当記事ではギターの内部配線をゼロ電位のハコに詰め、外来ノイズから守る方法でご紹介しております。
また、記事内の画像ではIbanezのRZシリーズのギターを例にとり、ゼロ電位のハコを作るために導電塗料(ドータイト)を使用し、配線関係が外来ノイズから守られている様子をご紹介おります。
メーカーによっては、このようなノイズ対策を不要と考えて行っていない場合も当然あると思われます。
以下、コメント頂いた中から気になる点をいくつかピックアップさせていただき、私見を述べさせていただきます。
以下の記述における「アース」は、接地の意味のアースと広義でグラウンドの意味を持つアースを区別していません。
また、文章表現の違いにより意図が伝わりきらない場合もあるかとは思いますが、ご容赦ください。
> ギターマイクからのプラスとマイナスのリード線を正しくアンプまでバランスを考えながら引き回していけばハムは出ません。ノイズも同様です。
ピックアップからのリードを正しい状態でアンプまで引回す、という部分は私も大変重要なことだと考えております。
しかしながら、導電塗料を使用しない場合、空気中からくる電磁ノイズ・ハムノイズにつきましては、シールドにたどり着くまでは無防備です。
「バランスを考えながら」という部分がどのようなことをさしておられるのかはわかりかねますが、本記事の命題=「どちらがよりノイズに強いか」という一点について考えた場合、
やはり導電塗料でシールドされている状態の方がノイズに強いということが出来るのではないでしょうか。
> ボリューム(ポット)の金属ケース部にアース線を半田付けするのは大間違いです。
> こんな所に信号を流したらハムだらけになるのは当たり前。
> どのメーカーもやってますけどね。
> バランスが大きく崩れるのでハムが出ます。
> 信号線のアース側と電気を流さないアースを一緒にしてはいけません。
一般的に使用されるCTS製などのボリュームポットには、内部の導体とシャーシには電気的な接点はありません。空気と絶縁体によりほぼ完全に絶縁されています。
このシャーシにアースを接続すると「ハムだらけになるのが当たり前」、とおっしゃる根拠はやはり「バランスを考える」といった部分なのでしょうか。
ボリュームポット本体をアースから浮かせた場合、静電気などの影響でボリュームポットのシャーシが帯電していた際に、
アース接続側の端子をポットの裏側に接続してもゼロ電位を確保できない可能性が考えられます。
恐らく、私のこの説は「信号線のアース側と電気を流さないアースをいっしょにしている」考え方に当たるとは思うのですが、「どのメーカー」もこの考えに基づいているのではないかと考えられます。
多くのメーカー製のギターに見られるように、すでに導電塗料で処理をされているギターにこのノイズ対策を施す場合には、ポットをアースから浮かせるために塗料を剥ぐ必要が出てくる場合があります。
テレキャスターやジャズベースなど、金属製のプレートにポットを取り付けるタイプのギターでもポットとプレート間の絶縁処理が必要になってきます。
その場合にはショートシャフトのポットは使用できず、ロングシャフト用にボディのザグリを広げなくてはならず、木工を伴う大掛かりな改造になってしまう部分がネックになります。
> 私のギターもアンプもとても静かです。
> 外部ノイズを拾うのは仕方が無いが、影響は僅かなものです。
> 配線の仕方だけで大きな違いが出ます。
配線の仕方でノイズのもらい方も大きく変わります。ギターもアンプもとてもお静かとのこと、しっかりと配線をなさっておられるからこそだと感じております。
「外部ノイズを拾うのは仕方が無い」という点についても、「どんな対策をしても必ず外部からのノイズは混入する」ということに置き換えられるかと思います。
> フェンダーやマーシャルアンプも同様です。
> やたらと何処でも構わずにシャーシにアースを落としています。
> 大昔の真空管ラジオの作り方を其の儘やっています。
> これを誰もおかしいと指摘しないから不思議です。
当記事の内容とは少し離れてしまいますが、音響エンジニア的な観点から。
アース・グラウンドについて考察をする場合、2重アースや一点アースなど、考えなくてはならないことは多いのですが、ここでは割愛します。
コメント頂いている通り、ギターアンプを含む電子音響機器のメタル(導体)シャーシはゼロ電位ポイントと短絡されていて、これが機器の基準電圧(0V)になります。
また、この基準電圧のことを一般的にシャーシアースといいます。
ひと昔前の機器は、コンセントのライブ側とニュートラル側を逆に接続するとシャーシが20V程度の電圧で帯電してしまうものもありました(現在でもあると思います)。
モデルチェンジ前のJC-120は、ON-OFF-ONの電源スイッチでAC100Vの極性が切り替えられるようになっていまよね。
一旦話は飛びますが、ギターを持ったままボーカルマイクに近づいた際に、口の周りがピリピリすることがあります。ワニ口噛ませると止まるアレです。
望ましくはない事態ですが、これは会場の音響システムのアースと楽器電源のアース(=弦アース経由で人体の電位)に電位差が生じているためです。
ちなみに、一般に3極電源と言われる電源端子のアースピンは、シャーシだけでなく、インプットジャックのアース側とも電気的な接点を持ち、同電位です。
ギターアンプがシャーシアースを取っているのも、理由のほとんどはノイズ対策です。
ギター本体と同様、ゼロ電位のハコに回路を閉じ込めてシールドしています。特に増幅機関(アンプですね)を多く持つギターアンプの内部にノイズが混入すると、それらの増幅器でノイズも増幅されるためことさら入念です。
「フェンダーやマーシャル」も「大昔の真空管ラジオ」もこの方法でノイズ対策を行っていると考えられます。
この部分においては、バランスを考えた改造を施せる自前の機器よりも、スタジオやライブ会場などのアンプを使う方の方が多数になるのではないかと思います。
> シャーシに電流を流れない様に改造をすると全くノイズの出ない静かなアンプになります。
「シャーシに電流を流れない様に改造をする」ということは、シャーシから電源アース(グラウンド)を浮かす、ということでしょうか?
これは、機器の故障やトラブルなどでシャーシに電圧がかかった際に、結構深刻な感電の恐れがあります。個人的な範囲でやるという場合でもおすすめしかねます。
特に真空管を駆動するためにはトランス経由で高電圧を印加しているため、大変危険です。
私は音響屋で電気工事屋ではないので法律的な部分はわかりかねますが、メーカーにはそのあたりの意図もあるのかも知れません。
また、前述の通り、電子音響機器は基準電圧(0V)をシャーシアースに取っているので、かなり大規模な改造でシャーシを信号回路から電気的に完全に切り離さない限りは
アンプに手を近づけたり、触ったり、電子機器をアンプに近づけた際にシャーシの電位が揺れて、かなりのノイズが出力されることが予想されます。
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以上、長くなってしまいましたが、私の思うところをお返事として書かせていただきました。
私の思うノイズ対策以外にも、いろいろな方法があるのだな、というのがコメント頂いた内容への率直な感想です。
電子音響に携わる人間として、意図しないノイズというのは絶対的な敵です。
ライブPAでも、基本の真逆、アースを切り離すことでノイズから逃れることもあります。
そういった中、信号の流れに精通されている方からのコメントに学ぶところもあり、ありがたいかぎりです。
今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。
早速返事を掲載して頂きました。
全部は読み終えていませんが、行き違いが大分有ります。
こちらが秘密にしておきたい部分があるので余り詳しくは説明出来ません。
気に入ったプロの自術者には無料で教えていますが、彼らは自分の技術として修理や改造をして生活費を得ています。
彼らの更なる技術力のアップを願っています。
私はエレキギター、エレキアンプの研究を50年やっております。無線やオーディオ関連も同様です。
自分しか出来ない技術は他者には教えたくは無いのですが、技術を継承してくれそうな人には特別に教えております。
ギターのノイズ対策は顧客がビックリする位に効果が有ります。彼らが改造をした楽器はプロやセミプロからも絶賛されています。私は彼らに無料でアドバイスや技術力を提供します。自身はお金は受け取りません。本職ではありませんから陰に徹します。
多少の試行錯誤は必要ですが技術が受け継がれている事を嬉しく思っています。デジタルと違いアナログ技術は経験が無いと解決できない部分が多いです。
さて、アースとグランドですが、ギターの信号が流れるラインとボディアースをごちゃまぜにしてはいけません。
途中でポットのカバーに信号を流すからノイズの原因になります。マイクから出力ジャックまでのラインは信号の流れに逆らった配線をしてはいけません。ボディのアースやスイッチ類、ポットカバーのグランドアースも同様にまとめます。
そして出力ジャックで一緒にしてはんだ付けをします。もしもハムやノイズが出る場合にはアースポイントを変えてみます。
ラインアースとボディアースは原則は一点でまとめます。アンプのアースを浮かしたら事故になりかねません。
アルミや銅板でシールドをしなくても殆どノイズやハムは出ません。実際の細かな方法は公開しませんがヒントにはなるでしょう。
外部ノイズはマイクから入るのでギター側での対策は難しいですが軽減は出来ています。
改造をすると全く別物の音に変わります。エレキギターはこんなにもキレイな音が出ていたのかと。
どうしてメーカー側がこだわらないかと言うと、昔からの方法が最善と思い込んでいるからです。コピー屋だからです。
同じくアンプも同様に信号線を途中でグランドに落としてはいけません。基本的には電源の2次側でグランドと信号線のアースと一緒にします。(グランドを浮かしたら大変な事になります。)
一例ですが、フェンダーもマーシャルも真空管アンプにおいてはパワー管のカソードアースを直にシャーシのラグに落としています。
電源2次側のアースとカソードの間は鉄板のシャーシを通して結ばれています。
これでは鉄の抵抗が入りますし、錆びたらもっと抵抗値が上がります。
ここを電線に変えるとびっくりする程音の抜けが良くなります。ブンブンと唸るマーシャルが静かになります。
ノイズやハムが出ない状態で始めてエフェクター類の本来の音が出ます。極めてクリアーな音はプレーヤーも観衆も違った次元に連れていってくれます。
余談ですが、最近のフェンダー半導体アンプは基板パターンの設計が理にかなっています。ノイズの混入を避けて信号がスムーズに流れる様になっています。基本的には改造の余地が有りません。素晴らしいです。コピー屋さんも真似して欲しい。
つい長くなってしまいました。貴殿もかなりの知識の持ち主だと思います。
くどくど申し述べましたが気を悪くしないで下さい。
近所なら直接にお話をしたいところです。
ご希望があればマイクを持った途端に感電する事項などを述べたいと思っております。
小笠原さぶろうさん
早速の返信ありがとうございます。勉強させていただいております。
> マイクから出力ジャックまでのラインは信号の流れに逆らった配線をしてはいけません。
> ボディのアースやスイッチ類、ポットカバーのグランドアースも同様にまとめます。
> そして出力ジャックで一緒にしてはんだ付けをします。もしもハムやノイズが出る場合にはアースポイントを変えてみます。
> ラインアースとボディアースは原則は一点でまとめます。
オーディオの一点アースに通ずる考え方と考えてよろしいですかね。
出力端子で信号のアース線と、ギターのボディ(ブリッジ?)アースをまとめる、ということですね。
実際、我々音響屋の観点から考えると、最終的に導体によって接続されていれば、電気的に同一という考えなのですが、
アースのポイントを変えることでノイズの抑制に繋がることもあると思います。
繰り返しになりますが、本記事の命題=「どちらがよりノイズに強いか」という一点について考えた場合には、
導電塗料などでシールドされている状態の方がノイズに強いということが出来るのではないでしょうか。
また、本記事でご紹介している内容につきましては、その根拠、及び原理を公開しております。
公開不可能な部分のある情報につきましては、ブログをご覧になる方に紹介するわけにはいかない、というところ、ご理解いただければ幸いです。
> どうしてメーカー側がこだわらないかと言うと、昔からの方法が最善と思い込んでいるからです。コピー屋だからです。
大変恐縮なのですが、この点については同意しかねます。
というのも、私もかつてお手伝いをさせていただいていたのですが、各メーカーには研究機関が存在し、日々実地検証を含めた研究を行っております。
ノイズの対策に関してもこのような機関で研究がなされていて、例えばシングルコイルピックアップのダミーコイルや、高純度のOFC(無酸素銅)導体などの開発が行われております。
メーカーの発表を鵜呑みにしてしまうのも技術屋としては問題ですが、開発を生業としておられるメーカーさんがこの部分を手抜きしているとは思っておりません。
実際にメーカー同様、及び推奨の方法でグラウンディングを施した施工、加工で問題になるようなノイズに悩まされたことはございません。
> 同じくアンプも同様に信号線を途中でグランドに落としてはいけません。基本的には電源の2次側でグランドと信号線のアースと一緒にします。
ご存知であると思いますが、一般的にギターアンプの電源はAC入力〜電源スイッチときて、直後にトランスに突入します。
そのトランスの1次側はコンデンサ経由で、2次側は直接、シャーシアースに落とすというものが多いように思います。
また、ほとんどの場合、ギターアンプのインプットジャックのアース端子はジャック直後にアースに接続されています。
こちらの常識で考えると「信号線のアースを途中で機器グラウンドに落としてはならない」と言った部分が履行不可能になります。
このあたりが秘密にしておきたい部分ということなのでしょう。
参考までに、トランスの1次側と2次側では電気的な接点がないため、
保安のため、また、ゼロ電位の定義のためにも、このように両端でアーシングをするのが鉄則です。
> 電源2次側のアースとカソードの間は鉄板のシャーシを通して結ばれています。
> これでは鉄の抵抗が入りますし、錆びたらもっと抵抗値が上がります。
> ここを電線に変えるとびっくりする程音の抜けが良くなります。
この点に関しては概ね同意見です。
ハンダを流したポイント・トゥ・ポイント配線の方がネジ止めでアースプレートに落とすよりも接続の確実性が高いためです。
しかし、このようにアース端子間のポイント・トゥ・ポイント配線を行っているアンプでもシャーシアースは必ず取っているはずです。
また、信号の途中にあたるアンプの各ツマミでも不要な成分をシャーシアースに捨てています。
ここも「コピー屋」だからというところなのでしょうか。
残念ながら私の知識の範囲では、アンプメーカーの研究開発機関の取っている方法に問題はないように感じます。
> 近所なら直接にお話をしたいところです。
> ご希望があればマイクを持った途端に感電する事項などを述べたいと思っております。
せっかくのご提案、誠にありがたいところではございますが、事業ポリシーといたしまして、他からの技術供与はお受けできかねます。
お気遣いいただいたところ申し訳ありませんが、ご提案を辞退させていただきます。
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あらためまして、コメントありがとうございます。
50年ものキャリアを持つ、プロフェッショナルの先生からのご意見・ご指摘、非常に勉強になります。また、今後への励みになります。
私は若い頃からメーカーに出入りをして現場を見て来ました。様々なメーカーの技術者から教えを頂き成長して参りました。
オーディオに詳しい技術者が開発したエレキアンプは首を傾げる物が多かったのも事実です。知識が増すにしたがって良否の判断が出来るようになりました。
某国立大学の教授が世界最高のエレキアンプが出来たと言うので見に行ったのですがエレキアンプを理解していない設計でした。オーディオアンプとエレキアンプの違いを理解していらっしゃらなかった様でした。
知識が豊富になるとメーカー品でもダメな物は駄目と判断が出来る様に成ります。コストの関係で自由な開発が許されない事実も見て来ました。設計や製作を外注している所も多かったです。
電流がマイナスからプラスに流れる事を理解していなければノイズ対策は出来ないでしょう。
等価回路を描いても実際の動作は異なります。其々の部位の電位差があるからです。アナログ回路は理論の通りにはなりません。これを理解できるのは長年の経験です。測定器に頼ってもエレキアンプの音は良くなりません。
私はシールド線は滅多には使いません。ワイヤリングが理に叶っていれば必要無いからです。
ジャズマスターの様なワイヤーが長くなってしまうギターには使う事もありますが最小限です。
シールド線は音を悪くします。シールド板やドータイトの様な伝導塗料等も音を悪くします。
私の表現が悪いのか残念ながら真実が伝わっていません。貴殿が否定している部分は私の言っている事とは全く違っております。ねじ曲げて理解をされている様です。真実を理解をして頂けなかった事は残念です。私の表現力の不足です。
しかし、眉唾ものと思われたのは侵害です。
音を悪くする部分をカットする事がノイズ対策にも繋がります。
音の抜けの良いギターやアンプにたどり着いて頂きたく書き込みをさせて頂きましたが今回を最後とします。
今後も益々活躍される事を願っております。貴殿の知識はまだまだ伸び代が有ります。期待しています。
小笠原さぶろうさん
コメントありがとうございました。
今後に役立てさせていただきます。
> 眉唾ものと思われたのは侵害です。
誤解を与えてしまったようです。こちらの文章力のなさによるものです。
また、主題とズレた部分の話を広げてしまったのはこちらです。
不快な思いをさせてしまったこと、申し訳ございませんでした。
> シールド線は音を悪くします。シールド板やドータイトの様な伝導塗料等も音を悪くします。
シールディングによる、ある程度の高域レスポンスの低下についてはおっしゃる通りだと思います。
私の短い経験則で恐縮ですが、
本記事でご紹介している対策は、都市部の雑居ビルなど電源周りがあまりクリーンでない、周囲に電磁波が多く滞在している施設では、
長年の経験を要さない、気軽にできるノイズ対策として、高域の劣化とは等価交換以上になると感じております。
> 電流がマイナスからプラスに流れる事を理解していなければノイズ対策は出来ないでしょう。
お恥ずかしい話、私にはこの部分が全く理解できておりません。
・直流電流はプラスからマイナスに流れる
・この時、電子はマイナスからプラスに移動する
・ギターを含む音声信号は交流である
というところが現段階の私の知識の限界点でございます。
こちらについては、個人的な課題として勉強していきたいと考えております。
色々と気になる所はありますが、一点だけ弦アースの説明が完全に間違ってるので誤解した人が致命的なトラブルになる前に訂正した方がよろしいかと思います。
ギターを作る人 さん
コメントありがとうございます。
投稿から大分経った記事ですが改めて見返してみて、ご指摘の通り、
弦アースについての説明部分に間違いがあることに気付きました。
ご指摘ありがとうございます。
該当箇所を訂正させていただきました。