今回は昨年導入してからすぐにエース級の働きを見せてくれている、UNIVERSAL AUDIOのapollo 8pについて、使用感等書いて行きます。
ドラム、パーカッション類のレコーディングや歌録り、自宅でのギターライン録り、DSPプラグインを使用したリアンプ、エフェクト、制作行程の全てにUAD-2プラグインを使用していて、もう完全に依存していますね。
目次
apolloシリーズとは?
UNIVERSAL AUDIOから発売されているDSP内蔵オーディオインターフェースです、高品位なマイクプリアンプ、AD/DAコンバーターに加えてSHARCプロセッサーを内蔵しており、DSPによる高品位なUAD-2プラグインを使用したレコーディング、ミックスが可能です。
DSPとは?
DSP=Digital Signal Processorの略、デジタル信号を処理するプロセッサーのことです。
apolloシリーズでは各インターフェースごとに搭載されている基数が異なり、基本的に入出力数が豊富なモデルほど多くのDSP(SHARCプロセッサー)を搭載しています。
DSPの搭載基数、コア数が多ければ多いほど信号の処理能力が高く、同時に多数のDSPプラグインを使用できます。
私の使っているapollo 8pには4コアのDSPが搭載されています。
UAD-2プラグインとは?
apolloシリーズ最大の特徴であるUAD-2プラグインでは、内蔵DSPを使用してPC本体にほとんど負荷をかけずに各種エフェクトを行うことが可能です。
つまり、apolloシリーズは高品位なオーディオインターフェースであると同時に、高品位なマルチエフェクターが複数搭載されているとも言えます。
おすすめのUAD-2プラグインについては以下の記事で紹介しています、ぜひご参照ください。
Console
apolloシリーズではDSPミキサーConsoleを使用してリアルタイムプロセッシングを行うことができます。
apollo本体の入力は全てこのConsoleを通ってDAWやCueに送られますが、特にレイテンシーを感じることはありません。
Consoleアプリケーションの基本的な操作方法などは以下の記事も参考にしてみてください。
次からは各行程別にapolloの特徴を挙げていきます。
apolloでのレコーディング
まずはレコーディングでのapolloの使用方法についてです。
レコーディング時に生きてくるのがUnison対応マイクプリアンプです。これのおかげで、ただでさえ高品位なマイクプリに様々なカラーリングが行えます。
また、別途ADATマイクプリを使用した96kHz/24bitでの16chレコーディングでも安定した動作を見せていました。
Unisonテクノロジー
Unisonテクノロジーとは、内蔵マイクプリをConsoleのマイクプリスロットにインサートされたUnison対応チャンネルストリッププラグインで操作し、ゲインやキャラクターを再現する技術です。
実機の音を聴いたことがあるモデルはNEVE1073しかないですが、NEVE特有の太くてツヤのあるサウンドが細部まで再現されています。
個人的にはドラム録りのときに使用したAPI VISIONが素晴らしいと思いました。
リアルタイムUADプロセッシング
私がボーカル録音をする際にはうっすらリバーブをかけてあげて、歌い手さんのテンションをあげて行ったり、完成系をイメージしやすくすることが多いです。
しかし、DAWのオーディオトラックに録音しつつ、AUXトラックにセンドして、AUXトラックにリバーブをインサートしてCueに送ると、どうしてもレイテンシーが気になってきます。
apolloでは録音時にConsoleを使用して、Reverbをレイテンシー無しでCueに送ることが可能です。
プレイバック時のリバーブはDAW側でかけるのですが、ConsoleのAUXトラックにReverbをインサートすることで、apolloにインプットされたボーカルがPCを通ることなく、apollo内部のDSPでリバーブ処理をすることが可能です。
この機能のおかげで特にレイテンシーを気にすることなく快適にボーカルレコーディングが行えます。
apolloでのギターのライン録り
ギターのライン録音の際にもリアルタイムプロセッシングは生きてきます。
apollo 8p購入前までは、ギター本体からの出力をDIに接続してDIのXLR出力を直接オーディオインターフェースに入力して録音を行い、
DIのパラアウトをギター用マルチエフェクターに入力→AUXトラックに入力してモニターする、というやや面倒くさい配線をしていました。
現在は、ギター本体をapollo 8pのHI-Z入力に直接接続し、Consoleでギターアンププラグインをインサート、ドライ音をレコーディングしつつ、プラグインの出力をモニタリング、とシールド1本で完結しています。
ギター録りについてはあまり考えずに購入したのですが、非常に嬉しい誤算でした。
ConsoleではUADリアルタイムプロセッシングされた音をモニターのみに適用するか、DAWへと送られて録音される音にも適用するかを選択することができますUNISON対応ギターアンププラグインやギター用コンパクトエフェクタープラグインもあるので、いわゆる『かけ録り』をすることも可能です。
この設定は各チャンネルごとに切り替えることが可能なので、ベースのLINEはモニター用にコンプをかけてドライ音を録音、同時に録音するベースアンプのマイクはコンプとEQをかけ録り、なんてことが可能なんです。
apolloでのリアンプ
リアンプとは元来ギターのライン音をRadialのReampシリーズを通してギターアンプに接続し、ギターアンプの出力をマイクで拾うこと指したのですが、現在ではギターのライン録りで録ったドライ音をハードウェアのアンプシミュレーターやDAW内のギターアンププラグインを使用し、ギターアンプの音をシミュレートすることも含めてリアンプと言います。
ギターアンププラグインを使用したリアンプではCPUへの負荷が非常に高く、多チャンネルのギタートラックを同時に処理するのは厳しかったのですが、UAD-2プラグインであれば、DSPがその負荷を被ってくれるので、PC本体は快適に動作することが可能です。
UAD-2プラグインとKemperでのリアンプ合わせてバリバリに使用しています。
UAD-2のギターアンプシミュレーターは本物のサウンドをモデリングしているので、完成度が高く、マイクモデルやマイクプリのエミュレートにも余念がありませんね。
アンプモデルはMarshall、Fenderなどの王道系はもちろん、ENGLやFRIEDMANも用意されています。
apolloでのMIX
MIX時にはUAD-2プラグインが大活躍します。
また、本体のFCN(ファンクション)キーに出力のモノラル化を割り当てて使用しています。
この機能は、私の初代オーディオインターフェースのdigi002に標準でついていた機能で、中域の混雑解消のためなどによく使用していたので、ワンタッチで切り替えられるのは便利です。
UAD-2プロセッシング
アナログモデリング系のプラグインやリバーブなどの空間系プラグインは演算が複雑になる上、メモリにいろいろ一時置きするため、CPU、メモリ負荷が高いです。
UAD-2プラグインはPC本体のCPU、メモリリソースを殆ど使用せずapollo内部のDSPで処理を行うためPC本体のCPU、メモリに余裕が生まれます。
結果として、CPUベースのプラグインも合わせて同時に複数のプラグインが使用可能なので、いちいちバウンスやコミットしていかなくてもMIXを終えることができるんです。
また、アナログモデリング系のプラグインは他社の追随を許さない、圧倒的な出来の良さです。
apollo 8p本体を購入すれば、Realtime Analog Classics Plus Bundleがバンドルされます。
このバンドルにはUnisonプリ、COMP、EQ、Reverbなど一般的なエフェクトが各種詰まっているので、購入直後からUADプロセッシングを使用することができます。
もっともコンパクトな仕様のapollo TwinにもRealtime Analog Classics Bundleがバンドルされるので、同様に各種のプラグインをお試しいただけますよ。
apolloシリーズのラインナップ
- apollo 16(Thundervolt接続 Mac専用 1Uラックサイズ)
マイクプリ無し、アナログ16入力、4基のSHARCプロセッサー搭載 - apollo 8p(Thundervolt接続 Mac専用 1Uラックサイズ)
Unisonプリアンプ8基、アナログ8/デジタル8入力、4基のSHARCプロセッサー搭載 - apollo 8 QUAD(Thundervolt接続 Mac専用 1Uラックサイズ)
Unisonプリアンプ4基、アナログ8/デジタル8入力、4基のSHARCプロセッサー搭載 - apollo 8 DUO(Thundervolt接続 Mac専用 1Uラックサイズ)
Unisonプリアンプ4基、アナログ8/デジタル8入力、2基のSHARCプロセッサー搭載 - apollo Twin Duo(Thundervolt接続 Mac専用 テーブルトップ型)
Unisonプリアンプ2基、アナログ2/デジタル8入力、2基のSHARCプロセッサー搭載 - apollo Twin Solo(Thundervolt接続 Mac専用)
Unisonプリアンプ2基、アナログ2/デジタル8入力、1基のSHARCプロセッサー搭載 - apollo Twin USB(USB接続 Windows専用)
Unisonプリアンプ2基、アナログ2/デジタル8入力、2基のSHARCプロセッサー搭載 - apollo Twin Solo(Thundervolt接続 Mac専用)
Unisonプリアンプ2基、アナログ2/デジタル8入力、1基のSHARCプロセッサー搭載
DTMで使用する場合、Macユーザーにはapollo Twin Duoがおすすめです。現状、Windowsユーザーには選択肢がapollo Twin USBしかないですが、
Mac用のapollo Twin Duoと性能的には同等です。
ギターアンププラグインを使用すると、2つのプラグインを使用した段階で1つのSHARCプロセッサーを占有してしまうのでSoloではなくDuoをおすすめします。
UNIVERSAL AUDIO / APOLLO TWIN DUO
UNIVERSAL AUDIO / APOLLO TWIN USB
3行でまとめると
- Unisonプリアンプでレコーディング!
- リアルタイムプロセッシングでかけ録り可能!
- MIXではUAD-2プラグインを使用!
最後に
さて、今回は愛用しているapolloのレビュー記事でした。
熱が入って大分長くなってしまいました、すみません。
実は最近UAD-2プラグインを使用していて悩みが2つあるんです。
1つは毎月開催のセールの度に新しいプラグインが欲しくなる悩み、もう1つは使いすぎてDSPパワーが不足がちなのでUAD-2 Satelliteを買ってしまいたくなる悩み、どちらも今のところは自制心と財政状況の影響で実行に移していないですが、悩ましい限りです。
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