内蔵のDSPを使用した高品位なプラグインを使用可能なUniversal Audioのオーディオインターフェースapolloシリーズ。近年ではWindows PCにも対応してますますユーザーが増えています。
オーディオインターフェースとしても高品位なマイクプリを搭載していたり、バーチャルトラックを備えていてルーティーンの幅が広かったりと魅力的なのですが、やはり最大の魅力はUAD-2プラグインです。
apolloシリーズオーディオインターフェースやConsoleプラグインのレビューについては以下の記事をご参照ください。
使用しているのは本職のレコーディングエンジニアだけではないので、実際にapolloを手にしたけど、たくさんあるプラグインからどれを選べばいいのかわからない、という方も少なくないのではないでしょうか?
私も悩みに悩み抜いて以下のラインナップにしました。UAD-2プラグインはデモ版を試用することが可能なので、後悔しないためにもレビューなどを鵜呑みにせず、必ずご自身の耳で確認するようにしてください。
今回は、数多くあるUAD-2プラグインの中から、私が実際によく使用しているプラグインをカテゴリごとに15種ご紹介させていただきます。UAD-2プラグイン選びの参考にしていただければ幸いです。
目次
MIC PRE & Channel Strip(チャンネルストリップ)
レコーディング時のUNISONを使用したマイクプリのサウンドから、MIX時のブーストEQとコンプ/ゲート用までかなり幅広く使用しています。
API Vision Channel Strip
なにより見た目の精悍さに惹かれてしまいます。
サウンドはもちろん伝統のAPIサウンド、芯が太いサウンドが特徴です。apollo8pを使用した楽器のマイク録音などに使用しています。
MIX時には楽器用のチャンネルストリップとして使用することが多く、レベリングからHPF、コンプ、EQまでこれだけでこなせるので重宝しています。EQセクションもWavesのAPIシリーズよりも好みなので、他のセクションをOFFにして単純にEQとしても使用しています。
Neve® 1073 / 1073SE Classic Console EQ
主に楽器、ボーカル問わず録音時のUNISONマイクプリとして使用しています。
MIX時には負荷の軽い1073SEを使用することが多く、単一トラックのブースト用EQにつかったり、サブミックスの補正に使用したり、1073を通すことにより音質を積極的に変化させるために使用しています。
Neve® 88RS Channel Strip
使いどころとしては前述のAPI VISIONに近い使い方をしています。
レコーディング時のマイクプリとしては1073よりも上品な印象があります。MIX時には低域楽器に主に使用しています。コンプセクションが優秀で、どんどん潰したくなるサウンドをしています。また、EQもしっかりとしたNEVEサウンドで、1073ほどの派手さは感じませんが、欲しいところをしっかり持ち上げてくれます。
DSP LoadLockについて
UAD-2プラグインではControl PanelからDSP LoadLockの設定を行うことができます。
DSP LoadLockをONにすると、プラグインごとに固定のDSP負荷がかかりますが、この設定をOFFにすると、チャンネルストリッププラグインなどの多セクションに渡るプラグインの未使用セクション分のDSPを解放し、より多くのUAD-2プラグインを使用可能になります。
個人的にはDSP負荷が変わることによる音質変化をあまり感じないので、常時OFFにして使用しています。
EQ(イコライザー)
UADプラグインのモデリング技術を活かすため、主にブースト用のEQとして使用しています。
Neve® 1081 / 1081SE Classic Console EQ
恐らく、一番使用しているブーストEQです。
通しただけで音が派手になる、分かりやすいEQです。10kからシェルビングで持ち上げるだけで、音がグッと前に来る、抜けて来るのを感じることが出来ます。特に、音数の多いセッションではその効果がはっきりと確認できます。
ドラムからベース、ギター、ボーカルからシンセサイザーまでなんにでも使用しています。複数トラックに同一のEQを使用することで音質の一体感みたいなものを感じることが出来ます。
もともとコンソールとはそういうものなので当たり前といえば当たり前ですが、各トラックに最適なプラグインチェーンを考えるあまり、疎かになっているところなのではないでしょうか。
Tonelux® Tilt EQ
他では代用の効かない変わり種のEQです。というのも、このEQは緩やかなカーブのHPF/LPFと全体の傾きだけで音を作るEQだからです。
TILTツマミを時計回りに回すとハイ上がりに、反時計回りに回すとロー上がりになります。測定をしたわけではないので、どのあたりの周波数からどのくらいのカーブで変化をしていくか全くわからないのですが、非常に音楽的なサウンドであることは間違いありません。
なんか抜けないトラック、なんか痛いトラックにインサートしてなんとなくTILTツマミをいじると、なんか解決する。そんなEQです。
HPF用にインサートして、ついでにTILTを若干時計周りに動かして使用したりしています。
Tube-Tech PE 1C Equalizer & ME 1B Equalizer
とっても有名だけど使い方の難しい真空管EQ=Pultecのクローンのエミュレートプラグインです。実際にはPE 1CとME 1Bは別々のプラグインですが、同時に使用することで5バンドEQとして使用することが出来ます。その使用方法がメーカー的にも正解のようです。
変わったところとしては、PE 1CではLOW/HIGHの2バンドで選択した周波数をブーストしながらカットすることが可能な点です。BOOSTツマミとATTENツマミを両方とも時計回りに回していくことで、このEQでしか出せないサウンドを生み出すことが出来ます。
ミッドレンジ版のME 1Bはミッドレンジに寄った3バンドEQなのですが、MIDバンドではツマミを時計方向に回すと選択帯域がカットされます。LOW/HIGHと周波数が被っているので、ブースト不可能な帯域があるわけではないのですが、これだけだと使いづらさを感じます。
やはり、推奨通りに、PE 1CとME 1Bは組み合わせて使用するのが良いみたいです。
主な使いどころとしては、歪みサウンド主体のエレキギターやバスドラム、スネアドラムなど、音に芯が欲しいトラックに使用することが多いです。また、後述のCL 1B COMPRESSORと組み合わせてボーカルトラックにも使用します。
COMPRESSOR(コンプレッサー)
UADパワードプラグインのコンプレッサーもEQ同様アナログ機器のモデリングが優秀なので、原音忠実でレベリングだけを行うコンプではなく、音を積極的に変化させるコンプをかける目的で使用しています。
1176LN Classic Limiting Amplifier
恐らく世界で一番有名なコンプレッサーのモデリングプラグインです。スレッショルドの設定はなく、INPUTで音を突っ込むとコンプレッサーが作用する仕組みになっています。アタック、リリースのツマミも感覚が我々と違うため、時計回りに回して行くとアタック、リリースが早くなっていきます。
なんにでも使用可能なコンプですが、早めのアタック、リリースでベースやアコースティック楽器などに使用して、はっきりと潰すことが多いです。INPUTを突っ込んで行くと内部的に歪んで行くんですが、実に音楽的で倍音豊かな歪み方をするのが特徴です。
以前はメインボーカルにもよく使用していましたが、私のサウンドの好みが変わってしまったのか、現在はあまり使用していません。コーラスパートが複数ある場合はそれぞれに1176のレガシー版を使用してDSP負荷を抑えたりしています。
音とは関係のないことですが、よく見ると実機同様塗装が紫がかっています。そんなところまで再現してることに感心しました。
Teletronix® LA-2A Classic Leveling Amplifier
プラグインコレクションという形で3色(グレー、シルバー、ねずみ色=LA-2A)のLA-2Aがセットになっています。お得な感じですね。
一番よく使用するのはシルバーカラーのLA-2Aで、歪んだエレキギターのコンプとして常用しています。他にもアコースティックギターやロックピアノなどアタックものに使用することが多いです。
グレーとねずみ色は主にエレキベースのコンプレッションに使用しています。音量的に持ち上げなくてもどっしりとしたサウンドに仕上がってくれる印象です。
どちらの場合もレベリングアンプという名の通り、INPUTを突っ込んでレベルを持ち上げた上で、リダクションメーターをガンガン振らせる使い方のほうがハマる気がしています。
Tube-Tech CL 1B Compressor
青いインターフェースが印象的な真空管コンプのモデリングプラグインですね。
真空管らしい温かみを感じられるので前述のTube-TechEQと合わせて、主にボーカルトラックに使用しています。また、各ツマミの効きがよく、調整範囲が広いことも特徴の一つで、打楽器からベース、ギター、ピアノ、ストリングスとなんにでも使えるコンプレッサーでもあります。
GAINレンジも広く、GAINをあげて行くことで歪みも得ることが可能なのですが、私はあまり歪ませて使うようなことはなく、ナチュラルでウォームなコンプレッサーとして使用しています。
Reverb(リバーブ)
私はこれらのUAD-2プラグインとCPUベースのリバーブと併用しています。
EMT® 140 Classic Plate Reverberator
超有名プレートリバーブのモデリングプラグインです。
ボーカル録音のときにモニター用リバーブとして使用したり、MIX時のボーカル用のメインリバーブとして使用しています。他のリバーブのプレートプログラムよりもふくよかで厚みのあるリバーブ感が得られる印象です。
私的にはリバーブ音に厚みがあるので、かけ過ぎにならず、自然な状態をキープできるのが使いやすいところです。
Lexicon® 224 Digital Reverb
ホールリバーブ、プレートリバーブを中心になんにでも使用するリバーブです。
綺麗なデジタルリバーブなので、浮いちゃわないように丁寧に使ってます。
Gt AMP Simulator(ギターアンプシミュレーター)
UAD-2プラグインシミュレーターもかなり数が揃ってきました。その中でよく使用するギターアンプ2種+ベースアンプ1種を紹介します。
Friedman BE100
Marshall系の改造アンプですね。基本的にはドンシャリの深い歪みが欲しい時に使用しています。スイッチがいっぱいあって色々なサウンドが出せます。
ENGL® E765 Retro Tube
ENGLのあんまり歪まない方です。歪まない方といってもかなりハイゲインなサウンドまで対応しています。
ナチュラルなオーバードライブサウンドが欲しい時に使用しています。
Ampeg SVT-3 PRO Bass Amplifier
主に打ち込みのベーストラックに使用しています。ロック系全般これでいけちゃいます。ベースアンプにはあまり詳しくないのですが、実機同様の歪みも出せるので使いやすいのかな、と思ってます。
☆まとめ☆
- チャンネルストリップ、EQ、コンプは個性派ぞろい!
- ギターアンプはかなり丁寧にモデリングされている!
- セール、クーポンを見逃さずお得にGETしよう!
最後に
UAD-2のよく使用するプラグインたちでした。カテゴリに若干偏りがありますが、ご了承ください。ディレイ、モジュレーション系は一つも使用していないんです。
どのプラグインもモデリングが丁寧に行われているのが印象的です。私が使用していないプラグインも品質が高いと評判のものがおおく、私だけでなく皆様Universal Audioへの信頼は高いようです。
どのプラグインも素晴らしい中で、あえて使用しているプラグインは完全に好みの問題だと思っています。Tube-Techなんかは誰でも好きだとは思うのですが、好みがあるのでなんとも言えないところです。
そのため、他の方におすすめできるか?と言われれば、必ずしもそうではなく、「デモ版を使ってみてください。」としか言えないのが残念ですが、何かの参考になれれば幸いです。
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