コンプレッサーといえば、制作には欠かせないエフェクトの一つです。
EQほど効果が明確ではないので、慣れるまでは効果がわかりづらいですが、わかって来ると、こんなに奥が深く、選定や設定に悩むエフェクトはないと思います。
プラグインコンプレッサーは大きく分けて、Thresholdを設定可能な『音量差を整えるコンプ』と、InputとOutput、Reductionを設定するタイプの『サウンドを積極的に作るコンプ』に分けられます。
今回は、私がよく使用するプラグインコンプレッサーを使用ポイントを添えて5種類ご紹介いたします。
目次
Universal Audio
Teletronix® LA-2A Classic Leveler
弦楽器を中心に何にでも使ってしまうコンプレッサー、少しのコンプレッションでも効果がはっきりわかるサウンド。ギタートラックには必ずと言っていいほど使用しています。歪みの粒が立つようなザラっとした質感をキープしたまま、音が前に出てくるようなコンプです。
GAINで入力信号のレベルを設定し、PEAK REDUCTIONでコンプのかかり具合を設定します。操作系が単純なので、設定に迷わないのもメリットです。ちょっときつめにコンプレッションしても、音が不用意に引っ込んでしまわないのでミックスバスにもよく使用しています。
今回ご紹介しているのはUniversal AudioのUAD-2プラグインですが、銘器だけあって、他にも各社からエミュレートモデルが出ていますね。
Waves
Renaissance Compressor
CPU負荷が軽く、扱いづらい癖もないので、手軽に使用できるコンプレッサー、シーケンスのストリングスやシンセサイザーに使用することが多いです。いい意味でコンプ感のないナチュラルなサウンドです。また、コントロールも単純明快で悩まないのがよいですね。
実は、このプラグインはGAINを上げて使用すると、内部でドライブさせることもできます。ドライブ時には独特の張り付くようなコンプ感を演出可能です。私は、ハードコンプをするときは、アナログコンプのエミュレートモデルを使用してしまうので使用したことがないのですが、試してみる価値アリです。
Universal Audio
1176 Classic Limiter
いろいろなトラックへの味付けができる定番FETコンプレッサー、これも各社からエミュレートモデルが出ていて、種類が豊富。もちろんエミュレートなので、キャラクターのバラつきはあれど、どのプラグインでも概ね1176サウンドが得られます。
使用することでアナログ回路特有の歪み感をトラックに付け加えることができます。私はRATIOを4:1に、INPUTを高めに設定し、常にコンプがかかりっぱなしの状態で使用することが多いです。
INPUTの設定でコンプレッションスレッショルドが決まるので、慣れるまでは試行錯誤が必要かもしれません。
Sonnox
OXFORD DYNAMICS
コンプだけで無く、ゲート、エキスパンダー、リミッター、を含めた統合ダイナミクスプラグイン。ドラムセットの各キットのコンプレッサーに使用することが多いです。ゲートも同時にかけることが出来るので便利に使用しています。
キャラクターとしてはとても素直なかかり方をするコンプレッサーで、トラックごとの音量を整えるのに最適です。WARMTHと併せて使用することで、真空管コンプのように角の取れた温かい印象のコンプレッションが得られのが特徴です。Threshold付近の動作を設定するKNEE設定も可能で、Threshold付近から徐々にかかるSoft Kneeを設定することが可能です。
Avid
Smack
3タイプのコンプレッサーからキャラクターを選択できるコンプレッサー、プリセットも非常に優秀で、プリセットから調整するような使い方をすることが多いです。
サイドチェーンEQが大変便利で、特定帯域に反応して過度にコンプレッションしてしまうことを防げます。ダンスものの4つ打ちバスドラなど、サウンドのボトムをコンプレッションせずに低中域を潰すことが可能です。
RATIOのSMACK!ではいわゆるブリックウォールリミッターのような動きを見せます。まさに音の壁を作ることができます。また、DISTORTIONパラメーターで奇数倍音、偶数倍音、両方の歪み感の付加も可能です。全体的なサウンド傾向は1176系に近いのかな、と思います。
3行でまとめると
- サウンドの狙いによって使い分け
- 素直なコンプで音量を整える
- 個性派コンプでサウンドに味付けを
最後に
エンジニアそれぞれにコンプレッサー論があるくらいに、深いエフェクトであるコンプレッサー。慣れない内はオーバーにかけてみて、それぞれのコンプの効果を探ってみるのが良いと思います。
かけすぎると当然潰れた、抜けないサウンドになるので、やっていく中でちょうど良いところを見つけてみてください。
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