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アンプシミュレータープラグイン選び!6種のCPU負荷を徹底比較

DAWを使ってエレキギターやエレキベースの録音をする際にライン音をアンプを通した音に変えてくれるアンプシミュレーター、使用している方も多いのではないかと思います。

実際、アンプから音を出してマイクで集音するリアンプを行うのは宅録メインのDTMerには難しく、必然的にハードウェアかプラグインのアンプシミュレーターに頼ることが多くなります。

DAWを使用してギターやベースをハイクオリティにレコーディングする方法については下記記事で解説しています。こちらも合わせてご覧ください。

録音後にDAW内部でリアンプ可能で便利なアンプシミュレータープラグインですが、使ってみると意外と動作が重いことを感じるのではないでしょうか。

オーバーダビングを重ねたギタートラック全てにアンプシミュレータープラグインをインサートすると、それだけでCPUの処理能力を超えてしまい、結果DAWの再生が止まってしまうことも珍しくありません。重い理由は様々ですが、高度な倍音演算を行うことが主な理由だそうです。

トラックフリーズやコミットを行って負荷の低減を行うのが一般的ですが、ギターやベースのサウンドを変更する時には一手間挟まないといけないのがデメリットです。

今回は、実際にギター・ベースアンプシミュレータープラグインを使った際の負荷を見ていろいろと考えて行きたいと思います。



目次

負荷の測定方法

各プラグインの負荷を測定する前に、今回使用する検証機のスペックを確認しておきます。ご自身の環境とマシンスペックの差も考慮してご覧いただけるとより効果的です。

測定に使用したMacの情報

大分前の型ですがなんとか現役で使えています。

検証方法は以下の通りです。

ProTools2020.3で96kHzサンプリング・32Bit float設定のセッションを立ち上げ、ProTools標準のSignal Generatorで生成した-16dBのピンクノイズを録音したオーディオトラックを1つ配置します。元のAUXトラックは削除し、トラックリストにはオーディオトラック一つのみが存在する状態です。

負荷がない状態のCPUメーター

その際のシステム使用状況がこちらです。CPU負荷はほとんどありません。ボイス数も上記のオーディオトラック1つのみです。メモリ使用状況は他アプリケーションの動作状況や検証順による影響が多大にあるので、参考程度にご覧ください。

この状態に各アンプシミュレータープラグインをモノラル出力でインサートして負荷の変化を見ていきます。アンプシミュレーターによってはエフェクターやプロセッサーが内蔵されているものもありますが、今回はアンプ+キャビネット+マイクの3つのセクション・コンポーネントだけを使用したプリセットを使用して検証を行います。

実際にエフェクトやステレオ出力を使用する場合は、測定結果よりも高めのCPU負荷になることが予想されますのでご注意ください。また、当サイトの検証結果は全ての状況で同じ結果になることを保証するものではございません。ご参考程度にお考えください。

AmpliTube 4 / IK Multimedia

アンプシミュレーターの定番、IK MultimediaのAmplitube 4です。実際のアンプに近い操作性と挙動をしめすので、普段使用しているスタジオやライブハウスのアンプと同じノリで使用できます。以下の項でもそうですが、上記画像は測定に使用したプリセットです。

今回は使用していませんが、アンプリチューブシリーズには非常に豊富なストンプ・ラックタイプのエフェクターが揃っています。また、ギターアンプだけでなくベースアンプのプリセットにも質の高いものが揃っています。一つのプラグインでギター・ベースサウンドを完結させることも可能なので、MIXが不慣れな方にもオススメです。

また、上位のMAX版にはライセンスものの実在アンプモデルがバンドルされています。Custom Shopで個別に購入することも可能ですが、今導入するなら間違いなくこちらがオススメです。

さて、肝心の測定結果は以下のようになりました。まずはインサートしただけの状態です。

AmpliTube4をロードした際のCPU使用状況

インサートを行っただけではCPUは使用されていません。メモリー使用量はこの段階で増えているので、メモリーの確保はロード段階でされるようですね。

AmpliTube4を使用し再生した際のCPU使用状況

再生を行った状態がこちらです。キャプチャーを行う瞬間に跳ね上がってしまっている印象がありますが、定期的に目盛りが跳ねていたので最大値付近で考えておくのがよいでしょう。

2スレッドに集中していますが、1プラグインで全体CPUの28%となかなか高い数値が出てきました。他にプラグインを使用していなくても3トラックにインサートしたらもうカツカツというところですね。

Amplitubeはセッティングがある程度定ったらこまめにコミットやバウンス、フリーズを行ってCPUを解放しながら使用するのがよいでしょう。
IK MULTIMEDIA / AmpliTube MAX
IK MULTIMEDIA / AmpliTube MAX

BIAS AMP 2 / Positive Grid

BIAS AMP 2はギターアンプ・ベースアンプのシミュレーターに止まらず、パーツ単位でアンプを組み替えることでオリジナルのアンプをコンピューターの中で作成可能なプラグインです。

Positive Gridはブランド自体は後発ですが、リアルなシミュレート技術が評判となり急速にシェアを広げてきた経緯があります。クリーンからハイゲインまでどんなジャンルの音楽にもマッチするサウンドと、ピッキングへの追従性という点ではシミュレーター臭さがなく、実際のアンプと遜色ないサウンドにリアンプ可能です。

ギターアンプだけではなく、中位モデルのProfessionalからベースアンプのモデルも追加され、そちらも大変質の高いものになっています。また、最上位モデルのEliteではProfessionalの全機能に加えてCelestionスピーカーのIR(Impulse Response)データが付属します。

BIAS AMP 2で使用可能なアンプモデルは36種類あり、それぞれのベースモデルはPositive GridのWEBサイトで確認可能です。

Preset Model List – Positive Grid (リンク先海外サイト / Positive Grid様WEBページ)

BIAS AMPシリーズはアンプ部分のシミュレートに特化しているため、ギターアンプ内蔵リバーブ以外のエフェクトは搭載されていません。エフェクトを合わせて使用したい場合には、同社のBIAS FXシリーズと連携させる必要があります。

以下、まずはロードした段階でのCPU負荷の状況です。

こちらもプラグインをインサートした段階ではメモリーの確保だけが行われています。

BIAS AMP 2をロードした際のCPU使用状況

再生中のCPU負荷はこんな感じでした。エフェクトを内蔵していないこともあり、Amplitubeと比べると動作がかなり軽いようです。

アンプモデルなどによってはもう少し負荷が大きいものもあるかも知れませんが、アンプシミュレーターカテゴリーのプラグインの中では非常に軽量と言うことができます。

Positive Grid / BIAS AMP 2.0 Professional
Positive Grid / BIAS AMP 2.0 Professional

Positive Grid / BIAS FX 2.0 Professional
Positive Grid / BIAS FX 2.0 Professional

Guitar Rig 5 Pro / Native Instruments

Native InstrumentsのGuitar Rig 5 Proは単品でお持ちの方は少ないプラグインだと思われますが、KOMPLETEシリーズにバンドルされているので、ギタリストやベーシストだけでなく、トラックメーカーの方でもインストールされている方が多いのではないかと思います。

使用してみた正直な印象では、単体で購入するほどではないといったところですが、シンセバンドルとしてKOMPLETEを導入した時におまけで付いてくるプラグインと考えると非常に優秀なアンプシミュレーターと言うことができます。

アンプモデルもそう多くありませんが有名どころは揃えているので、使用上問題はありません。モデリング元のオリジナルは名前とパネル、ツマミを見れば大体判別可能ですね。各アンプモデルは実物アンプとサウンドの傾向が若干異なりますが、概ね狙ったサウンドに近づけることは可能です。ベースアンプモデルは一機種だけですがあの有名なアンプがシミュレートされています。

コンパクトエフェクターのモデルも多数用意されていて、アンプで軽く歪ませてブースターでゲインアップするような使用法も可能です。

Guitar Rig 5 Proをロードした際のCPU使用状況

こちらもロードしただけではCPU負荷は発生していません。

Guiter Rig 5 Proを再生した際のCPU使用状況

再生中の負荷はこのような感じでした。カテゴリー内では比較的軽いと言うことができます。

Native Instruments / KOMPLETE 12
Native Instruments / KOMPLETE 12

HELIX Native / Line 6

Line 6と言えばハードウェアアンプシミュレーターのPODシリーズが有名でしたが、その後HELIX(ヒリックス)ブランドを立ち上げ、所謂高級アンプシミュレーター、マルチエフェクター界隈に参入しました。

このHELIX NativeプラグインはDAW上でハードウェアのHELIXシリーズと同じ信号処理が可能なプラグインで、ハードウェアのHELIXシリーズで再び証明されたLine6のモデリング技術の高さを活かした高音質が魅力です。ベースアンプモデルも複数用意されています。

アンプモデルとモデリングを行った実際のアンプがUIから判別困難ですが、Line 6 Japanが公式の対応表を出してくれているので是非参考にさせていただきましょう。ページ中程の[Helix v2.90 アンプ/エフェクト・モデル一覧]から参照できます。

Helix – 関連資料 – Line 6 Japan(リンク先Line 6 Japan様WEBサイト)

UIが実際のアンプとは程遠いのが賛否の別れるところではありますが、視認性は高く慣れてしまえば問題なく使用できます。HELIXユーザーの方であれば見慣れたUIですね。また、HELIXハードウェアユーザーはHELIX Nativeプラグインを優待価格での導入が可能です。ハードウェアをお使いの方は検討してみるのもよいでしょう。一風変わったUIさえクリアすれば品質も高くオススメのプラグインです。

以下、まずはロードした状態での負荷状況です。

HELIX Nativeではここまで見てきたプラグインと違って、プラグインをインサートした段階でCPU負荷が発生しています。

HELIX Nativeを再生した際のCPU使用状況

こちらが再生中です。CPUメーターに若干の際がありますが誤差の範囲でしょう。このことからHELIX Nativeではアイドル状態でもすでにCPU負荷がかかっていることがわかります。

これは悪いこととか、不利なこと、という訳ではなく、予めプラグインが使用する処理用のCPUを確保しておくことで、再生・停止の際にDAWの動作を安定させるための仕様ではないかと推察されます。負荷自体はカテゴリー内では平均的なところでしょうか。

Line 6 / HX Stomp
Line 6 / HX Stomp

 




Vintage Amp Room / Softube

モデリング界の重鎮Softubeの、どこかで見たことのある形をしたアンプが並ぶプラグインVintage Amp Roomです。ここまでにご紹介したアンプシミュレーターとは異なり、3つのアンプモデルだけをプラグイン化したものです。やはりモデリングの重鎮だけのことはあり、それぞれしっかり同じ形をしたアンプの音がします。

操作系は非常にシンプルでギターアンプを選んで本体のツマミ6個でサウンドを作り、下部のマイクをドラッグしてマイキングポイントを変更するだけです。マイクにケーブルが繋がれていなかったり縮尺がおかしい気がしますが、細かいことは気にしないでおきます。

こちらも単体でお持ちの方は少ないと思いますが、VolumeシリーズにバンドルされているのでSoftubeユーザーであればプラグインリストにこっそり追加されているかも知れません。

Vintage Amp Roomをロードした際のCPU使用状況

プラグインをロードした段階ではCPUメーターは触れません。誤差も大いにありそうですが、メモリーの確保はしっかり目に行われています。

Vingage Amp Roomを再生した際のCPU使用状況

えっ!?と言うぐらい軽く動いています。個人的にはSoftubeのモデリングプラグインはしっかりしているけど動作が重め、という印象があったので意外でした。

この負荷であれば、取り敢えずでインサートしながら作業を進めることができそうです。この軽さとプラグインのクオリティのバランスは他のプラグインに比べて大きなアドバンテージになりますね。

Softube – Volume 4 (リンク先国内代理店MI7様ホームページ)

GTR3 / Waves

WavesのギターアンプシミュレータープラグインのGTRです。

こちらも単体でお持ちの方は少ないと思いますが、Gold以上のレギュラーバンドルに含まれているので、持っている方はとても多いと思います。操作子が少ないシンプルなシミュレーターで、サクッと設定して使えることが最大のメリットです。

アンプモデルは比較的豊富に取り揃えられているのですが、参照元のモデルが日本人の感覚からするとマニアック、と言うか、かなりマイナーモデルが多いので、実際のギターアンプに近づける、というよりもアンプモデルを気にしないで色々なモデルを試してみるのがよいと思います。

GTR3に用意されているアンプモデルと参照元アンプはWavesの代理店Media Integration様のホームページからみることが出来ます。

GTR3 – Media Integration(リンク先Media Integration様WEBサイト)

さて、CPU負荷を見ていきましょう。まずはインサートしただけの状態です。

GTR3をロードした際のCPU使用状況

この状態ではCPU負荷は発生していません。

Guiter Rig 5 Proを再生した際のCPU使用状況

こちらもかなり軽いですね。複数アンプモデルが搭載されている中ではダントツの軽さです。さすがWavesと言ったところでしょうか。

正直クオリティ的な部分では、AmplitubeやBIAS AMPあたりの精鋭達に一歩及ばずと言った印象ですが、サウンドの方向性を決めておきつつ作業を進める際に取り敢えずサクッとインサートする目的ではこちらの方が向いていると言えます。
WAVES / Gold Bundle
WAVES / Gold Bundle

UAD-2プラグイン

ここまでは、CPUを使用したNativeアンプシミュレータープラグインをご紹介してきましたが、ここからの4機種はUniversal AudioのUAD-2プラグインを4機種ご紹介していきます。

UADプラグインでは外部DSPを使用することでCPUに負荷をかけずに各種プラグインを使用することが可能です。

これらのUADプラグインを使用するにはUniversal Audio製のオーディオインターフェースかDSPアクセラレーターが必要ですが、オーディオインターフェースには録音時のリアルタイムモニターにアンプシミュレーターを使用することが可能なので、DAW録音時のモニタリングレイテンシーにお悩みのギタリスト・ベーシストには非常にオススメです。

UADプラグインはコンピューター本体のCPUは遅延補正用程度にしか使用しないので、CPUメーターに使用状況は現れません。UADシステム状況を監視するUAD Control Panel上でDSP使用率を参照してプラグインの重さについて見ていきます。

以下、UADプラグインがインサートされていない状態のコントロールパネルの様子です。

ハードウェアに搭載された各DSPごとにDSP使用率やメモリ使用率、使用プラグイン数を確認できます。上記では何もインサートされていないので、PLG(プラグイン数)は全て0になっています。DSPやPGMはDSPミキサーの動作やDSPミキサーを維持するための容量として確保されている分です。

UADプラグインは安定動作のために、プラグインをインサートした段階で最大使用量相当のDSPを確保します。複数のブロックから構成されるプラグインの場合にはDSP Loadrock設定をOFFにすることで未使用ブロックのDSPを解放することができますが、今回はDSP Load RockをONにした状態で計測します。

また、オーディオインターフェースやDSPアクセラレーターによって搭載されているSHARCプロセッサの基数が異なりますが、1プロセッサあたりの処理能力は同じなので、参考にしていただければと思います。

UNIVERSAL AUDIO / APOLLO TWIN X DUO
UNIVERSAL AUDIO / APOLLO TWIN X DUO

Friedman BE-100

FRIEDMANのBrownEyeの100ワットモデル=BE-100をモデリングしたプラグインです。プラグインの開発元はBrainWorxで、本家からはNetive版がリリースされています。実機同様、ナチュラルなドライブトーンから激しいディストーションまで広く使えるアンプシミュレーターです。

キャビネットとマイクモデルの取り合わせも豊富で、かなりサウンドを作り込むことが可能です。

BE-100を使用する際のDSP使用状況

画像のDSP4にBE-100がロードされた状態です。22.7%だったDSP4の使用率が88.0%まで跳ね上がっています。通常軽めのEQプラグインなどは10個くらい平気でロード可能なDSPなのですが、オーディオインターフェース内蔵DSPでは1DSPあたり1プラグインが限界でしょう。

使用しているapollo8pは4DSP搭載されていますが、これより少ないモデルだと必然的にサウンドが決まり次第コミットしていくような使用方法になります。

ENGL E765 Retro Tube

ENGL E765RT

UADのアンプシミュレータープラグインで一番使ってるのはこのE765かも知れません。こちらもBrainWorx製です。

レトロという名前がついていますが決して古臭さはなく、抜けのいいドライブサウンドから低域をガンガン出していくディストーションまで幅広く使用することができます。BE-100同様キャビネットとマイクのセットが豊富で、サウンドの作り込みが深いところまで可能です。

E765RTを使用する際のDSP使用状況

こちらもBE-100と大体同程度のDSP使用状況です。しっかり作ってコミット、という使い方になるでしょう。

Marshall Plexi Super Lead 1959

60年以上前のビンテージマーシャルをモデリングしたプラグインです。こちらはSoftube製で、本家にはNativeプラグインが用意されています。

現代的な音楽で言えばそこまでハードに歪むアンプではないのですが、カラッと抜けの良いドライブトーンが特徴でシングルコイルのカッティングなどにとてもマッチします。マイクモデルはDYNAMIC/FET/VALVEの3セットから選択して、セット内のマイク音量を操作する形式です。あまりマイクの知識がなくても初期設定のままで十分にクオリティの高いリアンプが可能です。

Marshall Plexi Super Lead 1959を使用する際のDSP使用状況

こちらはBrainWorx製に比べるとDSP負荷が小さくなっています。その分PGMが多めに押さえられていますが、DSPよりも先にPGMがリミットに達することはまず無いので、あまり気にする必要はないです。

軽めとは言え、オーディオインターフェースの1DSPに2プラグインをロードするのは難しいですね。DSPアクセラレーターのDSPであればDSPミキサーがDSPを確保しないので、2つインサート可能ですね。

Ampeg SVT-3PRO

BrainWorxモデリングのAmpeg SVT-3PROプラグインです。ライセンスものはUIがいいですよね。ちゃんとヘアライン加工がされています。

言わずと知れたAmpegです。ベーシストでは無いので実機との詳しい評価をすることはかなわないのですが、輪郭をはっきりと出しやすいのでブランドイメージ通りにロック系ベースのリアンプにはベストマッチです。

こちらもキャビとマイクの組み合わせが豊富に用意させています。中でも4*10インチキャビと8*10インチキャビの差を意識すると、実機同様パキッとした輪郭を残しつつ低域の質感をコントロール可能です。

Ampeg SVT-3PROを使用する際のDSP使用状況

グラフィックEQが付いているので重いのかと思いましたが、ギターアンプシミュレーターに比べると軽いです。複数インサートするようなものでは無いと思うのですが、ベースのサウンドを仮決定しつつ作業を進める際には便利かも知れません。

結果一覧と考察

ここまで私が所有しているプラグインの中で比較的メジャーなギター・ベースアンプシミュレータープラグインをご紹介してきました。ここからは考察として簡単にCPU負荷などについて考えていきます。

CPU使用率のみに絞って検証結果を一覧すると、以下の表のようになります(UADプラグイン除く)。

CPU使用率の一覧表

一覧を見て受けた印象は、サウンドクオリティとCPU使用率の関係性よりも機能性の影響が強いように感じられます。最もシンプルな操作のVintage Amp Roomが低負荷で、多機能なAmpliTubeやHELIX Nativeの負荷が大きいことから推察できます。

現実問題、ベース1トラック、ギター4トラックのセッションと仮定した場合、他のプラグインとの兼ね合いにもよりますが、今回ご紹介した中でアンプシミュレータープラグインを挿したままの状態で作業可能なのは、Vintage Amp Room、GTR3、BIAS AMP 2の3機種に絞られてくると思います。

特徴としては、アンプ機能のみでエフェクト機能を持たないモデルのCPU使用率が低いという結果が出ました。

逆に多機能なAmplitube4やGuitar Rig 5 Pro、HELIX Nativeはエフェクトを含めてじっくりと音作りをしたい場合には有効です。BIAS AMP 2もBIAS FXシリーズに読み込ませることでじっくりと作り込むことが可能になります。

オススメのプラグイン

考察を元に、どのプラグインがどんな方に向いているか、オススメかを見ていきます。

AmpliTube 4

AmpliTube 4は録音、テイクコンピングを行ったあとで1トラックずつじっくりとリアンプを行い、サウンドが決まったらフリーズやコミットを利用してCPUを解放するような使い方に向いています。また、コンパクトエフェクターモデルも豊富なので、エフェクターでサウンドを作り込みたい方にも最適です。

ハイクオリティなギアが豊富で多くのジャンルに対応可能なことが最大のメリットなので、導入する場合にはAmpliTube MAXがオススメです。

IK MULTIMEDIA / AmpliTube MAX

BIAS AMP 2

BIAS AMP 2はMIX作業に差し掛かるまでアンプシミュレータープラグインを操作していたい方にオススメです。アンプモデルが豊富で様々なサウンドに対応可能な点と、確かなサウンドクオリティがCPUにあまり負荷をかけずに得られることは大きなメリットです。

また、BIAS FXシリーズと組み合わせることで、AmpliTubeのように豊富なエフェクトを使用可能になる点も特徴です。ベーシストの方にも評判が良く、愛用されている方が多いです。

Celestion IRが必要なければ、BIAS AMP 2 ProfessionalとBIAS FX 2 Professionalをセットで導入するのがオススメです。

Positive Grid / BIAS AMP 2.0 Professional

Positive Grid / BIAS FX 2.0 Professional

Guitar Rig 5 Pro

Guitar Rig 5 Proは現在Native InstrumentsのKOMPLETEシリーズを使用している、または、導入予定の方にオススメです。

サクッとインサート系としては動作が重く、じっくり作り込み系としては操作出来る項目とクオリティに不安が残るので、KOMPLETEを使用しない場合には別のプラグインを選んだ方が良いかも知れません。

Native Instruments / KOMPLETE 12

HELIX Native

HELIX Nativeはハイクオリティじっくり作り込み系のプラグインとして優秀なのですが、UIが特殊なので万人受けとは言いづらいところがあります。

ハードウェアのHELIXを使用している方は操作系にも慣れていて、Line6にシリアル登録をすることで優待価格での購入も可能な点からハードウェアのHELIXユーザーや導入を検討されている方にオススメのプラグインです。

Line 6 / HX Stomp

Vintage Amp Room

Vintage Amp Roomはクオリティの高いアンプシミュレーターですが、3モデルのみのプラグインというハンデを背負っています。当然、そのサウンドが必要な際には問題にならないのですが、ジャンルがある程度限られてくることやエフェクトセクションを持っていないために万能とは言い切れません。

そのため、現在Softubeのプラグインバンドルを使用している方や導入する予定の方にはオススメのプラグインと言ったところです。Volume 4は多数のエフェクトプラウインがバンドルされておりMIXに役立ちます。アンプシミュレーターカテゴリーでは他にBass Amp RoomやUADでもプラグイン化されているMarshsll Plexi Super Lead 1959がバンドルされています。

Softube – Volume 4 (リンク先国内代理店MI7様ホームページ)

GTR3

GTR3はWavesのGOLD以上のバンドルに含まれているのが最大のメリットです。Waves製らしく低負荷なのですが、サウンド面では少し使いづらさを感じてしまいます。

こちらもGuitar RigやAmp Room同様に現在Wavesのプラグインバンドルを使用しているか、使用する予定のある方にはオススメのプラグインとしておきます。

WAVES / Gold Bundle

UADプラグイン

外部DSPを使用するUADプラグインをここに並べるのは反則だと思うのですが、ハイクオリティなアンプシミュレーターを実質CPU負荷0で使用することがとても大きなメリットです。また、トラッキング時のリアルタイムモニター機能もレイテンシーの関係でCPUベースでは難しい処理です。

今回ご紹介した4つ意外にも多くの実在アンプのモデリングプラグインが揃っています。

それぞれのアンプがエフェクトセクションを内蔵していないことや、他と比べると高価なことがデメリットに挙げられますが、EQやコンプなどMIX用のモデリングプラグインを使用するためにUADを検討している方には非常にオススメのプラグインです。

UNIVERSAL AUDIO / APOLLO TWIN X DUO

 




3行でまとめると

  • 軽い動作のサクッと系!
  • エフェクト豊富なじっくり系!
  • バンドルされてるおまけ系!

最後に

今回はギター・ベースアンプシミュレーターのCPU負荷から用途を考えてみました。かなり長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。操作系は慣れで解決できますが、クオリティに関してはそうはいかないのでしっかり選んで使用していきたいところですね。

プラグインの特徴やどんな方にオススメか、という部分も参考にしてみてください。

 


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