DTM/DAW

 Last Update : 2020.05.5

Meledyneを使用した簡単なピッチ修正&リズム修正の方法!


最高のテイクが録れたと思ってプレイバックしたら、実はピッチが微妙にズレていたとか、リズムがヨレていた、という経験がある方も多いのではないでしょうか。

端的に言えば、それはNGテイクなので正確なリズムとピッチのテイクが録れるまでレコーディング・トラッキングを繰り返すのが本来の形ですが、時間的な制約やコンディションの問題、そもそもの技量の問題でそれがかなわないことも少なくありません。

特にボーカル録りの際には声帯を使い続けるために声質が変わっていってしまい、テイクコンピングのときに上手く繋がらなかったり、音域が狭くなってしまうこともあり得ます。また、レコーディング時にNGを連発すると演奏者が精神的によろしくない状態に陥り、まともな演奏・歌唱が出来なくなる可能性大です。

そんなときに必ず話題に上がるのがピッチ修正、リズム修正プラグインです。

上記のようなネガティブな考え方だけではなく、若干ピッチが揺れているけど、ノリや雰囲気が抜群にいいテイクを使いたい場合や、いい感じに感情が入ってタメが大きくなっているテイクを軽めに補正したい場合、ボーカルパートとコーラスパートの発音タイミングやピッチが微妙にズレている場合など、元のテイクにプラスアルファするポジティブな使い方でも使用されます。

かなり強引な例になりますが、ボーカルパートをピッチ修正&リズム修正してダブリングトラックを生成したり、コーラスパートを生成したりする使い方も可能です。あまり大きくピッチを変更すると不自然な感じが出てしまうのでコーラスパートの生成はあまりオススメ出来ませんがダブリングパートは現実的です。

今回はCelemonyのMelodyneを使用して、ピッチ修正&リズム修正を行う方法を解説していきたいと思います。



Celemony Melodyne

Melodyne(メロダイン)とはCelomony(セレモニー)社のピッチ・リズム修正ソフトウェア・プラグインです。Antares社のAuto-Tuneと並んでピッチ補正ツールとしては有名どころですね。

DAWのプラグインとしてインサートする以外にも単体のアプリケーションとしても起動可能ですが、基本的にはプラグインとして使用することになると思います。私の環境では、Melodyne editorバージョンを使用しています。

Melodyneの詳しい特徴などについては下記公式サイトに掲載されていますので、ご参照ください。

Melodyneとは? – Melodyne (リンク先Celemony Webサイト)

少し日本語表記が揺らいでいますが、解読可能と思います。

 

Melodyneの使用方法

ここからは実際にDAWでMelodyneを使用してピッチ修正・リズム修正を行う方法についてご紹介していきます。使用しているのはProToolsですが、他のDAWでも操作方法は変わりませんので、適宜読み替えてください。

また、最も多く使用が想定されるのがボーカルトラックなので、実際のセッションで解説出来ればよかったのですが、残念ながら諸般の事情で用意するのがかなり難しいので、今回はピアノとサックスを使用したデモセッションで解説をしていきます。

まずは伴奏のピアノトラックのみをお聴きください。

背筋を伸ばして頭を下げて元に戻りたくなる感じにしてみました。C→G→Cの進行です。これにサックスを足します。

ドレミファソーラシドーーーです。これが正しい状態として進めていきます。このサックスの音程がズレていると以下のようになります。

かなり大袈裟に気持ち悪く外してみました。通常ここまで外れていたら録り直しになりますが、今回はこのまま進めます。

 

ピッチの修正

Melodyneを始めとしたピッチ補正ツールは動作の重さとレイテンシーの影響で通常リアルタイムで使い続けるプラグインではありません。MIXの準備段階で使用して、ピッチ修正をしたトラックを別データに書き出してMIXセッションにインポートするのが賢い使い方です。

修正データ録音用のトラックを用意して、ピッチのズレたサックストラックにMelodyneをインサートしたのが下の画像です。

P_NGがピッチがNGのサックストラック、Pitch_Editがピッチ修正をしたデータを録音するためのトラックです。

NGトラックの出力とEditトラックの入力が共に[Bus1]に設定してあるので、Melodyneでピッチ修正が行われたオーディオはEditトラックに録音可能です。音を聴きながら作業をするために、入力モニター[I]はONの状態、Soloで聴く時のためにソロセーフ(ソロボタンを⌘+クリック)を入れておきます。

Melodyneをインサートすると下記のような画面が表示されます。

この状態ではピッチの修正は出来ません。最初にやるべきことは、Melodyneにピッチ修正行うトラックを聴かせることです。

そのためには、プラグインウィンドウ上部の[●Transfer]をクリックします。

黒丸が赤丸に変化し、読み込み待機状態になりました。この状態でDAWを再生してピッチを直したい部分をMelodyneに聴かせます。

再生が止まるとMelodyneが再生されたオーディオの音程と各音の長さを表示してくれます。今回はバーチャルインストゥルメントをアーティキュレーション無しで使用したので綺麗に出ていますが、生楽器やボーカルトラックはこんなに綺麗に音程がでないのが通常です。

さて、読み込まれた音程を画面左側の音名と照らし合わせつつ、正解の音程と比べて外れている音を確認します。例に出したものがあからさますぎて、しっかりと見比べる必要もありませんが、以下ご覧ください。

赤くハイライトさせた3つの音の音名を確認するとそれぞれA♭(ラ♭)、B♭(シ♭)、D♭(レ♭)となっています。前述のように正しい音程はドレミファソラシドのハ長調なので、これらがスケールアウトしています。Melodyneを使ってこれらをそれぞれA(ラ)、B(シ)、C(ド)に修正していきます。

ピッチの修正にはピッチツールを使用します。画面上部のツールバーで左から2つ目です。ピッチツールを選択したら、修正したいノートを縦にドラッグすることで音程を変化させることが出来ます。ドラッグ中は音が出てくれるので耳でも確認しましょう。また、ダブルクリックを行うと一番近い音程に合わせてくれます。

こんな感じに修正出来ました。音は以下のファイルです。

再生しながらトラックを確認し、OKとなったところで、先ほど用意したトラックにレコーディングを行います。コミットして行ってもいいのですが、修正箇所が多くなった場合に時間がかかるのと、トラック数が膨れ上がってしまうのでワンタッチで出来るレコードがオススメです。

実際の工程ではこの後に別の部分を読み込ませて修正→レコーディングと続けて行くことになります。

半音単位で修正しているので違和感を感じる方もいるとは思いますが、直線的に音程が出ているものはこんな感じにごく簡単に修正可能です。前述の通り生のトラックではこうは上手く行かないことが多いです。その時はカットツールやフォルマントツールなどを使って持続音部分だけ修正したりするなど、なるべく自然に聴こえるように修正していきます。

たまにボーカルトラックを全音かっちりと修正する方がいますが、ボーカリストのイントネーション、ビブラートが失われて機械音声のようになってしまうのでオススメ出来ません。ケロケロボイスを作る場合や平坦な歌を演出したい場合などを除いては、あくまでも自然に聴こえる範囲で修正をおこないましょう。

 

 

タイミングの修正

Melodyneではテンポやタイミングの修正もピッチ修正同様に行うことが可能です。

こちらのサックスは音程もリズムも崩れてしまっています。今回の正解はドーシラソファミレドーーーですが、後半部分が大きく遅れているのと、音程もミスっています。繰り返しますが、普通に考えたら完全なNGテイクなので、録り直します。

このテイクをMelodyneに読み込ませたものがこちらです。

今回も赤字でハイライトさせたノートがNGな音です。アタマのDは本来Cであるべきです。後半のF-E♭-Bは本来E-D-Cのハズです。そして、最後の三音が縦軸の4分音符のラインから明らかに遅れて発音されています。

まずは先ほどの例を参考にピッチを修正します。

ピッチを修正しました。

音程に関しては正しいところに納まりましたが、、依然として最後の三音が大きく遅れています。この三音をあるべき位置に戻すために、タイムツールを使用します。

今度は右から2つ目のツールです。ついでに視認性向上のためにグリッドを8分音符にしておきます。プラグインウィンドウ右上の音符マークについているプルダウンから変更可能です。音符自体をクリックするとグリッドモードになります。グリッドモードでは現在の発音タイミングから相対グリッド状態でしか移動出来なくなってしますので今回はOFFのまま使用します。

修正方法は音程と同じく、タイムツールで横方向にドラッグアンドドロップです。

こんな感じで修正完了です。音は以下のような感じになります。

位置を単純に動かしただけなので、Fの音の長さが短くなってしまっていますが、カットツールを使用してディケイ部分をカットして、その部分を短く、前後を長く取ることで違和感を減らすことが可能です。

こうして隙間を詰めたのがこちらです。

なんとなく自然な雰囲気に聴こえるようになりました。



和音のピッチ修正

ここまではサックスが色々やらかしたのを修正してきましたが、今度はピアノにやらかしていただきました。

いいところまで行ったのですが、最後のCを派手に間違えています。実は和音の修正はやったことがないのですが、Melodyneでは和音のピッチも検出可能なので、早速読み込ませてみます。

単音のサックスよりは正確に出ないですが、和音のピッチも検出できています。

Cの5度GがなるべきところがG♭になってしまっています。どうやったらハ長調で白鍵と黒鍵間違えるのかは疑問ですが、これも単音時と同様にピッチとリズムを個別に修正することが出来ます。

と強引に修正してみましたが、実用性があるかと言われるとちょっと疑問に感じます。どうしてもオクターブ音や共鳴してる音は濁ってしまいますね。

 

オススメのエディション

Melodyneにはエントリー版のEssential、ライトユーザー向けのAssistant、アルゴリズム・音階機能拡充版のEditor、マルチトラックなど全機能を搭載したStudioの4エディションが存在します。

各エディションの違いについては下記Celemonyサイトで確認可能です。

エディションと技術詳細 (リンク先Celemonyホームページ)

Essentialでは基本的な機能を抑えていますが、フォルマントやビブラート機能などが備わっていないため、不自然さを無くすという点ではあまりオススメできません。

今回ご紹介した基本機能+ボーカルトラックによく使用される機能を考えるとAssistant、またはEditorを選択するのがよいでしょう。ピッチ&リズム修正を行う実使用上でのAssistantとEditorの違いはピッチの検出アルゴリズム位しかありません。

CELEMONY / MELODYNE 4 ASSISTANT
CELEMONY / MELODYNE 4 ASSISTANT

正直なところ、Studioで追加される機能は生オーケストラの録音でもしない限りは使用しないのではないかと感じています。



☆まとめ☆

  • Transfer→ピッチツール→レコード!
  • ボーカルトラックはピッチ修正しすぎないように!
  • 強引に修正すると違和感あるので録り直しを!

 

最後に

今回は使用されている方、興味を持っている方が多いピッチ補正ツール、Melodyneを使って実際にピッチ修正を行う基本的な方法についてご紹介してきました。記事内ではごく簡単な修正をしていますが、実際はフォルマントツールを使用したりして違和感を可能な限り減らしていきます。

Melodyneを始めとしたピッチ修正ツールは、ほとんどの場合ボーカルトラックに使用することになると思われます。文中でも述べましたが、全ノートをかっちり修正してしまうと、レコーディング時に捉えられていたボーカリストのタメやイントネーションが失われてしまうので程々に留めておくのが正解です。

逆に、タメや表現が良いけど音程がイマイチというテイクにピッチ修正を行うことでよりよいテイクを作ることが可能になり、結果として仕上がりのクオリティにも好影響が出てくるのは間違いありません。

個人的にはあまり積極的には使用したくないツールなのですが、コーラスパートを重ねたり、多重録音をする際には少しのズレが不協和音に繋がるので使用することが多いです。

 


少しでも皆様のお役に立てたら「いいね!」していただけると歓喜します。

ZAL



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