Guitar

1つ上のサウンドへ!エレキギターのカスタマイズ〜メンテナンス編〜

お使いのエレキギター、買った時のままで手入れをしていない方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?

弾いたあとなどもそのままにしておくと、金属パーツのサビの原因になったり、パーツの緩みなどで演奏中に思わぬトラブルを起こす原因になります。

今回は、簡単にできるエレキギターのメンテナンスの基本についてご紹介して行きます。

ネックコンディションの確認や、ブリッジなどの調整に関しては以下の記事をご覧ください。




目次

ネジ、ナット類の増し締め

エレキギターは本体ごと振動することで音を出しています。また、ボディやネック、ヘッド自体に使用されている木材も気温や湿度の影響を大きく受け、それぞれに伸縮を行うため、使用しているうちに各部のネジが緩んでしまいます。

そのままにしておくと、ネジが抜け落ちてしまうことや、演奏中にストラップピンが外れてしまう、などのトラブルの原因になるので、定期的に増し締めをしておきましょう。

また、ネジが錆びてしまっている場合は、ネジ自体を交換しましょう。ネジ山も錆びて固定する力が弱まっているし、ギター本体や他の金属パーツにサビが移るしといいことがないです。

ネジの緩みチェックポイントは以下の通りです。

1.ペグをヘッドに固定しているネジ、ナット

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弦の張り替えついでにペグの緩みを確認しましょう。ここが緩んでいると、正確なチューニングができず、弦が切れやすくなったりもしてしまいます。緩みが大きいと弦を張っていない状態でペグが簡単に動くので解りやすいです。

ロトマチックタイプのペグならヘッド表面のナットと裏面のネジを、クルーソンタイプのペグなら裏面のネジを確認します。軽い力で締まる方向に回してみて、回らなければOKです。

上の画像のストラトの場合、裏面にネジは無く、ヘッド裏の窪みにペグ(正確にはチューニングマシン)本体の出っ張りをはめ込んで前面のナットで固定するタイプです。お使いのギターに合わせて確認をしてください。

木部と金属パーツを止めている木ネジは力いっぱい締めてしまうと、ネジ穴が破損しネジが締まらなくなってしまうので、力加減には注意が必要です。私は精密ドライバーなど、軸が細くてトルクがかからないドライバーを使用してグっと一瞬力を入れて確認をしています。

緩んでいた場合は、力加減に注意しつつしっかりと固定を行います。

すでにネジ穴が破損していた場合、楽器店さんに修理をお願いするのがよいでしょう。

ちなみに、ネジ穴が破損して木ネジが無限に回る状態を、『ネジ(穴)がバカになっている』と言います。

2.ブリッジ、テールピース固定用のネジ

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ブリッジをギター本体に固定しているネジも使用しているうちに緩んで来たりします。元を締め切った状態で使用している場合は、しっかりと締めておきましょう。

2点支持のシンクロタイプやフロイドローズタイプ、チューンオーマチックタイプのブリッジは、ここが緩んだり締まりすぎたりすると弦高に直結して来ます。6点支持のシンクロの場合、アームの可動域にも関わる部分なので慎重に調整を行いましょう。

3.ピックガード固定用のネジ

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ピックガードをボディに固定しているネジも使用しているうちに緩んできます。適宜増し締めを行って、隙間が開かないようにしておきましょう。隙間が開くと中にホコリが溜まりやすくなる他、サウンドにも影響が出て来ます。

また、これらも木ネジなので締めすぎには注意しましょう。

余談ですが、海外製のエレキギターでは、出荷時からこのネジ穴のいくつかがバカになっている場合があります。イラっとしますが、逆にMADE IN JAPANを誇りましょう。

ネジの多くがバカになっている状態ではピックガードが引っかかっているだけ、という状況になってしまいます。こうなる前に楽器店さんに相談するか、竹串やつまようじなどを使用して修繕しましょう。

4.ネック固定用のネジ

neckplate

ボルトオン形式のネックでは、ボティとネックを3〜4本のネジで固定しています。

滅多に緩むことはないのですが、ここの締まり具合も一応確認しておきましょう。シムを挟んで角度をつけているタイプのネックの場合、ここのネジの締めすぎには注意が必要です。

5.ストラップピンの止めネジ

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パフォーマンス系ギタリストがライブ本番中に事故るポイントナンバーワンは暴れた拍子にエンドピンが抜けるで間違いないでしょう。せっかくロックピンを使用しても、ここが抜けてしまうとどうしようもありません。

ここも木ネジなので、締めすぎてバカになってしまうのも問題ですが、抜けてしまうのも大問題です。ライブ前には緩みがないかを確認しましょう。

また、画像では解りづらいですが、ギターによっては金属パーツが直接ボディに当たらないように、小さいフェルトが敷いてあります。エンドピン交換などの際に無くさないようにしましょう。このわずかな厚みも木ネジのネジ穴の深さに関わってきます。

ポット・スイッチ・ジャック類の動作確認

ギター本体に取り付けられているポットやスイッチ、ジャックなどの電子パーツも長い間使用していると不調をきたしてきます。

これらは動作する際に金属同士が擦れ合っているので、使用しているうちに接点が削れてきて正常に機能しなくなります。

ライブ本番で不具合が深刻化すると目も当てられないので、ちょっと様子がおかしいと思ったら対処しましょう。

1.ポットの動作確認

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ポットの内部では、金属製の抵抗と金属製のシャフトが擦れ合う構造になっています。

そのため、しばらく使用していると接点が磨耗して、ポットを動かすと『ガサガサ』や『ガリガリ』といったノイズが発生し始めます。このノイズを『ガリ』や『ガリノイズ』などと呼ぶのですが、症状が重くなると音が出なくなったりもするので、早めに対処しましょう。

対処法としては、接点復活剤を使用するか、ポットそのものを交換するか、のどちらかになります。

個人的には接点復活剤は根本的な解決に至らないので、ポットを交換する方法をおすすめいたします。

一般的に、リアピックアップがシングルコイルのギターには250kΩのポットが、ハムバッカーピックアップのギターには500kΩのポットが使用されています。特殊なところだと、アクティブピックアップ搭載のギターには25〜50kΩのポットが、テレキャスターなどの一部のギターには1MΩ(1000kΩ)のポットが使用されています。

ノブの動作確認

ポットの確認の際には、表面につけているノブが外れやすくなっていないかも合わせてチェックしておきましょう。イモネジを締めて固定するタイプのノブはそう簡単には緩みませんが、スプリットシャフトのポットに上から被せているだけのノブは内側に刻まれたギザギザがすり減って、空回りしやすくなっている場合があります。

空回りしてしまっているノブは大人しく交換しましょう。

スプリットシャフトのポットには主に海外産のインチサイズと国産のミリサイズがあるので、サイズにあったノブを選びましょう。ちなみに、両対応のノブもありますが、遊びがあるためか劣化が早い気がしています。

spritshaft

↑の画像がスプリットシャフトです。シャフトの先端が2つに別れているからスプリットシャフトって呼ばれています。

スプリットシャフトにイモネジで固定するタイプのノブを締め込みすぎると、向きによってはスプリットシャフトの隙間が押し込まれてしまって固定が困難になります。増し締めする際や、交換する際には向きにも気をつけましょう。

spritshaft2

↑の画像の赤い矢印方向から締めてしまうと、隙間が潰れて固定できなくなります。青い矢印の方向から締めましょう。

また、隙間にスペーサーを噛ませてどちらから締めても問題ないようにするグッズもあります。私自身は使用してないですが、意外と便利なのかも、と思っています。1.5mmと1.0mmがあるので、お使いのポットに合わせてお選びください。
ESP / SPLIT SHAFT SPACER 1.5mm
ESP / SPLIT SHAFT SPACER 1.5mm

2.スイッチ類の動作確認

switch

ポット同様にスイッチ類も金属接点の磨耗や、バネの磨耗などで時間とともに正常動作しなくなります。ピックアップセレクターのガリでは特定のピックアップに切り替えた際にガリノイズが発生したり、最悪の場合、全く音が出なくなったりします。

この場合も接点洗浄かパーツ交換になるのですが、長期的に見ればパーツ交換の方がおすすめです。

画像のCRL社の用なシンプルなスイッチは配線も簡単なのですが、Ibanez社のギターのような特殊配線と特殊なスイッチを使用しているギターの場合、パーツの入手難度も含めて楽器店さんに修理を依頼されるのが良いかもしれません。

3.ジャックの動作確認

jack

ジャックもシールドのコネクタと金属同士が擦れ合って接続されています。そのため、当然接点は削れて来ますし、それによって接触不良も発生します。また、ジャック内部の汚れが原因で接点不良を起こすこともあります。

まずは綿棒に無水エタノールを染み込ませてジャック内部を洗浄し、それでもダメならパーツ交換を考えるのがよいでしょう。また、ついでにガーゼなどに無水エタノールを染み込ませて、シールドの標準コネクタも磨いておくとよいでしょう。

ジャック内部に関しては接点復活剤を使用すると、かえってホコリを吸着しやすくなるため、私は使用していません。使用する場合も先に無水エタノールで洗浄してから、少量を綿棒に吹き付けて塗るようにしましょう。

余談ですが、無水エタノールは金属接点系を洗浄するには最高の道具です。音響用ケーブルのキャノン端子や、標準コネクタ、ミキサーのツマミやキーボードなどいろいろなものをピカピカにしてくれます。

ただ、塗装やプリントなども剥がしてしまうため、ギターの塗装面にはつかないように注意しましょう。また、揮発性の薬品なので、使用する際には換気をしっかり行い、ボトルも使ったらすぐに密閉しましょう。大切なことですが、エタノール使用中は火気厳禁です。

ジャックの接点不良の原因には、ジャックプレートの裏側でジャックそのものが回転してしまったことで、キャビティとジャックが触れてしまっていることも考えられます。

ピックアップキャビティを始めとして、エレキギター内部にはノイズ対策のために導電塗料が塗られていてそれがアースに接続されている場合があります。導電塗料とは電気を通す特殊な塗料で、この塗膜とシールドの先端と接続されるジャックの先端側が触れていると、信号線がアースに落ちている状態=音が出ない状態になります。

先ほどの増し締めの項よりもこちらでご紹介しようと考えて温存しておりましたが、ジャックプレートとジャックの接続部分の増し締めは大変重要です。

増し締めを行う際には、必ずギター本体からジャックプレートを外して、ジャック内部を抑えながらナットを回すようにしてください。内部を抑えずに外側だけを回すと、ジャックがプレートの内側で回転し、最悪の場合、ジャックとボリュームポットなどを接続しているケーブルが捻れて断線してしまいます。



エレキギターの清掃

エレキギターには見た目の美しさも大切です。

レリック加工のように使い込まれた風合いが出ているものはよいのですが、清掃を怠って『ただ汚い・ボロいギター』になってしまっては魅力も半減です。

ここからは、エレキギター各部の清掃方法をご紹介していきます。

1.ネックの清掃

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楽器の汚れのなかでもっとも多いのは、『手垢』です。

特にネックは一番手で触る部分で、フレットや弦により皮脂が剥がれて裏側にも付着しやすいため、汚れも溜まりやすくなっています。また、汚れたままにしておくと、手の滑りが悪くなり、演奏性も低下します。

弾き終わったらクロスでネック裏を拭き取っておくだけでも効果はあるので、習慣をつけておきましょう。

また、ライブ本番が終わってから即撤収しなくてはならない、などの理由ですぐには拭けない場合は、出番終了後の楽屋や帰宅してすぐのタイミングなど、なるべく早くクロスをかけるようにしましょう。

2.指板の清掃

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ギターの中でもっとも汚れる場所、それがこの指板(フィンガーボード)です。フレットと弦によって削り取られた皮脂が直接付着しています。

この汚れを放置しておくと、フレットが錆びたり、指板が変色したりとろくなことがありません。

普段は弦が張ってあるため指板自体の清掃は困難ですが、弦交換のタイミングでは是非清掃をしておきましょう。

弦を外したら、ポリッシュで軽く濡らしたクロスで指板を拭いて行きます。この時、フレットの際に手垢などが溜まりやすいので、つまようじなどを使って細い部分も綺麗にしていきます。ローズウッド指板のギターは仕上げにレモンオイルを薄く伸ばして完了です。メイプル指板は表面に塗装がされているので、仕上げの必要はありません。

3.フレットの清掃

neck

フレットはサビに強い金属でできていますが、使用しているうちに表面がくすんできます。

こうなってくると見た目の問題だけでなく、指や弦の滑りが悪くなり、演奏性に影響がで始めます。特に、少しでもチョーキングが引っかかるように感じたら清掃すべきです。

清掃と言ってもどうすればよいのでしょう。結論から言うと、表面を研磨します。もっと平たく言うと、表面のくすんだ部分を削り落とします。と言ってもヤスリでガリガリ削る訳ではなく、専用の研磨剤を使用して表面のみを薄く削る程度なので、フレットが著しく減ってしまうようなこともありません。
FERNANDES / SCRATCH MENDER 946
FERNANDES / SCRATCH MENDER 946

指板に直接触れないように、フレットを残して全面マスキングをしてから、このSCRATCH MENDER 946を少量ウェスに取りフレットを1本ずつ磨いて行きます。

フレット磨きに使用したクロスは剥がした金属が酸化して真っ黒になるので、ボロボロになったTシャツの切れ端など捨てる前提の布(ウェス)で行うとよいです。

全フレット磨き終わったら、綺麗なウェスを使用して空拭きをしっかり行います。この時、空拭きしたウェスに汚れがつかないところまでしっかりと拭き上げましょう。綺麗になったらマスキングテープを剥がして、指板をもう一度清掃して終了です。

施術前後の写真を撮っておくと見違えるほど綺麗になっているのがわかると思います(私は撮り忘れましたが…)。フィンガリングもスムーズになり良いことづくめです。

また、作業中にフレットの具合もチェックしておきましょう。弦の直下だけ溝が出来るように削れているフレットは、フレットの擦り合わせ、フレット交換の必要があります。個人レベルでは不安が残るので、これらの作業は楽器店さんに依頼しましょう。

4.ボディの清掃

LesPaul

こちらも通常弦が張ってある状態では清掃が行き届かない部分です。特に弦の真下、ピックアップの間にはピックの削れカスや皮脂などがたくさん付着しています。

こちらも指板同様に、弦を外した状態でポリッシュで濡らしたクロスで拭き上げていきましょう。

また、シンクロナイズドトレモロやフロイドローズブリッジの隙間にも同様にピックのカスや皮脂、ホコリが入り込んでいます。

細かい隙間の清掃は、柔らかい歯ブラシなどで汚れを掻き出したり、エアーダスターなどで吹き飛ばしてやりましょう。仕上げに綿棒にポリッシュを染み込ませて拭き上げてやるとより綺麗になります。

私が楽器全般に使用しているポリッシュは以下のものです。なぜか甘い匂いがするのが難点ですが、どんなギターでも驚くほどさらっさらになります。注意書きに書いてあったので、試しに家具にも使用した結果、これらもさらっさらになりました。勿体無いので家具にはもう使いませんが、楽器全般に非常におすすめです。
KEN SMITH / PRO FORMULA POLISH
KEN SMITH / PRO FORMULA POLISH

また、ポリッシュを使わない普段のクロスがけにはマイクロファイバー入りのクロスがおすすめです。力を入れなくても指紋などが簡単に取れていきます。パソコンのディスプレイなんかにも使っちゃってます。
MORRIS / CLEANING CLOTH
MORRIS / CLEANING CLOTH

ポリッシュやオイルを使用する時には端切れの適当な布や購入時に付属してきたクロス、空拭きの時にはマイクロファイバー入りクロスと使い分けることで、低予算でギターを綺麗にできますよ。



3行でまとめると

  • 電子パーツの接点はしっかり確認!
  • ギターの汚れは演奏性も低下させる!
  • ボディもネックもフレットもピカピカに!

最後に

さて、メンテナンス編をお届けしてまいりましたが、自分が思った以上にパーツの接写が下手くそな点が一番の問題ですね、ピントボケまくりです、外部からお借りした画像との差が凄まじい。この画像で伝わっているか心配ですが、うまく汲み取っていただければ幸いです。

 


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