ProTools

より便利に!ProToolsの初期設定〜メータリング&プロセッシング編〜

ProToolsを導入したは良いものの、便利な使い方が分からない。思うように使用できずに不便、と思っている方も少ないないと思います。

しかし、それらの不便さや不明な点はもしかすると初期設定をしっかり行うことで解決出来るかもしれません。

ということで今回は、ProToolsの初期設定から、メーターの動作に関するメータリング設定と信号処理に関するプロセッシング設定についてみていきます。



目次

ProToolsの初期設定方法

初期設定ウィンドウはアプリケーションメニューバーから[ProTools]→[初期設定]または、[設定]→[初期設定]を選択すると立ち上がります。

ここからは実際の画像を交えて、メータリングタブの設定とプロセッシングタブの設定について解説を行っていきます。

メータリング

MIXは耳で行うもの、とは言うものの正確なレベルコントロールを行うためにメーターを読むことは欠かせません。

このメータリングタブではProTools上で各段階のレベルを表示するメーターに関しての設定を行うことができます。

トラックおよびマスターのメータータイプ

各トラックとマスタートラックのメーターの種類を選択する項目です。

トラックとマスターのメータータイプをリンク

インプットトラックとAUXトラックのメーターとマスターメーターに同じものを使用するか別々のメーターを使用するかを設定する項目です。

インプットメーターとマスターメーターではみたい情報が違うので私はOFFで使用しています。

ここでの設定はMIXウィンドウ上のメーターを右クリックすることで、初期設定画面に入らなくても変更が可能です。

トラックメーター

入力信号のレベルをインサートスロットより後、フェーダーの手前で見るオーディオトラック、インストゥルメントトラック、AUXトラック用のメーターを選択する項目です。各メーターの特徴については実際に使って確認してみることをオススメします。

入力信号に関してはピーク成分をみたいので、私はサンプルピークやProToolsクラシックを使用しています。

マスターメーター

マスターの信号をインサートスロットやフェーダーを経過した後でレベル表示するメーターです。こちらも色々なメーターを試してみるのがよいでしょう。

私はマスターでは平均的なレベルを見たいので、デジタルVUメーターを使用しています。

ピーク/クリップ

信号のピーク成分やクリッピングが発生した際にメーターの表示をどれ位キープするかの設定を行うことができる項目です。

ピークホールド

信号のピーク成分をメーター上にどれ位の時間表示しておくかを設定する項目です。3秒間表示、時間無制限、表示なしの3種類から選択できます。

私は適度にピークが見れる3秒を選択しています。

クリップ表示

デジタル段でオーバーレベルが発生するとデジタル歪み=クリッピングが発生します。アナログ段での歪みと違い音楽的ではなく、完全にノイズとして音に現れるので確実に監視することが求められます。こちらも3秒間表示、時間無制限、表示なしの3種類から選択できます。

私は絶対にクリップを見落とさないように無限に設定しています。

メータータイプの高度設定

各メータータイプの詳細設定を行うことができます。

メータータイプ

ここで詳細設定を行うメーターのタイプを選択します。

ディケイ

メーターがピーク値から落ちていく速度を設定する項目です。

分子に当たるdBがメーターの指示値で、分母のsecが分子の値だけメーターが落ちるのにかかる時間です。

0dB=

メーター上の0dBを実際の音量のどこに置くかを選択する項目です。マイナスの値でのみ設定できます。

初期値の0dBFSはメーターでクリップが発生したときに、オーディオもクリップしている状態です。メータリングにはこの状態が使いやすいのではないかと思います。

積算時間

PPM(ピー9プログラムメーター)では、メーターに表示する値を短い時間の積算で表示します。この時の反応速度をms単位で設定します。

他のメーター形式では設定できません。

表示色の境界 高

メーターの表示色は音量が小さい方から深い緑→淡い緑→オレンジと変わっていきます。

この項目では淡い緑からオレンジに表示色が変わるしきい値を設定することができます。

表示色の境界 低

上記と同様、こちらでは深い緑から淡い緑に変わるしきい値を設定することができます。

表示

いくつかのメーターは画面に任意に表示されることができます。

表示タグではそれらの表示を行うかどうかの設定を行います。

センドアサインメントにレベルメーターを表示

これに関しては、実際に画像をみていただいた方が早いです。

ここにメーターが表示されます。

こんな感じです。小さいですね。

私はナローミックスウィンドウを使用しているので、画像よりもさらに狭く表示されることになります。そのため、複数トラックからリバーブセンドなどを行うとかなり表示が混み合うので、OFFに設定しています。そもそも送っていないセンドはセンドスロットに置かない主義です。

インサートアサインメントにリダクションメーターを表示

これも画像で見た方が早そうです。

ここにリダクションメーターが出ます。

こんな感じです。小さいです。

センドメーターと同様の理由は私はOFFにしています。

トラックにゲインリダクションメーターを表示

これも画像でいきます。

このメーターの右側にリダクションメーターが現れます。

これはナローミックスウィンドウでも読みやすいので使用しています。目盛りが振ってないので、リダクション量は分かりませんが、目安程度にはなります。

ただ、サードパーティー製プラグインにはこの表示に対応していないものもあるので注意が必要です。参考までにこの記事を書いている段階ではUADプラグインはインサートスロット含めてリダクションメーター表示には対応していません。

ゲインリダクションメーターの種類

表示するメーターにコンプやリミッターのように入力に反応してリダクションを行うプラグインのリダクションを優先、表示するのか、エキスパンダーやゲートのように入力がない時にリダクションが行われるプラグインを表示、優先するのか、リダクションの合算値を表示するのかを設定できます。

私は、ドラムトラックなどにインサートしたゲートやエキスパンダー、トランジェント系プラグインでのリダクションを監視したいので、エキスパンダー/ゲートを優先に設定しています。



プロセッシング

プロセッシングタブではオーディオ信号やオーディオファイルの処理についての設定を行います。

以下、項目ごとに確認していきましょう。

AudioSuite

AudioSuiteプラグインをクリップ・トラックに使用する際の設定です。

ハンドルのデフォルトの長さ

AudioSuiteで扱うクリップのデフォルトの長さを設定します。

インポート

ここではセッションにオーディオファイルをインポートする際の設定を行います。

インポートされた.wavファイルをAES31/Broadcast Waveに変換

インポートしたWAVEファイルをAES31準拠のファイルに変換する設定です。AES31ファイルでは他のDAWとの互換性などが重視されたフォーマットで、対応DAWであれば問題なくデータの移行が可能です。

以前ほどトラブルは少なくなりましたが、以前はAIFFとWAVのやり取りではファイル形式の変換が上手く行かないことが少なからずありました。その時に使用するオプションとして実装されているのですが、私は当時からずっとONで使用しています。

もし他の環境からインポートしたファイルが再生や読み込み出来ない場合にはこの設定を疑いましょう。

インポート時にファイルを自動コピー

このチェックが有効になっている場合、セッションにオーディオをインポートする際に、セッションフォルダ内の[Audio File]フォルダにコピーが生成されます。チェックが入っていない場合には元ファイルを参照します。

例えば、送られてきたファイルを一度デスクトップ上に展開し、インポートを行った場合、コピーを生成していればデスクトップからオーディオファイルを移動してもセッションは継続できますが、コピーを生成していない場合にはファイルの再リンクが必要となります。元ファイルを削除している場合にはセッションの復元が困難になるのでこのチェックは入れて置くようにしましょう。

コピーしたファイルをセッションのフォーマットへ変換

セッションにファイル形式の違うオーディオファイルがコピーされた場合にセッションのフォーマットに変換する設定です。

これもトラブルの原因となるので、ONにして使用するようにしましょう。

インポート時にサンプルレートを変換しない

このチェックが入っていると、サンプリングレートが異なるファイルがインポートされた際にサンプリングレートの変換を行いません。

セッション内でまともに再生出来ないので、このチェックは外しておきましょう。

REXファイルをクリップグループとしてインポート

REX形式のループ素材をインポートする際に、クリップグループとしてインポートする設定です。OFFに設定されている場合にはセッションフォーマットのオーディオとしてインポートされます。

[フェード自動生成]ではクリップグループとしてインポートしたREXファイルにデフォルトフェード設定に基づいて自動的にクロスフェードが書かれます。

デスクトップからドラッグしたときはセッションテンポに従う

このチェックが有効になっていると、デスクトップからドラッグ&ドロップでファイルをインポートした際に、指定した形式のファイルがTick形式でセッションテンポに合わせてテンポ変換されてインポートされます。通常REXファイルやACIDファイルなどのループ素材のみONにして使用します。

サンプルレート変換の品質

ドラッグ&ドロップでインポートされたファイルのサンプリングレートを変換する品質を設定します。基本的には時間がかかっても最良を選択します。

コミット

セッション内でオーディオをコミット・レンダリングする際の設定です。

レンダリングされたファイルのビットデプス

コミット機能で生成したオーディオファイルのビットデプスを設定します。

私はセッションで使用するファイルのビットデプスを揃えたいので、セッションの設定にしたがっています。

TC/E

この項目ではTime Compression / Expansionに関する設定を行います。

TC/Eプラグイン

TC/Eトリマーツールで使用するTC/E処理を行うプラグインを選択します。Avid製プラグイン以外ではWaves Sound Shifterなどが使用可能です。

デフォルト設定

TC/Eトリミング時のプラグイン設定を選択します。

TC/Eトリマー自体ほとんど使用しないので、この部分は初期設定のまま使用しています。

エラスティックオーディオ

ここでは、タイミング補正に使用するエラスティックオーディオ機能に関する設定を行うことができます。

デフォルトプラグイン

インポートされたTickタイムベースのオーディオファイルにエラスティックオーディオを使用する場合に使用するプラグインを選択します。

デフォルトインプットゲイン

エラスティックオーディオの処理中にクリップが発生する場合にはこのインプットゲインで-6dBまでレベルを下げてインポートすることができます。

新規トラックはエラスティックオーディオをオン

このチェックをONにしておくことで、新規トラックをTickタイムベースで作成した時にエラスティックオーディオがオンの状態でトラックが立ち上がります。

DSP管理

主にHDXで使用する設定項目なので、Native版ではHEATのみ表示されています。

新規セッションでHEATをオン

新規セッションを作成する際に、全てのオーディオトラックでアナログモデリングモジュールのHEATが有効になった状態で作成されます。



☆まとめ☆

  • 信号は耳だけでなく目でも監視!
  • オーディオファイルへの処理も設定!
  • ファイルは自動コピーに設定しておこう!

最後に

今回はProToolsを使用していく上で絶対に必要になるメータリング周りと、オーディオファイルへの処理を決めるプロセッシングに関する初期設定をみてきました。直接的な操作に直結はしないものの、非常に重要な設定達です。

今回の中でもキモはセンドメーター、リダクションメーターなどのオプションメーター群のON/OFFと、インポートファイルの自動コピーに関する設定でしょうか。

これらの設定をしっかり確認しておくことで、前者はプラグインウィンドウやセンドアサインの詳細を開くことなく大まかな作用を確認することが可能になり、後者は後からセッションを見直す際などの復元製を確保できます。

他の設定タブに関しては以下のリンク先で紹介しています。合わせてご覧いただくことで、より快適な環境を構築可能です。

 


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