ProTools

自分用にカスタマイズ!ProToolsの初期設定〜編集&ミキシング編〜

設定項目が多くて、いまいちそれぞれの設定の意味や有効な設定方法が見出せないProToolsの設定ですが、自分用にしっかりと設定を行うことで作業効率が上がり、操作・動作も快適になります。

今回はProToolsの初期設定から[編集]タグと[ミキシング]タグの設定項目に関して解説していきます。

実際に私が使っている設定状況も合わせて載せて行くので、参考にしていただければ幸いです。



目次

ProToolsの初期設定方法

初期設定ウィンドウはアプリケーションメニューバーから[ProTools]→[初期設定]または、[設定]→[初期設定]を選択すると立ち上がります。

ここからは各設定タブごとの解説を行っていきます。

編集

ここからは編集タブの設定をみていきます。

主に編集ウィンドウでの振る舞いに関する設定項目が並んでいます。

クリップ

トラック内のクリップに関する設定項目が含まれています。

クリップリストの選択は編集範囲に従う

このチェックボックスをONにしておくと、編集ウィンドウでクリップを選択すると、編集ウィンドウ右側のクリップリストでも選択したクリップが選択されます。

ファイルのエクスポートを行う際などに大変便利なのでONで使用しています。

編集範囲はクリップリストの選択に従う

こちらがONになっていると上記とは逆に、クリップリストからクリップを選択したときに編集ウィンドウのクリップがハイライトされます。

こちらもクリップ名からタイムライン上の位置を確認するのに便利なのでONにして使用しています。

クリップの分割時に自動ネーミング

こちらがOFFになっていると、クリップから範囲選択をしてクリップの分割(⌘+E)を行ったときに新しいクリップ名を尋ねられます。ONになっていると項目名の通り自動的に末尾に数字が足されて自動的に名付けられます。

範囲選択をせずに分割をする際にはどちらの設定でも自動的に番号が振られます。

私はONで使用しています。

すべての関連テイクで[クリップを分割]を実行

この項目がONになっているとタイムラインで開始位置が同じプレイリストの同じポイントも合わせて分割が実行されます。私はテイクのジャッジやコンピングの際には前後も聴きたいのでこの設定はOFFで使用していますが、複数テイクを比較する場合などにはONで使用するのも便利なのではないでしょうか。

編集で完全重複されたクリップを別プレイリストに移動

この設定がONになっていると、すでにクリップが存在するトラックに新たにクリップを移動するなどして元あったクリップが完全に移動してきたクリップの下に隠れてしまった場合に、クリップを新規プレイリストに移動してタイムライン上の位置を保ってくれます。

OFFの場合だとプレイリストは作成されず、クリップリストに残るだけになります。私は元々どの位置にあったのか名前だけでは判別不可能なのでONにして使用しています。

録音で完全重複されたクリップを別プレイリストに移動

こちらがONの時はクリップが存在する上にレコーディングを行ったときに埋もれたクリップを新規プレイリストに移動してくれます。上記と同じ理由でこちらもONで使用しています

ちなみに、Shift+カーソル↑/↓でプレイリスト切り替えが行えます。

クリップゲインナッジ値

クリップゲインのナッジングを行う際のナッジ値を設定する項目です。

私はクリップゲインを頻繁に使用しますが、編集ウィンドウで直接⌘+ドラッグをすることが多いので、あまり重要視していない設定です。

数字キー1-5の機能

数字キー1-5の機能をズームプリセットとクリップエフェクトプリセットで切り替える項目です。が、クリップエフェクトはHDXにしか搭載されていないので、Native版ではどちらを選んでいてもずーむプリセットになります。

トラック

トラックに関しての設定項目が含まれています。

新規トラックのタイムベースはティック

このチェックがONになっていると新規オーディオトラック、AUXトラック、マスタートラックのタイムベースがティックになります。後からでも変更可能なのですが、それらのトラックにはテンポ追従の必要性を感じないのでOFFにしています。

新しいプレイリストの作成時に名前ダイアログを表示しない

この設定がONになっていると、能動的に作成した新規プレイリストの名前を都度尋ねられます。OFFだと数字による自動ネーミングが行われます。

能動的に作成したプレイリストにはOKテイクのコンピングなどに使用するので、わかりやすい名前を付けて使用するためOFFで使用しています。

選択クリップの送信後にターゲットプレイリストを表示

まずはターゲットプレイリストについてご説明していきます。

ProTools2018以降のバージョンではトラックごとにプレイリストから一つターゲットプレイリストを設定可能です。

ターゲットプレイリストが現在表示されている場合には従来のプレイリストプルダウンの色ですが、非ターゲットプレイリストが選択されている場合にはオレンジ色で表示されます。

OKテイクのコンピングを同一トラック上で行う場合には、OKテイクが含まれるプレイリストでコピーをして、コンピング先のトラックにペーストをするという作業を行うわけですが、このターゲットプレイリストを使用すると以下のようにターゲットプレイリストに直接移動やコピーを行うことができます。ショートカットだとShift+Option+↑です。

チェックボックスをONにしておくと、この機能を使用して移動やコピーを行った後にトラックにターゲットプレイリストが表示されるようになります。大変便利な機能とは思うのですが、私はOKテイクを別トラックにコンピングすることが多いので使用していません。

メモリーロケーション

メモリーロケーション機能に関しての設定項目が含まれています。

再生中はメモリーロケーションを自動ネーミング

再生中にメモリーロケーションを打った時の挙動を設定する項目です。修正予定のポイントなどを再生中にマーカーを打つことで判別しやすくするために使用したりしますが、このチェックが入っていると、[Marker8]などの名前を自動で付けてくれます。

好みの問題ですが、癖でテンキーのEnter(マーカーショートカット)を二回叩いてしまうので私はOFFにしています。

メモリーロケーションの選択範囲を元のトラックでリコール

この設定はタイムプロパティがトラックで選択した選択範囲になっているメモリーロケーションをリコールした際の挙動を設定します。ONになっているとメモリーロケーションをリコールしたときに作成時に範囲選択されていたトラックがハイライトします。

ちょっとしたメモ代わりになるのでONにして使用しています。

フェード

フェードインやフェードアウト、クロスフェードに関する設定やそれらの境界に関する設定が含まれています。

フェードダイアログプレビュー時のプリロール

編集ウィンドウでフェードイン・アウトやクロスフェード部分をグラバーツールでダブルクリックすると開くフェードダイアログには画像の赤枠部分に試聴機能がついています。フェードインやフェードアウト部分だけを聴いても意味がないので、前後も含めて試聴出来るのですが、この設定ではフェードの前に再生する長さを設定可能です。

フェードインにはプリロールが存在しないので、この設定が活きるのはクロスフェードとフェードアウトです。初期値は3000ms=3秒です。

フェードダイアログプレビュー時のポストロール

プリロールの項目と同様フェード後に再生する長さを設定します。

フェードアウトにはポストロールが存在しないので、フェードインとクロスフェード時のみ有効です。こちらも初期値は3000msです。

QuickPunchのクロスフェードの長さ

パンチレコーディングをした際のパンチイン部分とパンチアウト部分に自動的に書かれるクロスフェードの長さを設定します。初期値=0msに設定されている場合にはクロスフェードそのものが書かれません。

私は、何かにつけて勝手にやられるのが嫌なのでOFF=0msに設定して、自分で境界を処理しています。

編集時フェード維持

この設定がONになっていると、例えばクロスフェードが書かれたクリップを別トラックに移動した際などに、双方のクリップで境界のフェードがそれぞれフェードイン・フェードアウトとして残ります。

前後との繋がりがあって初めてクロスフェードになるので、状況が変われば設定も変わります。そのため、私はOFFで使用しています。

境界の調整を自動承認

すでにフェードイン・アウトが書かれたクリップに他のクリップを重ねるように配置した際の挙動を設定する項目です。ONになっているとクリップが重なった後もフェードの長さを自動調整してフェードが残りますが、OFFになっているとクリップ境界上のフェードは解除されます。

フェードは前後の関係あってこそ、と思っているのでOFFで使用しています。

スマートツールフェード調整

[常にオン]に設定されていると、スマートツール選択時にクリップの開始地点・終了地点の上半分やクリップ境界の下半分にマウスが近づくと自動的にフェードツールに変化します。[Commandキー必要]に設定されているときは上記地点でも⌘が押されていない限りはフェードツールに変化しません。

[Commandキー必要]に設定することで、トラックの高さが小さめに設定されている場合、トリムツールがフェードツールに化けてしまうのを防ぐことができます。

私は[常にオン]で使用しています。

フェードのデフォルト設定

新規にフェードを設定した時のデフォルトカーブを各フェードごとに設定可能です。

ズーム切り替え

各トラックやMIDIノートのズームを行う際の設定が含まれています。

MIDI垂直ズーム

MIDIノートを垂直方向に拡大・縮小表示する際に選択トラックをズームするか、最後に使用したトラックをズームするかを設定できます。

水平ズーム

クリップを拡大縮小表示(コマンドフォーカス時にE)するときに現在ポインタがある部分をズームするか、最後に選択した範囲をズームするかを設定できます。

ズーム後に選択範囲を無効

上記の水平ズームを行った際にズーム用の範囲選択を解除するか、選択されたままにするかを設定できます。

トラックの高さ

ズームしたトラックの縦方向のサイズを設定できます。クリップの分割でゼロクロスポイントを探すときなど大きい方が作業しやすいので最大値のウィンドウに合わせるで使用しています。

トラックビュー

ズームをした場合のトラックビューを波形/ノート、ワープ/ノート、最後に使用、変更なしの4種類から選択できます。波形/ノート、ワープ/ノート設定では、オーディオトラックでは波形、ワープ、MIDI/Instrumentトラックではノートが表示されます。

初期値は変更なしで、私もそのまま使用しています。

ズーム時はグリッド設定を変更

この項目をONにすると、拡大時のグリッド設定を編集時とは別の設定にすることが出来るようになります。

ズーム切り替えは編集範囲に従う

この項目をONにすると、ズームモードで別トラックを選択したときに選択したトラックがズームされ元のトラックは元のサイズに戻るようになります。

取り消しの回数

⌘+Zで戻れるUndoの回数を設定できます。多く設定しているとその分取り消しキューの容量を使ってしまうので、動作に不安を感じたら少なく設定するのがよいでしょう。初期値は最大の64回で、私もトラブルに見舞われていないうちはそのままの設定にしてあります。



ミキシング

さて、ここからはミキシングタブの設定内容についてみていきます。

主にMIXウィンドウでの操作に関する設定項目が並んでいます。

設定

センドやインサートなど、ミキシングウィンドウの基本的な部分の設定項目が含まれています。

センドの初期設定を[-INF]に

トラックから新規にSENDを設定した場合のセンドボリュームに関わる設定です。チェックボックスON時にはセンドボリュームは絞り切りで作成されます。OFF時には[0.0dB]で作成されます。

リバーブセンドなどでは徐々に上げながら探っていきたいので、私はONで使用しています。

センドパンはメインパンに従う

ステレオバスにSendを設定する場合のPANの初期状態を設定する項目です。ONになっているとFMP(Follow Main Pan)が有効になった状態で、OFFになっているとPANはセンターで立ち上がります。

LLM実行時でもセンドを維持

勝手に略されてしまっていますが、LLM=Low Latency Monitoringです。オプションから設定できる低レイテンシーモニタリングモードのことを指しています。

低レイテンシーモニタリングモードでは全てのインサートスロットとセンドスロットが無効になりますが、この設定がONになっている時はセンドスロットが有効になります。レコーディング時のインプットモニターはDSPミキサーから出力しているので、そもそも低レイテンシーモニタリングを使用していないのですが、初期値のOFFのまま使用しています。仮にSEND出力を生かしてもレイテンシーの関係でモニター出来ないのではないかと思います。

デフォルトEQ

ここに設定したEQはプラグインリストの最も上の層に表示されます。

かなり便利なので使用頻度の高いEQを設定しておくのがよいでしょう。

デフォルトダイナミクス

デフォルトEQ同様プラグインリストの最上層に表示されます。

こちらにも使用頻度の高いコンプなどを設定しておくことをオススメします。

EUCONコントローラーからデフォルトのプラグインを自動インサート

この設定をONにするとAvid Artist MixなどのEUCONコントローラーから新規トラックを作成したときに、上記で設定したデフォルトEQとデフォルトダイナミクスが選択したスロットに自動的にインサートされます。

コントローラー

EUCONなどの外部コントローラーと合わせて使用する際の設定項目が含まれています。

編集ウィンドウがバンク選択に追従

この項目をチェックしておくことで、コントロールサーフェスでバンクを選択した時に編集ウィンドウが自動スクロールを行います。

ミックスウィンドウがバンク選択に追従

この項目をチェックしておくことで、コントロールサーフェスでバンクを切り替えたときに、MIXウィンドウが選択トラックを含むようにスクロールします。

[トラックへスクロール]にコントローラーが追従

[トラックへスクロール]を使用した際にコントローラーのバンクが選択されたトラックを含むものに切り替わります。

バンク移動時、常にチャンネルストリップを埋める

コントロールサーフェスでバンク切り替えを行った際に、空きフェーダーが出ないようにバンクがスライドします。

例えば、8フェーダーのコントローラーに1-26の26フェーダーが割当たっている場合、通常バンクはそれぞれ1-8、9-16、17-24、25-26となりますが、この設定がONになっている場合は1-8、9-16、17-24、19-26となります。

タッチのタイムアウト時間

タッチセンスフェーダーが搭載されていないコントロールサーフェスを使用してTouchモードでオートメーションを書くときに、フェーダーを最後に操作してからここで設定した時間が経過するとオートメーションの書き込みがストップします。

EUCONサーフェースEQ Dyn切り替えを次のインサートから開始

EUCONコントローラーからEQ、Dynカテゴリーのプラグインインサート切り替えを行う際に、どのスロットからインサートを行うかを選択できます。

オートメーション

フェーダーやPAN、センドやプラグインなどのオートメーションに関する設定項目が並んでいます。

パスの後にデータのスムージングとシンニングをする

オートメーションを作成した直後に、書かれたオートメーションをスムーズにして、データの間引きを行うかどうかの設定です。マウスなどを使って後からオートメーションを微調整するときに、間引きされていないと大変な思いをするのでONにして使用しています。

どれ位の量のデータを破棄する(間引きする)かもここで設定可能です。

プラグインコントロールのデフォルトはオートオン

通常プラグインオートメーションを設定するためには上記画像の赤丸内をクリックして、項目別のオートメーションをアクティブにしてからオートメーションを作成しますが、このチェックがONになっていると全てのオートメーション項目がアクティブになった状態でインサートされます。

非常に煩雑な見た目になるので私はOFFで使用し、適宜必要な操作子だけを追加して使用しています。

[Touch]モードでスイッチをラッチ

ONになっているとTouchモードでオートメーションを書く際に、すでに書かれたオートメーション値と当たった部分でオートメーションの書き込みがストップします。

取り消しキューにコントロールチェンジを含む

Undoの履歴にフェーダーやPAN操作などのミキサー操作を含めるかどうかを設定します。私はONで使用しています。

VCAグループからスレーブを削除するときに合体

直訳だからか全くなにを言っているのか不明ですね。

まず前提として、グループにVCAフェーダーを割り当て、そのVCAフェーダーでボリュームオートメーション書くことで複数のトラックに共通のオートメーションを書くことができます。

これは、このVCAグループから特定のトラックを除外するときに、VCAで書いたオートメーションをトラックボリュームのオートメーションと合算するかどうかの設定です。

ONになっていると自動的に合算、OFFでは合算するかどうかを聞いてきます。あまりVCAを使用していないのですが、勝手にやられるのは嫌なのでOFFにしています。

グループ属性に標準VCAロジックを適用

この項目がONになっていると、VCAグループ内のトラックをソロやミュートなどに設定したときに他のトラックには影響を及ぼさず、VCAマスターの状態に従います。

OFFになっていると、通常のグループと同様グループ内の全トラックがソロやミュートなどの状態を反映します。VCA自体をあまり使用していませんが、この設定はONにして使用しています。

書き込みパス後切り替え

Writeモードでオートメーションを書き込んでから再生を停止した後に該当トラックのオートメーションモードを自動で切り替える設定です。

Touchに変更、Latchに変更、Writeのまま変更なし、から選択可能です。

急なブレークポイントのスムージング時間

急激なオートメーションを設定すると、処理中に意図しないデジタルノイズが現れてしまう場合があります。この設定ではそれらのノイズを避けるために急激なオートメーションを滑らかにするために各ポイント間の移動にディレイを設定することが可能です。設定可能値は初期値の0msから最大50msまでです。

私は初期値の0のまま使用していますが、急激なオートメーションを使用しないためか、ノイズに悩まされたことはありません。

AutoMatch時間

Touchモードでオートメーションを書き終えてから、元の値に戻るまでの時間を設定できます。初期値は250msで、私はこの値のまま使用しています。

遅延補正

遅延補正で表示する単位をサンプルかミリ秒で選択可能です。やってることは変わらないのでどちらを選んでも問題ありません。

私はサンプルを使用しています。



3行でまとめると

  • 編集ウィンドウの設定で作業が快適に!
  • MIXウィンドウの設定でMIXが快適に!
  • デフォルトプラグイン設定は本当にオススメ!

最後に

今回はProToolsの初期設定から編集タブとミキシングタブの内容についてご紹介してきました。

他の設定タブに関しては以下のリンク先で紹介しています。

結構サクサク進められると思ったのですが、EUCONを持ち出して検証を行ったり、英語でも書いてある意味が分からずフォーラムを確認しに行ったり、結構かかってしまいました。

今回ご紹介した中ではデフォルトEQ、デフォルトダイナミクスの設定が大変オススメです。プラグインリストから同じプラグインを何度も選択する手間がかなり省けます。プラグインリストからプラグインを[⌘+クリック]で設定できるお気に入りと合わせて使用してみてください。

 


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