Headphone / Earphone

最高のリケーブル!SHURE SE425+Song’s Audio Universe Pro

他記事でも書いたことなのですが、私は複数のモニターを切り替えながらMIX作業を行っています。

モニタースピーカーで全体のバランスを確認したり、ヘッドホンでトラックごとのサウンドを確認したり、小音量でのバランスなどをイヤホンで確認したりと用途によって切り替えています。自宅作業では時間帯で切り替えることもありますが、全ての環境でバランスよく聴ける状態でMIXを進めていきます。

私は移動中にもイヤホンで音楽を聴くことが多いのですが、今回はその際に使用しているカナル型イヤホンのSHURE SE425とイヤホン用ケーブルのSong’s Audio Universe Proについてご紹介していきます。



目次

SHURE / SE425

SE425はマイクロフォンなどで有名な米国SHURE社のイヤホンです。カナル型と言われるその形状はイヤホン本体にイヤパッドを取り付け、それを耳に挿し込んで使用するために設計されています。特徴は高い遮音性で音漏れや外部からの音を気にする必要が殆どありません。

SHURE社の現行イヤホンはSE846、SE535、SE425、SE215の4機種がラインナップされていて、数字が大きい方が高級機種という位置付けになっています。元々はSE325と言う機種があったのですが、現在は廃盤になっています。

SE425は4つのうちの上から3番目のグレードに相当し、リスニング用としても幅広く使用されています。

私はMIXの際にはエンドユーザーに近い環境で聴くことを大切にしているので、完全なモニター用途と言うよりも自分で聴いてても楽しいイヤホンを選んだ形になります。ジャンルを選ばず使用できるイヤホンですが、中高域〜高域の抜けが非常に良いので女性ボーカルものなどに良いのではないでしょうか。

モニター用途としては、痛くならない高域になっているかの確認に役立てています。前述の通り、高域が綺麗に伸びて聴こえるので、過剰にハイが出ているとすぐに痛みとなって現れてくれます。そのため、シンセ系の痛くなりがちな高域の処理をするときにはSE425を使用してバランスを確認することがよくあります。

以下の表はSHUREイヤホンの現行4機種のスペックを抜粋して比較したものです。

SHUREイヤホンの比較表

ドライバとはイヤホンに入っている極々小さなスピーカーのことです。SE215では1つのダイナミック型ドライバで全帯域をカバーしていますが、SE846では4つのドライバを使って各帯域ごとに鳴らすことで能率良く出力をおこなっています。

また、SE215以外のSEシリーズにはバランスドアーマチュア(BA)ドライバが搭載されています。従来のダイナミック型ドライバではの再生周波数帯域の広いユニットを使用して全帯域を出力していましたが、BAドライバは一つ一つのドライバが小型であるため各帯域専用のドライバを複数組み合わせることが可能です。それぞれのドライバが得意とする帯域を出力するので音の濁りが少なく、分離感のよい、心地よいサウンドを出力することが可能です。

SE425は2台のドライバを搭載して、高域と低域を分けて鳴らしているイヤホンと言うことになります。

感度とは、単純に考えると音量の最大値を決める数字だと思ってください。1mWの入力があったときの出力音圧を表しています。数字が大きければ再生機器側で同じ出力を行った時に聴こえる音が大きくなります。が、極端に小さくなければ正直そこまで重要な要素ではありません。

インピーダンス値はイヤホンの抵抗値、つまり電気の流れにくさを数値化したものです。簡単に言うと高ければごく小さな電流が流れにくくなるためノイズが少なく、低ければ小さい音まで余すことなく再生出来る、と言うことになります。

通常イヤホンやヘッドホンでは16〜40Ω程度の数値に収まり、これはポータブルプレイヤーなどの出力で問題なく駆動出来る範囲です。SE846はかなり低いインピーダンス値を持っているので、繊細な音の細部を聞き取る用途には良いかもしれませんが、ポータブルプレイヤー直結の場合、若干ノイズが気になるかも知れません。

周波数特性は各イヤホンが再生可能な周波数を表しています。この数字が大きければ大きいほど広い帯域の音を再生出来ると言うことです。ちなみに、人間の可聴周波数帯域は20Hz〜20000Hzと言われていて、どの機種でもその大部分をカバーしています。

私はSE425の前身モデルSE420を選ぶ時にSE310とSE530も聴いたのですが、SE310は若干音の硬さと低域の濁りが目立ち、SE530は綺麗に鳴るものの粒が立っておらずリスニング用に寄りすぎていると感じたので、結果としてSE420を選択しました。ヘッドホンに比べると低域の質感は見えづらかったのですが、リスニング用も兼用で考えていたのでOKとしました。

SE420はケーブル一体型のイヤホンだったため、ケーブルの断線をきっかけにSE425に買い換えて、今は2代目のSE425を使用しています。

一代目のSE425を使用し始めてからしばらく経ち純正ケーブルが断線しかかったときに、リケーブルというものの存在を知りました。



イヤホンのリケーブル

ケーブル一体型のイヤホンは断線箇所によっては修理が困難で、保証期間がすぎていた場合、基本的には買い替えを迫られることになります。メーカーもこれを憂慮してか、イヤホン本体とイヤホンケーブルの間にコネクタを挟み、ケーブルを着脱可能にしました。この着脱可能なケーブルを入れ替えることをリケーブルと呼んでいます。

修理のためにケーブルを交換するときにはあまりこの表現は使わず、主にケーブルを付け替えることで積極的に音質を変化させてイヤホンの出力をチューニングすることを表します。現在ではカラフルなものや、断線に強いのが売りのものなど様々なケーブルがリケーブルとして出回っています。

オーディオ信号、特にアナログ環境ではスピーカーやヘッドホン自体だけでなく、信号経路、つまりケーブルによってもサウンドは大きく左右されます。楽器でもケーブルで音が変わるのと同様です。ケーブル内を流れる電流が小さいほどこの変化は顕著になります。イヤホンは中でもかなり小さい電流を扱う製品なので変化はとてもよくわかります。

細かいことを言えば、コネクタのように接点数が増えることは電気的には不利なことなのですが、ケーブル断線≒買い替えのリスクと天秤にかけると、そうも言ってられません。

しかし、このイヤホンとケーブル間のコネクタには汎用規格は存在するものの、それらとは互換性を持たない各社独自規格が溢れかえっていて混沌としています。ユーザーとしては規格をまとめて欲しいところですが、権利問題などいろいろあるのでしょうか…。

イヤホンとケーブルの汎用規格コネクタは2種類あり、SHURE SEシリーズにも採用されているMMCX規格と、カスタムIEMに採用されている2pinの規格があります。Ulitimate Earsは製品の世代が変わるごとにコネクタも変わっていて不安定な印象です。サードパーティのリケーブルを使用する場合は注意が必要です。

幸いSHUREは長いことMMCXを使い続けているのとSEシリーズも長く続いているので、パーツ受給の面ではひとまず安心です。

さて、私の初代SE425の付属ケーブルは断線しそうなので、SHUREの純正ケーブルを購入しようと考えて秋葉原某所のイヤホンショップに出向いたところ、びっくりする位の量のイヤホンケーブルが目に飛び込んできました。結局その日は純正ケーブルと替えのイヤーパッドを購入して帰ったのですが、その日からリケーブルについて調べ始めました。

イヤホンを持参してケーブルの視聴を行うこと数種類、SE425に相性が良さそうなケーブルと出会います。

Song’s Audio / Universe Pro

持った感じ丈夫そうなケーブルと、プロフェッショナル用音響機器にも多く採用されているSwitchcraft社のステレオミニコネクタを備えたUniverse ProのMMCXバージョンをSE425に接続して試聴した時に、イヤホンのキャラクターが全く違うように聴こえました。

実際、イヤホンなどの小口径ドライバでは、コンサート用のスピーカーシステムのような大口径ドライバとは違い、音量を上げても低域がついて来れないのが当たり前と思っていたのですが、Universe Proを使用しているときにはスピーカー同様に低域がしっかりと追従してきます。

他にもいくつかのケーブルを試聴したのですが、作為的な低域ではなくしっかりと追従してくるという点では私的にUniverse Proが最も高評価です。はじめはキャラクターの変化に戸惑いましたが、ケーブルも聴く側も人間も小慣れて来てからは気にならなくなりました。

SHURE SE425+Song’s Audio Universe Pro

ケーブルと接続機器には少なからず相性があります。

例えば低域がよく出るイヤホンにUniverse Proを使用したり、SE425に高域が抜ける特徴のケーブルを合わせてもブーミーになったり、耳が痛い取り合わせになってしまうと思います。

高域の伸びが優秀なSE425に、高域をスポイルすることなく低域を見えやすくしてくれるUniverse Proを合わせることで、上から下までストレスなく再生可能なモニターが出来上がります。モニターとは言いましたが、リスニング用としても様々なジャンルを楽しむことが出来ています。

SE425ユーザーには間違いなく超オススメのリケーブルです。SHURE以外のイヤホンをお使いの方でも、音量をあげると高域ばかりが目立ってしまって楽しめない、と言う方には自信を持ってオススメできるケーブルです。その場合にはお使いのイヤホンのコネクタ形状に合わせたモデルをお選びください。


Song’s Audioは海外メーカーですがオヤイデ電気が国内代理店を努めているので、修理などの点でも安心できます。



3行でまとめると

  • SE425は高域が綺麗に抜ける!
  • Universe Proは低域がボリュームに追従する!
  • イヤホンの短所を補うリケーブルを!

最後に

今回は私が使用しているイヤホンとケーブルをセットでご紹介させていただきました。SE425とUniverse Proの組み合わせは、モニター用途に十分耐えうるリスニング向きの組み合わせです。

楽器用のケーブルなどは、ある程度狭い周波数レンジの信号に特化している、長所を伸ばすケーブルをチョイスするのが定石ですが、2MIXを聴くデバイスでは全帯域がはっきりと見えることが求められるため、ある程度フラットな特性が必要です。

SE425+純正ケーブルでも十分に低域〜高域までバランスよく出力されているのですが、作為的ではなく、自然な低域の追従性と言うイヤホンの弱点を補ってくれるUniverse Proはリケーブルのベストチョイスになってくるのではないでしょうか。

こちらも前述ですが、ある程度の音量で聴く時に低域が付いてきていないと感じるイヤホンをお使いの方はイヤホン買い替えの前にUniverse Proを試してみることをオススメします。

 


当ブログのFacebookページです。
少しでも皆様のお役に立てたら「いいね!」していただけると歓喜します。



COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です