DI

バランス伝送とローインピーダンス化!DIを使用する理由

今回はDIというものについて解説していきます。

いきなりDIと言われても、なにそれ?って感じですよね。ライブハウスでエレキベースやエレクトリックアコースティックギター(エレアコ)、エレキピアノ、シンセサイザー、同期用のMTRなどを接続する箱のことです。

なぜ、あの箱を使用するのか、なんのメリットがあるのか?などについて簡単に解説していきます。




目次

DIとは?

Direct Injection Boxの頭文字を取ってDIです。和製英語だとダイレクトボックスなんて言ったりもします。

DIには大きく分けて、電源が必要なアクティブタイプのDIと、電源を必要としないパッシブ(トランス)タイプのDIが存在します。現在現場で使用されているのは、ほとんどアクティブタイプのDIです。

DIの主な機能は、
1.ハイインピーダンス(Hi-Z)をローインピーダンス(Lo-Z)に変換する。
2.アンバランス伝送をバランス伝送に変換する。
と言ったものです。

意味不明な語句がいっぱい出てきてしまったと思うので、それぞれの用語について説明していきます。

インピーダンスとは?

一言でいうと交流信号に対する抵抗値で、単位はΩ(オーム)です。インピーダンスが高ければ電流が流れづらいわけです。その分電圧を高く取ることが出来て有利な面もあるのですが、インピーダンスが高いとケーブルなどでの伝送経路にノイズが乗りやすいのです。

これについて詳細に解説していくと恐ろしく長くなってしまうので、今回は割愛させていただきますが、ローインピーダンスに変換する理由の一つはノイズ対策だと考えておけば間違いないです。

ちなみに、どこからがハイインピーダンスか、という明確な線引きは無いようです。実際のPA現場では、600Ωまでがローインピーダンス、それ以上はハイインピーダンスとして扱います。

600Ωっていうのは、もともと電話回線のインピーダンス値だったみたいです。現在使用されるマイクやPA機器はこの600Ωを入出力インピーダンスの基準にしています。

また、出力側(楽器とか)のインピーダンス値が入力側(音響ミキサーとか)のインピーダンス値よりも大きい状態だと信号が正常に伝送できず、音としても変な音になります。入出力のインピーダンスマッチングを取ることがインピーダンス値を変換するもう一つの理由です。

音響の世界では、ロー出しハイ受けなんて言い方をするのですが、入力側のインピーダンス値が出力側よりも大きい場合は厳密にマッチングを取ることはしないです。

バランス伝送とは?

電子楽器などの出力のほとんどはアンバランス出力です。アンバランス伝送では、信号線1本とノイズ対策の電磁シールド線1本の計2本のラインで伝送がなされます。

電磁シールドとは、信号線の周りをアースと同電位の導体で囲んだもので、外部からのノイズをある程度軽減することができますが、電磁シールドで受け止め切れなかった分のノイズはそのまま出力されます。

これに対してバランス伝送では信号線が2本とノイズ対策の電磁シールド線1本の計3本のラインで伝送がなされます。

2本の信号線はそれぞれ、Hot、Coldと呼ばれ、Hotが正相信号、Coldが逆相信号を伝送します。

正相と逆相では音の波の上下が反転していて、両方を単純に足すと信号同士が打ち消しあいます。ノイズは伝送経路で位相に関わらず同じ方向に乗るため、音響ミキサー側でCold側の位相を反転して受けることで、信号は2倍に、ノイズは打ち消し合って受けることができます。

実際はこんなに単純ではないですが、イメージを数式みたくしてみました。

まず、ColdはHotの真逆なので、
Hot+Cold=0から
Hot=-Cold
が成り立ちます。

次に伝送経路でそれぞれにノイズが同じ方向に乗ります。
Hot→Hot+Noise
Cold→Cold+Noise

ミキサーの入力時にColdの位相を反転させます。
Cold+Noise→-(Cold+Noise)

これらを足し算します。
(Hot+Noise)+{-(Cold+Noise)}
=Hot+Noise-Cold-Noise
=Hot-Cold

ここでHot=-Coldを元に変換すると
=Hot-(-Hot)
=Hot+Hot
=2Hot
となり、ノイズが消えて信号が2倍になっているのがわかるかと思います。

Hot+(-Cold)=Hot+Hot=2Hot

位相について詳細に説明すると、非常に長くなるので、今回は割愛させていただきます。

バランス伝送では電磁シールドで受け止め切れなかったノイズを、この原理で打ち消してから出力するため、伝送経路でのノイズに強いのです。

DIを使用するメリット

前述の通り、ほとんどがノイズ対策です。

楽器と楽器用アンプなどの短距離の伝送では途中で混入するノイズの量もそう多くはありませんが、ステージと音響ミキサーなどの長距離伝送では外来ノイズの影響は大きくなってきます。そのためにライブ現場などではDIを使用するのが一般的になっています。

DI内部では差動回路やオペアンプなどの電子部品を使用しているため、機種ごとにサウンドに個性があります。また、DI本体のスイッチで出力レベルや位相の反転、アースのカットなどいろいろな機能を使用することができます。




3行でまとめると

  • ハイインピーダンス→ローインピーダンスへ変換
  • アンバランス伝送→バランス伝送に変換
  • どちらもノイズ対策になっている

最後に

ベースやエレアコを演奏する際に、何気なく使用しているDIですが、実は以外にすごいやつでした。

詳しく調べていくと非常に奥が深い箱なので、掻い摘んでの説明になってしまいましたが、
今回はDIがどういう意味で使用されているのか、と言った記事でした。

みなさまの参考になれていればうれしいです。

 

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