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ライブの天敵!フィードバック(ハウリング)が起こる原因と対策

ライブハウスやリハーサルスタジオでボーカルマイクが「キーンッ」とか「ボワ〜ン」とか、そうです、ハウリングです。

ハウリングはフィードバックとも言い、ライブやリハーサルスタジオだけでなく、講演会場やカラオケボックスなどでも起こり耳に優しくないですよね。

今回はこのフィードバック(ハウリング)が起こる原因と、その対処法についての記事です。

本記事にはマイクロフォンについての技術的な表現が含まれるため、先に下記記事をご覧いただくことでより深くご理解いただけるかと思います。




目次

フィードバック(ハウリング)の原因

では、ハウリングが起こる原因について見ていきましょう。

ハウリングが起こる条件は、マイクロフォンなどの音声入力機器があり、その入力機器のから入力された音声が近くでスピーカーなどの出力機器から出力されていること、です。

マイクロフォンとスピーカーという組み合わせが多いですが、電話やパソコンの内蔵マイクと内蔵スピーカーなどでも起こります。

ここでは、マイクロフォンからの入力がスピーカーから出力されている場合のメカニズムを解説していきます。

フィードバック(ハウリング)の起こるメカニズム

  1. マイクロフォンに音が入力される
  2. 入力された音が増幅されてスピーカーから出力される
  3. スピーカーから出力された音が再びマイクロフォンに入力される
  4. 入力された音が再び増幅されてスピーカーから出力される

これが繰り返されて(ループして)起こるのがハウリングです。ハウリングから文字を取って『ハウる』とか、ループしてるから『マワる』なんて言います。

一般的なライブハウスでは、ボーカルマイクはPAミキサーに接続されて、信号の増幅や加工を行います。その後に、パワーアンプという増幅器でさらに増幅させてスピーカーから出力します。そのため、マイクロフォンに入力された音量よりもスピーカーから出てくる音量の方が大きくなり、再びマイクロフォンに入力されてしまいやすくなります。

音量に関しては、会場全体に声を行き渡らせるためにある程度どうしようもないところなので、ここでは別の点に注目してこのループを断ち切る方法をご紹介したいと思います。

その注目する点は、3.スピーカーから出力された音が再びマイクロフォンに入力されるという点です。ループを断ち切るカギはここになります。

フィードバック(ハウリング)を起こりにくくする方法

ではここからは、実際にフィードバックが起こりづらくなる方法について解説していきます。先にお断りしておきますが、あくまでも起こりづらくなる方法であって、同じ空間でマイクとスピーカーがある以上、絶対にハウリングが起こらない方法は存在しないということです。

1.スピーカーから出力するマイクロフォンの音量を下げる

身も蓋もないですが、これが一番単純かつ確実な方法です。

スピーカーから出力された音が再びマイクロフォンに入力される状況は、音量を下げれば起こりづらくなります。PAエンジニアは、あと何dB上げてもハウリングが起きないか(ハウリングマージン)を的確に把握しておく必要があります。

どちらかというと最後の手段にはなってくるのですが、一番確実な方法として最初にご紹介いたしました。

アーティストサイドからのオーダーでもハウリングが起こりづらいようにモニタースピーカーの音量を調整することが可能です。下記記事も合わせてご覧ください。

2.スピーカーとマイクロフォンの指向を考えた配置にする

ライブ用途に使用されるマイクロフォンやスピーカーには、それぞれ指向性があります。

マイクの指向性とは、どの向きの音を拾いやすいかというマイクの特性です。周波数帯域ごとに指向性が異なります。スピーカーの指向性とはスピーカーからどの方向に音が出て行くかという特性です。これも周波数帯域ごとに指向性が異なります。

指向性については以下の記事にも記述があります、合わせてご参照ください。

もっともわかりやすい例を取ると、スピーカーの正面にマイクの正面を向けた状態です。この状態が最もハウリングが起こりやすい状態です。

多くのスピーカーは中のユニットの正面方向を中心に数十度の角度で出力されます。また、マイクロフォンは持ち手に対して正面方向が最も音を大きく拾うことができます。この2点が合わさってしまっているので、この状態ではフィードバック(ハウリング)が非常に起こりやすいです。

対策としては、スピーカーに対してマイクロフォンが真逆を向くように使用するといったところでしょうか。スタンドに設置した状態だとマイクロフォンは固定されていますが、手で持って使用する場合にはマイクの向きを注意してみるとよいでしょう。

3.EQでハウリングが起こりやすい帯域をカットする

ライブPAではインプットチャンネルだけでなく、出力チャンネルや外部EQを用いてスピーカーごとにEQを行うのが一般的です。このことをスピーカーチューニングといいます。小規模ライブハウスなどだとエンジニアの腕の見せ所その1です。

厳密にいうと、スピーカーチューニングとハウリング対策のEQは別物なのですが、ここではまとめて解説します。

EQについては以下の記事をご参照ください。

スピーカーチューニングとは

スピーカーから出力される音をEQを用いて補正することをいいます。

なぜ補正が必要かというと、ホームオーディオなどと比べて大きな音量を出すPAスピーカーは部屋や周囲の音響特性などにより、いわゆる部屋鳴りなどが起こりスピーカー本来のサウンドが得られない場合があるからです。

スピーカーチューニングにはインプットチャンネルのようにパラメトリックEQを使用するよりも、グラフィックイコライザーを使用することが多いです。デジタルミキサーなどで出力チャンネルにもパラメトリックEQが備わっている場合、両方を併用するとなだらかにチューニングを行うことができます。

geq

グラフィックEQでは文字通りグラフィカルにEQを行うことができます。

この行程でハウリング対策にあまりカットしすぎると、音が抜けなくなったりスカスカになったりしてしまうので注意が必要です。また、当たり前なのですが、カットすればするほど全帯域での音量が下がるので切りすぎは禁物です。どんなに多くてもGEQで8〜10ポイント程度に止めておきましょう。




フィードバック(ハウリング)が起きてしまった場合

ここまで対策をとっても、起きてしまう時は起きてしまうものがハウリングです。

ここからは、ハウリングが起きてしまった場合の対処方法をご紹介していきます。

1.マイクをスピーカーから背ける

アーティストが取れる唯一の対策がコレです。

ハウリングが起こったら、速やかにマイクを持つ手をスピーカーから遠ざけ、向きもスピーカーから背けましょう。ハウリングが常時起こっている状態ではなければ、この方法でハウリングを止めることができるはずです。

2.スピーカーからの出力を下げる

今度はエンジニアが取れる対策についてです。

フィードバックが起きたら一時的に原因のスピーカーからの出力を下げ、フィードバックを止めるという方法です。ハウリングを止めることをデストロイなんていいます、なんだか物騒ですね。

モニターフェーダーをパラレルで作成し、モニターフェーダーをPOST送りにしておきます。この状態で本番中にアーティストの手元の動きを見てフェーダーを上下させる方法や、あらかじめパラメトリックEQを1Band余らせてFrequencyをハウリングが起こりそうな帯域に合わせておきます。ハウリングが発生したらその帯域をEQでカットする方法です。

本番が始まってからハウリング対策に出力系のEQを触るのはあまりお勧めできません。スピーカーチューニングの段階でしっかりとマージンを取っておくことが重要です。




3行でまとめると

  • マイクとスピーカーの位置関係に注意
  • エンジニアはハウリング対策を万全に
  • ハウリングが起きてしまったら速やかに止める

最後に

ライブの天敵ハウリングについての記事でした。

基本的には、限りなく起こりづらい状況を作った上で、それでも起きてしまったら速やかに対処するという考え方です。

また、エンジニアはフィードバックの音を聴いただけで、ある程度周波数帯域が絞れるようになる必要があると思います。

 

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POSTED COMMENT

  1. ナオぴーたん。 より:

    初めまして!ナオぴーたん。と申します。記事が参考になりました。よろしければアドバイスの程、頂けませんか?私は教会でバンド形式の賛美のPAを担当しています。宜しくお願い致します。

    • ZAL より:

      ナオぴーたん。 さん

      コメントありがとうございます。
      記事が参考になったとのこと、よかったです。

      アドバイスに関しても私で対応可能な範囲であればお聞かせいただければと思います。

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