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DTM/DAW

簡易的でも仕上がり大幅UP!DAWで出来るマスタリングの方法


皆様はマスタリングと聞いてなにを想像するでしょう?

ただの音圧稼ぎと思っている方も多いのではないでしょうか?

実際のところ、適切なマスタリングを行うことで平均音圧を稼ぐことができ、聴感上の音圧は上がることが多いのですが、実際のところそんなに単純なものではありません。

商用スタジオではレコーディングからMIXまでの工程をミキシングエンジニアが担当するように、マスタリングは専門のマスタリングエンジニアが担当します。

ただ、小規模な制作現場でコンペやデモ出しなど予算が限られている場合や、自宅スタジオで完パケしなくてはならない場合、ミキシング後に自分でマスタリングを行うことも少なくありません。

今回は、そんな場合に役立つ簡易的に有効なマスタリングを行う方法についてご紹介していきます。



マスタリングを行うために必要なもの

MIX/TD用のセッションのマスターチャンネルにリミッターを挿して簡易的にマスタリングを行う場合もあると思いますが、これはオススメできません。

マスタリング用プラグインのCPU負荷の問題だけでなく、人間の集中力を高めるためにも別セッションで作業を開始しましょう。

 

2MIXデータ

まずは、MIX/TD用のセッションからバウンスした2MIXデータを用意します。

MIX用セッションで最終バウンスを行う段階でマスターにダイナミクス系プラグインが挿さっている場合、これらを抜いてバウンスするようにしましょう。

この段階でピークが点灯するほどレベルが大きい場合には、各トラックのレベルを同量ずつ下げるか、マスターフェーダーを下げてピークが点灯しないように調整してください。また、DAWに標準でノーマライズ機能が備わっている場合、これをOFFにしてバウンスしましょう。マスタリング前のデータでレベルが詰め込まれていると、マスタリング用のプラグインが効果的に機能しません。

2MIXデータを書き出す際には可能な限りサンプリングレート・ビットデプスは高い方が良いです。とは言っても、環境の影響も大きいので、WAVEorAIFFで48kHz/24bitもあれば十分ではないでしょうか。

また、マスタリング作業はMIXの失敗を取り戻す作業ではありませんし、取り戻すことは不可能です。マスタリング前のデータをしっかりと聴き込んで、気になるところは修正を行いましょう。マスタリングがうまく行かない、という方のほとんどはMIX/TDの段階にミスがあることがほとんどです。

各種プラグイン

Plugins

DAWを使用したマスタリングでは、マスタリング用のプラグインも必要です。

マスタリング用と言っても特殊なものは必要なく、普段使いのプラグインで事足りる場合も多くあります。

EQ

EQ3

マスタリング用のEQプラグインを選定する条件としては、『M-S動作可能なプラグインであること』、『位相崩れが起きづらい(リニアフェイズ)プラグインであること』、『カット方向に癖がなく作用すること』あたりに着目して選んでいきましょう。

M-S動作はできるに越したことはないですが、不可能な場合でもM-Sマスタリングを行うことは可能です。

M-Sマスタリングとは、2MIXをMid成分とSide成分に分けて個別に処理した後にステレオに戻す方式です、詳しくは下記記事でご紹介しています。

全ての要素を満たすEQプラグインがない場合、DAW標準のEQが最も適したEQである場合が多いです。多くのDAWに標準でバンドルされているプラグインEQはデジタルEQで、位相が乱れずらく、カット方向に使用する際に癖がないものが多いからです。

リミッター

maxim

マスタリングの花形、音圧を稼ぐためのリミッタープラグインも欠かせません。

プラグインリミッターはほとんどの場合、マスタリングに使用されることを意識して作成されているため、基本的なマスタリングはDAW標準のリミッタープラグインでも十分に可能です。

マスタリング用プラグインチェーンの最終段に挿すことが多いため、CD音質の44.1kHz/16bitにダウンコンバートする際に滑らかにコンバートしてくれるディザーが入っていると便利です。

コンプレッサー

DYN3

リミッターは基本的にダイナミックレンジの広い楽曲のリミッティングを苦手としています。

特に打楽器のアタック感が強いトラックの場合、打楽器のアタックに反応して全体を潰すためにリミッターが深くかかりすぎてしまい思わぬ低域の暴れなどの問題が生じる場合があります。

そのため、前段にコンプレッサーを挟み、速めのアタックで打楽器のアタックのみをちょっと叩きダイナミックレンジを狭めるような使用をすることで、リミッターをより効果的に作用させることが可能です。

マルチバンドリミッター

L3LL

個人的には、必須ではないと思っていますが、あると便利かな、位のプラグインです。

各帯域ごとにリミッティングを行えるため、重心が低く、低域に音が集まっているダンストラックのマスタリング時などに威力を発揮します。

マルチバンドコンプレッサー

MC2000

こちらも必須ではありませんが、あると非常に便利なツールです。

各帯域ごとにコンプレッションを行うことで、より聴感に影響を与えないコンプレッションが可能となります。

また、帯域ごとの音量バランスを取ることが可能なこともポイントとなります。

メータリングプラグイン

PAZ

これも必須ではありませんが、より市販のCDに近づけたい場合に有効です。

現代のマスタリングは一時期の平均音圧を詰っ込むマスタリングから、ダイナミックレンジを生かすマスタリングに移行して来ています。

メータリングプラグインで平均音圧を測定することで、レベルが小さすぎたり、大きすぎたりということがなくなります。

 

時間

coffee

集中して作業を行っていると、意識しなくても聴覚がだんだんと麻痺してきます。そのため、長時間の作業や、MIX作業が終了した直後にマスタリング作業にかかるのは避けたいところです。

人間の耳では本質的に音量が大きい方が良いサウンドに聞こえてしまう傾向があります。また、マスタリング工程ではMIX時に比べて比較的音圧の高い状態で作業をするため、作業時間が伸びれば優劣の判断が付きづらくなることが多々あります。

適度な休憩時間を用意することはもとより、音を聞かずに近所を散歩するなど、気分転換をしながら作業が可能な程度にはスケジュールに余裕を持ちましょう。

個人的には、MIX→マスタリングの間に1日挟むことが多いです。そうすることで、自分のMIX作業をいい意味で忘れることが可能で、フラットな状態でマスタリングを始めることができます。

 

マスタリングの手順

L1Plus

実際にマスタリング用セッションで簡易マスタリングを行っていきます。

1.2MIXデータをインポートする

wave1

まずは、マスタリング用に準備した2MIXデータをDAWに取り込みます。

この時、参考にしたい楽曲などのマスタリング済みデータも読み込んで参考にしながら作業を行うのもよいでしょう。このような使用法のデータをリファレンスと呼びます。

 

2.各種プラグインをインサートする

insert1

今回の記事では、まず標準的なプラグインチェーンでご紹介していきます。

EQ→COMP→リミッターの順で読み込んだトラックにインサートします。

マスターにインサートしない理由は、マスターのインサートがポストフェーダーインサートであること(ProToolsの場合)、2曲以上のマスタリングを同時に行う場合に個別のプラグインを設定するため、などがあります。

また、この段階ではプラグインはバイパスしておきます。

 

3.波形を眺めながら曲を再生する

seiryu

DAWの利点として、オーディオデータの音量分布を視覚的に捉えられる、といったところがあります。これを利用して、1曲全体を通して眺め、聴くことで、音量が大きい部分と小さい部分について視覚と聴覚を紐づけることが可能になります。

この時、メータリングプラグインを使用することで、音の大きい、小さい以外にも、Mid成分が多い、Side成分が多い、低域が多い、高域が多いなどを視覚化可能です。

この段階であまりにもレンジが広い場合、MIX段階で適切なオートメーションを書いて置かなかったことや、トラックごとのレベル調整に問題があるかも知れません。

上記画像では、ProToolsの[メニュー]→[表示]→[波形]→[整流]にチェックを入れた際の画像です。プラス方向だけで音量の時間変化が表示されるので、通常表示よりも見やすいかも知れません。

 

4.波形の山を削っていく

seiryu2

前述の通り、リミッターは音量差のあるトラックのリミッティングが苦手です。そのために、リミッターの前段にインサートしたコンプレッサーで波形の山を削っていきます。

実際にバスドラムやスネアドラムなどで発生する、超短時間の波形の山を確認しながら、ピーク時に2〜3dB程度のコンプレッションを行う程度の設定に留めておきます。アタック・リリースはともに速め、レシオも3:1未満の設定にして、聴感にあまり影響を与えないくらい、本当に軽く叩いてやる程度で問題ありません。人間の耳ではそこまで差が無いように感じても、後段のリミッターには大きな差になります。

DYN32

ざっくりとこんな感じでしょうか。

コンプレッサーの出力レベルはピークで減衰した値と同程度まであげてもよいですし、0dBのままでも問題ありません。しかし、ピークレベルがあまりに大きいとリミッターがそこにつかえてしまうので、注意が必要です。

 

5.全体の音圧をあげていく

seiryu3

いよいよリミッターの出番ですね。

まずはリミッターのOUTPUTやシーリングといった最大出力レベルを設定するパラメーターを-0.1dBに設定します。

maxim2

これには諸説あるのですが、0dBからピークになるといった考え方をすると、0dB以下ではなく、0dB未満に設定する必要があるという考え方になります。当記事では、その観点から-0.1dB設定を推奨しています。ちなみに、AvidのMaximとかだと、0dBのままリミッティングを行うとマスターにピークが入ります。

上記に関しては、インターサンプルピーク(サンプリングポイント間のピーク≒トゥルーピーク)の影響である場合もありますが、MIX/TD済みのオーディオに関して言えば、0.1dBの差は専門家でもわかりませんし、デジタル歪みが入っていると作品が台無しになってしまうことも考えると大人しく下げておくのが良いと思います。

だいぶ脇道にそれましたが、慎重にリミッタープラグインのThresholdを下げていき、音圧をあげて行きます。この時、モニタースピーカーやヘッドホンの音量を若干下げた方が正確なジャッジが可能になります。

maxim3

元データのレンジ感を殺さないように注意しながら進めていきましょう。こちらもざっくりですが、こんな感じでしょうか。ピーク時のATTENUATIONが5dB以上になるような場合は、前段のコンプの設定を見直した方が良いかもしれません。または、後述のEQで解決することもあります。

リミッター使用後にモニタースピーカーやヘッドホンの音量を下げて、リミッター使用前と同程度の音量でモニタリングを行うと、MIXのバランスが崩れたように感じることと思います。慎重に聴き比べていくと、主に低域のバランスが意図しないものとなっているのではないでしょうか。

リミッターは入力信号を機械的に音量制限をして出力をします。その中で、低域から処理が始まるケースが多く、低域が過度に潰されて前に出てくるため、全体のMIXバランスを崩してしまいます。

メータリングプラグインを導入している場合は、周波数バランスを確認すると低域が大きくなっているのを感じることができるでしょう。

 

6.不要な低域をカットする

E606

MIXの時でもそうですが、低域の処理は全ての原点です。低域によりそれ以上の帯域がマスキングされることで本来のMIXバランスが崩壊してしまうのがマスタリングの失敗パターンの筆頭にあげられるでしょう。

不要な低域をカットするには当たり前ですが、EQを使用します。なお、ここで使用しているEQの帯域は状況により調整する必要がある点をご了承ください。

まずは、聴感に影響をあまり与えない30Hzあたりから大胆にHPFを設定し、ローエンドを明瞭にしていきます。元々がブーミーなMIXの場合、もう少し上の帯域までHPFを入れることもあります。

EQ33

加えて、リズム楽器の低域の膨張を止めるために100Hz程度に設定したローシェルフEQで1〜1.5dBのカットを設定します。

EQ34

この段階で大分ローエンドが明瞭になったと思います。

これでもまだ低域が暴れてしまう場合は、100〜200Hzのオクターブのどこかにピークがある場合が考えられます。広めのQでざっくりと近辺をカットするのもよいですし、狭いQで2箇所にカットEQを設定するのもよいでしょう。どちらの場合もカットする量は1〜3dB程度で十分です。前述の通り、人間の聴覚では大差無いように感じても、決まったロジックで動いているリミッターには大変大きな差となります。

さて、EQでカットを行ったことでコンプレッサー前の信号レベルが下がってしまい、設定したスレッショルドが有効に機能しなくなっている場合があります。この場合は再びコンプレッサーのスレッショルドを設定します。

EQを行ったことで全体の音量も若干下がっているので、リミッターのスレッショルドにも余裕が生まれているかも知れません。こちらも適宜調整を行います。ところどころのタイミングで、マスタリング作業前の2MIXを確認し、意図したバランスが崩れていないかを確認しながら慎重に作業を行いましょう。

問題が無いと感じたらバウンスを行って、簡易版マスタリングの基礎の基礎は終了です。CDレベルとまでは行かなくても商用流通の音源に近い感じになったのではないでしょうか。

また、マスタリングによって音圧が上がることで、いままで聞こえていなかった音が聞こえるようになってきたりもします。当然と言えば当然なのですが、それらがあまりに気になる場合、リミッターで音圧を突っ込みすぎていることが原因になっている可能性があります。

そういった場合には、試しにリミッターのスレッショルドを少しあげてみて、それで落ち着くようであれば、コンプレッサーの設定を再調整したり、Make Upでゲインを稼ぐことで、リミッターで持ち上げるレベルを少なくしましょう。



ちょっと突っ込んだマスタリング

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前項で最も基礎的なマスタリングは可能なのですが、上級編といいますか、もう少し工夫したマスタリングの方法を以下にご紹介いたします。

先にお断りしておきますが、私ZALはPA/MIX/RECエンジニアです。本物のマスタリング解説についてはマスタリングエンジニア諸兄に譲るとして、ここでご紹介しているのはどこまでいっても簡易的なマスタリングの手法であることをご了承ください。

1.2MIXデータをインポートする

ここについては前項と共通です。

 

2.各種プラグインをインサートする

plugins2

ここでは、前項に加えてマルチバンドコンプレッサーを使用します。また、共通のプラグインも少し凝ったものを使用してみます。ちなみに、私はMIXの各段階でテープシミュレーターやアナログモデリングプラグインなどを使用して倍音感を調整しているので、簡易マスタリングの段階でアナログ系プラグインを使用することはあまりありません。

商用スタジオでのマスタリング作業などを見ているとアナログのハードウェアを通したりしていて、それによりサウンドが整っていくように感じるのですが、正直自分では全くその再現が出来ません。匠の技ですね。

プラグインの接続順は、EQ→M.COMP→COMP→EQ→リミッターの順です。また、マスタートラックに各種メータリングプラグインをインサートして行きます。使用前のプラグインをバイパスしておくのも前項同様です。

3.レンジ感に注意しながらコンプレッションを行う

C42

前項の手順3を行いながらリミッター用コンプレッションを行います。マルチバンドコンプから手をつけることが多いですね。

低域を引き締めて高域を伸ばすため、低域はある程度厳しくコンプレッションしていきます。あまり低域を叩きすぎてもかえって潰れて前に出てきてしまうので、さじ加減が非常に重要になります。私はある程度しっかりと潰した上でレベルを下げることが多いです。

前項の手順でもそうですが、コンプレッションを行うとどうしても音質の変化を伴います。前項では低域の処理のみの解説となりましたが、他の帯域でも不自然に感じる場所は初段に挿したEQで適宜調整していきます。広い帯域で違和感を覚える場合は、マルチバンドコンプレッサーのバンドごとのレベルで調整するのもいいでしょう。

この時、基本的にはカット方向で調整するようにしましょう。

4.一段階目の音圧アップ

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マルチバンドコンプの直後にインサートしたコンプレッサーを使用して、全体の音圧を少し稼いでいきます。

デジタル回路のリミッターのみで音圧を稼ぐと、どうしても音楽的では無いサウンドになりがちなので、この段階である程度レベルを持ち上げておきます。癖のあまり強く無いアナログモデリング系のコンプを使用するのがベストだと感じています。

また、M/S動作可能なプラグインがインサートされている場合、これらを使用することで、Sideの音圧感も調整可能です。

5.失われた高域を取り戻す

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マルチバンドコンプレッサーと言えど、コンプレッサーなので、使用することでいわゆる抜けないサウンドになります。特にデジタル系の正直なコンプレッサーは可聴帯域ギリギリの超高域もご丁寧に潰してくださるために、高域成分が失われがちになります。

コンプレッサーの後段にインサートしたEQで若干のブーストを行い、失われた高域を取り戻しにいくこともあります。また、倍音が付加されるアナログモデリングプラグインを使用して、高域にハリを与えてみるのもよいでしょう。また、可聴帯域外でもEQを行うことでハリやキラキラ感が出てくる場合もあります。

2MIX相手にはほんの少しのEQでも効き目が大きいので、あまり大胆なEQを施すとMIXに破綻をきたす恐れがあります。特にブーストEQを使用する場合は細心の注意を払いましょう。

MIX段階でもそうなのですが、人間疲れてくると派手なサウンドが良いと錯覚しがちになります。休憩後に聴いてみると高域がキンキンして、耳の痛いMIXになっていることもあります。しっかり聴力が生きている段階でジャッジしていきましょう。

 

6.リミッターで最終的な音圧を決める

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この時、メータリングプラグインを使用して、低域を中心に全体の帯域バランス、ショートターム・ロングタームの平均音圧をチェックしながら決めていきます。また、モニタースピーカー、ヘッドホン、イヤホン、携帯オーディオプレイヤー付属のイヤホン、テレビのスピーカー、携帯のスピーカー、など色々なリスニング環境でチェックしていきます。

WLM

とくに、オーディオプレイヤー標準のイヤホンは使用者が多く、また、低域が重いと音が潰れたり、割れがちになるので、しっかりした音量で確認していきます。

問題がなければバウンスして終了です。

少し複雑な工程を踏むことで色々なことが可能になりますが、基本的にはシンプルな構成とやっていることは変わりません。そのわりには必要なプラグインも多いので、モノが揃っていたら練習がてらやってみる、というスタンスで望んでいただければと思っております。

 

iZotope Ozone

ozone

最後に、簡易マスタリングに最適なプラグイン、iZotope社のOzoneをご紹介いたします。

Ozoneは、ここまでの記事を全て無かったことにし兼ねない、統合型マスタリングプラグインです。

基本的には、いままで解説してきたものが一つのプラグインの中で完結できる、という代物なのですが、操作が非常にシンプルで、かつ効果もわかりやすいのです。

正直なところ、マスタリング用プラグインでこんなに明確な効果が出てしまっていいものか、と悩むところはありますが、Ozoneのプリセットから少し弄る程度でも簡易マスタリングであれば十分なクオリティに持っていくことが可能です。

今回の手順で説明した代表的なプラグインやM/Sマスタリングはもちろん、帯域ごとのステレオイメージを調整するステレオイメージャーや、単純に倍音を付加するエキサイターなどのエフェクトも充実しています。中でも、慣れている方でも設定に苦労するマルチバンドプロセッサのクロスオーバー(バンドの境目)の推奨値を自動的に検出してくれる機能が大変便利です。

基本的な使用方法は今回ご紹介した手順で問題ないのですが、プリセットの中にはどうしてこのセッティングでこの出来上がりになるのだろう、と考えさせられるものも多く、自分の勉強不足を痛感する次第であります。

今回ご紹介した、『ちょっと突っ込んだ簡易マスタリング』をやってみたいけどプラグインが揃っていない、という方には非常におすすめできるプラグインです。

iZotope / Ozone7
iZotope / Ozone7

また、Ozoneには上位版のAdvancedも用意されています。

こちらでは、Ozoneの全機能に加えて、アナログ色の強いテープエミュレーターや、ビンテージコンプ、リミッターモジュールが使用可能になっています。ビンテージリミッターの飽和せずに詰まっていく感覚は非常に優秀で、リミッターのみで音圧を稼ぎにいっても、ある程度音楽的なサウンドを保つことが可能です。

Advancedには、メータープラグインのInsightも付属していて、正確なメータリングも行うことができます。

iZotope / Ozone7 Advanced
iZotope / Ozone7 Advanced
iZotope社からは人気の統合型チャンネルストリップ、Neutronもリリースされています。こちらと合わさった上にiZotope社の他のプラグインも一通り揃ったMusic Production Bundle IIもお得になっています。なお、バンドル版ではOzone、Neutron両方ともAdvancedバージョンがバンドルされています。

単体のAdvanced版に加え、Neutron Advancedはもちろん、ボーカル系プラグインや、レストア系プラグインもバンドルされています。
iZotope / Music Production Bundle II
iZotope / Music Production Bundle II

このバンドルで一通りのことはできるのではないでしょうか。

ただ、iZotopeのプラグインは全体的にCPU負荷が高いので、同時に複数のプラグインを起動するような使い方は厳しいかもしれません。

iZotope / Neutronに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。




☆まとめ☆

  • リミッター前に音の山を崩す!
  • 低域の処理が甘いと絶対に事故る!
  • 調子に乗って突っ込みすぎない!

 

最後に

昨今の制作事情を考えると、専門外だから出来ない、やらない、とはなかなか言いづらい状況が多くなっています。もちろん、最良を目指すのであれば、プロフェッショナルに依頼するのが一番なのですが、なかなかそうも言ってられないことが多いです。

私もマスタリングに関しては専門家の方にお教えいただきたいことや、盗み出したい秘伝の(?)手法が山ほどあります。近いことをやっていて、方法論などは理解出来ているつもりなのですが、シビアな実戦の場数もなく、引き出しも豊富ではありません。

そんな中でも、今回の記事で目的に辿り着くための手段、という基本的な点はご紹介出来たのではないかと思います。

今回ご紹介した、iZotope Ozoneは自分のMIXをマスタリングで台無しにしている気がして、勉強のために導入したのですが、プリセットを弄っているだけでそれっぽくなる魔法のプラグインだと思っています。この記事は、それに頼り切ることの無いように、という自分への戒めの意味もありの備忘録でした。

 


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ZAL

 

 

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ZALのプロフィール

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お仕事:フリーランス音響エンジニア、
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