DTM/DAW

ProToolsをクリーンインストールでアップデートする方法

先日DAW環境をまるっと一新いたしました。

当然、DAW本体=ProToolsも最新版にアップデートを行ったのですが、今回はその方法についてご紹介していきたいと思います。はい、主に未来の自分のためです。

現在問題なく動いている環境を更新するのにはタイミングが重要です。

と言うのも、環境のアップデート直後はOS/DAW/プラグインの整合性や相性の問題などで動作が不安定になることが少なくないため、PC周りの環境と合わせて包括的にアップデートする必要があるからです。

当然、かなり大掛かりな作業になるので、進行中のプロジェクトや作業中の作編曲・MIXなどが途切れたタイミングで行う必要があります。作業中のファイルやセッションが開けなくなった、と言うのは最悪中の最悪です。そうならないためにも確認すべきところはしっかりと確認してからアップデートを行うようにしましょう。



目次

アップデート前に行うこと

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まずは、現在のバージョンからアップデート予定のバージョンまでの間のリリースノートに目を通します。Avidの場合は主にバージョンごとの新機能などについて書かれている[What’s New in Pro Tools xx(xxの中はバージョン)]と、互換性情報や動作環境などについて書かれている[Pro Tools xx Read Me(xxはバージョン)]の2つのpdfには必ず目を通します。

Avidホームページ→マイアカウント→My Products→Pro Toolsの中から、該当のバージョンの[What’s New In Pro Tools]と[Pro Tools Read Me]を確認可能です。今回の画像ではPro Tools 2020.3がアップデート予定のバージョンです。

また、使用しているプラグインやオーディオインターフェースのOS対応状況も各ホームページなどで必ず確認しておきます。OSの新バージョンリリース直後は各メーカーが動作検証が完了していないことも多いため、メーカーの動作確認をしっかりと待ちましょう、人柱になる必要は全く無いです。

他社製のDAWを使用している場合も同様に動作環境やOS互換性情報の確認は絶対に欠かせない作業です。

また、基本的にDAWメーカーは自分のメーカーのDAWが該当OS上で走るかどうか、のみを確認します。プラグインメーカーと緊密な連携は取って動作確認環境は整えているものの、プラグインについてはサードパーティに検証を任せているのが常です。

使用しているプラグインは各ユーザーにより様々なので、必要であれば自分用のExcelファイルなどに一覧表を作って管理するようにしましょう。

 

必要な情報が集まって互換性や動作環境の確認を行うことが出来たら、次はPC/Mac全体のバックアップを作成します。Macの場合にはTime Machineを使うことで起動ドライブのバックアップを作成できるので積極的に使用していきましょう。

バックアップを作成しておけば、アップデート後にどうしてもDAWが走らない場合にバックアップから復元することで問題を一旦解決することが可能になります。今回は割愛しますが、DAWを使用している以上、確実なバックアップはとても重要です。

 

バックアップが完了したら、DAW、プラグインなどの各インストーラーの準備を行います。都度ダウンロードしても良いのですが、いちいち再起動→ブラウザ起動→ダウンロード待ち→インストール→再起動のループを繰り返すよりもまとめてダウンロードした方が時間短縮になります。

ここまで来たら、次はインストール作業です。

アップデート方法

DAWに限らず、アプリケーションのアップデートには2種類の方法があります。

ひとつは、現在の環境を生かしたまま上書きインストールを行う方法です。この方法を使うと現在の設定状況やDAWの場合プラグインフォルダなどを新環境に引き継ぐことが可能です。

もう一つは、現在使っているDAWをアンインストールしてから新しいバージョンをインストールするクリーンインストールです。この方法だと、設定状況やプラグインフォルダが一括で削除されます。

一見、上書きインストールの方が手軽な感じがしますが、ProToolsの上書きインストールはインストール後のトラブルも多く、私は毎回クリーンインストールを行っています。

一度スタジオのProTools HDシステムで上書きインストール作業を行って起動が出来なくなり、digidesign(現Avid)のサポートに電話したのですが、その際に「まずはクリーンインストールをしてください。それでもダメならOSの再インストールをしてください。」と言われたことがあり、メーカー推奨(?)の方法を取るようになった次第です。

ちなみに、その時はDAWのクリーンインストールで解決したので大問題には至りませんでしたが、スタジオ一同バックアップ機の手配をしたりなどなど、生きた心地はしていなかったのを憶えています。

話がそれてしまいましたが、今回はこのクリーンインストールでアップデートを行う方法をご紹介していきます。

ProToolsのアンインストール方法

ProTools 11以降のバージョンにはアンインストーラーが付属していないため、アンインストールを手動で行う必要があります。

間違えたファイルを削除してしまっても、先ほど取ったバックアップがあるので、安心してください。

各ファイルのパスはMac環境で標準インストールを行った場合のパスです。Windows環境の方は適宜読み替えてください。

ProTools本体

Macintosh HD/アプリケーション/Pro ToolsにあるProToolsアプリケーション本体を削除します。

MIDI Patch Names

Macintosh HD/ライブラリ/Audio/MIDI Patch Names/Avidフォルダを丸ごと削除します。

MIDIパッチネームを新環境でも使用したい場合には、このフォルダをデスクトップなどに移動しておきます。

Rexフォルダ

Macintosh HD/ライブラリ/Application Support/Propellerhead Software/Rexフォルダを丸ごと削除します。

Rexファイルを保存している場合には、このフォルダをデスクトップなどに移動しておきます。

プラグインフォルダ

Macintosh HD/ライブラリ/Application Support/Avid/Audioフォルダをデスクトップに移動します。

このフォルダを削除してしまうと、現在使用しているプラグインを延々と再インストールするハメになるので、必ず移動&保存しておきます。

ちなみに、外部スタジオで自前のプラグインを持ち込む場合も考えて私はこのフォルダをUSBメモリに入れています。iLokごと持っていくことで、外部スタジオでも自分のプラグインを持ち込んで使用可能です。

設定ファイル

Macintosh HD/ユーザ/ホーム/ライブラリ/Preferences/Avid/Pro Toolsフォルダを削除します。

新バージョンと設定項目の齟齬がある場合のトラブルを避けるために、このフォルダは移行ではなく削除することをオススメします。設定状況を移行したい場合にはProToolsを起動して初期設定の各タグをスクリーンショットしておけば復元できます。

Mac環境でこのライブラリフォルダはFinderメニューの[移動]をクリックしてからオプションキーを押している間だけ表示される項目です。押したままクリックしましょう。

 

ここまでで、現在インストールされているProToolsのアンインストールは完了です。

この手順はAvid Knowledge Baseにも記載されています。Pro Toolsの初期設定の削除方法と合わせて下記にリンクを貼っておきます。どちらのページも日本語なのでご安心(?)ください。

Pro Tools 11 (以降)のアンインストール方法(Avid Webサイト)

Pro Tools 初期設定削除方法(Avid Webサイト)

これ以上の情報が欲しい場合には本国サイトのナレッジベースやフォーラムを確認する必要があります。



ProToolsのインストール方法

上記手順でアンインストールが完了したら、新バージョンのインストールを行います。

こちらがダウンロードしたインストーラーです。ディスクイメージなので、ダブルクリックでマウントします。

上に居るのがインストーラー、Documentationにはリファレンスガイドや必要な情報のWEBリンクなどが納められているので、これも保存しておくことをオススメします、ドラッグアンドドロップで簡単に保存可能です。

Driver installersはHDXドライバーのインストーラーなのでNative版を使用している方には不要です。Licenseにはライセンス情報のPDFが入っています。

お決まりの警告ポップアップです。Avidを信頼して[続ける]をクリックします。

お決まりその2の契約書です。しっかり読んでから問題なければ[続ける]をクリックします。

余談ですが、契約書はどんなものでもしっかり読んでからサインや同意するようにしましょう。大変なことになってしまう場合があります。また、契約に同意している段階で後からのクレームを受け入れてくれないのが社会の常です。

この後インストーラーにパスワードを聞かれてしばらく待てば再起動を行ってインストール完了です。

動作確認を行う

この段階まできたら、先ほどのプラグインなどを復元したい衝動にかられますが、一旦インストールしたままの状態で起動テストを行います。

こうすることで、万が一起動が出来なかった場合の問題の切り分けが出来るようになります。まぁ、この段階で起動出来ないことはかなり稀ですが、起動出来ない場合に出来ることはOSの再インストールだけと考えた方がよいです。手順通りに進めていればバックアップがあるので復元までにそう時間はかかりません。

この状態で起動が確認出来たら、一旦ProToolsを終了して先程退避させたフォルダを元の位置に戻します。

プラグインフォルダを丸ごと上書きしてしまうと新機能のプラグインなどが消えてしまったり、アップデート後のバージョンに最適化されたプラグインを旧バージョンで上書きしてしまうので、フォルダの中身を選択して移行します。同名のファイルがあると上書きするか聞かれるので、[キャンセル]を選択します。両方を残してしまうと動作に問題が出る場合が多いので注意しましょう。

プラグインのアップデートも同時に行う場合には、先にプラグインインストーラーからインストールを行い、上記同様に上書き保存をせずに残りのプラグインを移行することでスムーズに進めることができます。

各フォルダを復元、更新したら一旦OSを再起動してから再度ProToolsを起動します。

この再起動時にProToolsがプラグインフォルダを参照して前回起動時との差分を読み込み、iLokからライセンス情報を確認します。そのため使用しているプラグインが多いとかなりの時間がかかります。次回以降は短時間で済むので我慢しましょう。

これで起動が確認出来たら、初期設定を復元してから以前のセッションファイルなどをコピーして開いてみます。再生や編集などを行ったり、プラグインの動作を確認して問題なければアップデート成功です。新機能についても確認してみるとよいですね。

動作が確認出来たら、一旦先ほどのバックアップとは別にOS全体のバックアップを取っておくことをオススメします。起動している状態のバックアップがあれば、万が一の事態にも対応できます。また、私は各種インストーラーも一定期間保存することにしています。



3行でまとめると

  • アップデート前には確実にバックアップを!
  • 注意事項や動作環境・互換情報はしっかり調べる!
  • 動作確認も確実に行う!

最後に

ここ最近でDAW周りとKemper Profiling Amprifier周りのアップデートを一斉に行いました。もちろん各記事で紹介している手順で進行しているのですが、完全にトラブルが起きていないわけではありません。

今回の場合、プラグインを戻した後の起動時にSoftubeやMcDSP、Sonnoxなど多用しているプラグインの中からライセンスが見つからないプラグインが大量に出てきてしまいました。プラグインバージョンは変更していなかったので原因はそこではないと切り分け、次にiLok License Managerをみると確かにライセンスはiLokにあるのですが読み込んでくれないという状況でした。

冷や汗を流しながらライセンスを一旦ライセンスクラウドに戻して、再度iLokに移してみたところ問題なく起動したのですがさすがに慌てましたね。色々なトラブルを経験して慣れて(?)いるのですが、アップデート後の動作確認はいまだに恐怖の連続です。

せっかくなので次回のための備忘録として残しておこうと記事にしてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

 


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