ライブハウスなどではPAエンジニアが設定を行ってくれますが、バンドマンでもリハーサルスタジオでのリハーサル時には、PAシステムを使用してボーカルやキーボードの音を出さなくてはなりません。
各リハーサルスタジオでは使い方ガイドなどを近くにおいてあったり、受付に使い方を聞きに行けば教えてくれるとは思いますが、実際に使ってみると、思ったような音量を得られなかったり、ハウリングが止まらなかったり、うまく行かないことが多いと思います。
今回はそんなときに役に立つPAミキサーの使い方をご紹介いたします。
DTM環境で使用するコンパクトミキサーの使用方法については下記記事をご覧ください。
目次
ミキサー各部の名称と機能
ここからはミキサー各部の名称と機能についてご紹介していきます。
今回はリハーサルスタジオによく設置されているYAMAHAのパワードミキサーEMX5016CFを例にとってご案内いたします。他のミキサーでは各部の名称が異なる場合がありますが、基本的な使い方は同じなので応用することができます。
ミキサーの表面の見方
まずはミキサーの表面を見ていきましょう。
ミキサーは複数のインプット(入力)チャンネルから構成されていて、それぞれのインプットチャンネルの音を混ぜる(MIXする)のが基本的な使い方です。
インプットチャンネルとは、入力端子からフェーダーまでの縦一線のことを表します。画像のEMXには8つのモノラル専用入力チャンネルと4つのモノラル/ステレオ共用インプットチャンネルがあります。
各インプットチャンネルのツマミ群は横にそれぞれ同じ機能を持ったツマミが並んでいます。つまり、1つのインプットチャンネルの操作を覚えれば、他のチャンネルも同様に扱えるのです。
それでは、次からは各部の名称とリハーサルスタジオでの使い方をご紹介していきます。
インプット、マイクプリセクション
画像の黄色い枠の内側、本体上部のマイクなどを挿すところをインプットセクションと呼びます。
XLR入力端子のINPUT Aにはボーカルマイクを接続します。フォーン端子のINPUT Bにはキーボードなどのライン楽器を接続します。
INSERT端子は外部機器との接続用の端子です。誤ってこの端子に楽器を接続しても、正常なレベルで再生出来ないので注意しましょう。
画像の赤い枠で囲われた部分がマイクプリアンプセクションです。EMXでは26dB PADスイッチ、GAINツマミ、80HzのHPF(ハイパスフィルター)、1ノブコンプレッサーで構成されています。
26dB PADスイッチ
入力信号を26dB減衰させるスイッチです。26dBがどれ位かと言うと、GAINツマミの半分以上の減衰量となります。通常、キーボード等のライン楽器を接続する場合にはON、ボーカルマイクを接続して使用する場合にはOFFの状態で使用します。
GAINツマミ
入力信号を増幅する量を決めるツマミです。マイクの入力はラインレベルの楽器と比べて非常に小さいので、この段階でしっかりとレベルを取っておくことが重要になります。
YAMAHAのアナログミキサーには、GAINツマミを時計に見立てた時の9〜10時方向に太めの目盛りが振ってあります。これがSM58など、一般的なボーカルマイクを使用する際にGAINの基本位置になります。
1ノブコンプレッサーツマミ
EMXにはスレッショルドとゲインが連動して可変するタイプのコンプレッサーが備わっています。
あまりコンプレッサーをかけ過ぎると不要なハウリングの原因となります。使用する場合は、ボーカルのピークを叩く程度に使用する位に留めましょう。また、声を出しながら操作をしても効果が感じられない場合は0の位置に設定しましょう。
ハイパスフィルタースイッチ
ミキサーによってはこの部分、またはEQセクションにハイパスフィルターが搭載されています。
リハーサルスタジオでは不要な低域をカットするためにこれらのスイッチを入れて使用するのがよいでしょう。
また、ハイパスフィルタースイッチの記載は、HPFやLC(LOW CUT)、数学記号のルートに似た記号に80や100の数字など、メーカーや機種によって様々です。
EQ、AUX、EFFセクション
インプットセクションの下部は、音を整えるEQ(イコライザー)ツマミ、外部機器に信号を送るAUX(オグジュアリー)ツマミ、内蔵エフェクトに信号を送るEFFツマミが並んでいます。
EQツマミ
画像の緑枠内はEQ(イコライザー)を操作するつまみです。HIGHが高音、MIDが中音、LOWが低音をそれぞれコントロールします。各帯域で時計回りに回すと大きく、反時計回りに回すと小さくなります。
MIDは250Hzから5kHzの範囲で作用するポイントを指定できます。
実際の設定ですが、リハーサルで使用する場合には各帯域ブーストはしないのが賢明です。極端な話、慣れていない場合は、下手にEQするよりも、全てフラットの位置で使用した方が良い結果を得られます。
AUXツマミ
オレンジ枠内のツマミの内、上2つはスピーカー端子から接続しているスピーカーとは別に、外部のモニタースピーカー等を接続する場合に使用するツマミです。リハーサルスタジオで使用する場合には全て絞りきりで問題ないです。
各ツマミ下のPREスイッチが押されていると、下部のチャンネルフェーダーの位置に関わらず外部出力を行うことが可能です。
EFFツマミ
オレンジ枠の内側下側2つは、後述の内部エフェクトに信号を送るつまみです。EMXでは2系統の内部エフェクトを使用して、インプットチャンネルの信号にリバーブ等のエフェクトをかけることができます。
リハーサル時にモニターリバーブをかけ過ぎると、これもハウリングの原因になります。また、リバーブがかかった音は芯が無くなるため、モニターしづらくなります。
モニターリバーブが必要ない場合、このツマミも絞りきっておきましょう。
PAN、ONスイッチ、PFLスイッチ、チャンネルフェーダー
ミキサーの下部にはフェーダーやPAN、ONスイッチが並んでいます。
PANツマミ
ステレオ接続されたスピーカー間の定位を決めるツマミです。反時計回りに回せばLチャンネル、時計回りに回せばRチャンネルに音が寄っていきます。
リハーサルで使用する場合は時計の針の12時方向、つまりセンター定位で使用すれば問題ないでしょう。
ONスイッチ
インプットチャンネルのONスイッチです。スイッチをONの状態にすることで、そのインプットチャンネルの音をスピーカーから出力することが可能です。
少し紛らわしいのですが、海外メーカーのミキサーではMuteスイッチとなっていることが多いです。この場合はMute=OFFの状態がチャンネルONの状態です。
PFLスイッチ
PFLとはPre Fader Listenの略で、PFLスイッチを押すと、ONボタンの状況やフェーダーの位置に関わらず、インプットチャンネルのフェーダー前の信号をヘッドホンなどでモニターすることができます。
スタジオではヘッドホンを使用してサウンドチェックをすることはあまりないかと思います。一箇所でもPFLスイッチがONになっているとメーターを正確に読めなくなってしまうため、全てのインプットチャンネルのPFLスイッチをOFFの状態にして使用します。
チャンネルフェーダー
インプットチャンネルのボリュームを決めるフェーダーです。目盛りの[0]が基準になる地点で、下側の目盛りはdBのマイナス値を、上側の目盛りはdBのプラス値を表しています。
アナログミキサーの場合、0付近以外では音質、ノイズの面で不利になるので、極力0付近で使用するのが賢明です。リハーサルスタジオの場合、0に目盛りを合わせるのがよいでしょう。
G.EQ、エフェクトセクション1、パワーアンプセクション、メーター
ミキサーの右側部分上部にはグラフィックイコライザー、エフェクト関係の操作系が並んでいます。
グラフィックイコライザー
スピーカーからの出力音を周波数別にブースト、カットのコントロールする部分です。横軸が操作可能な周波数、縦軸が周波数ごとのブースト、カット量を視覚的に表しています。
機種によってはアナログのグラフィックイコライザーがついているものや、グラフィックイコライザーを搭載していないものもあります。画像の用にフィードバックサプレッサーが搭載されているモデルもあります。フィードバックサプレッサーとは、ある程度自動的にハウリングを除去してくれる機能で、少量のハウリングに対しては有効な手段ですが、根本的な解決にはならないことも多く見受けられます。
デジタルグラフィックイコライザーを搭載している機種の場合、メーカープリセットがインストールされている場合もありますが、使用環境により設定が大きく変わる種類のものなので、万能設定というものは存在しません。
ある程度の慣れは必要になりますが、グラフィックイコライザーを上手く使用することでハウリングが起こりづらい状態を作ることができます。また、PAでグラフィックイコライザーを使用するときには、基本的にブーストでの使用はせずカット方向のみに使用します。
リハーサルで使用する場合は、全ての素子を0位置に設定した状態から使用し始めるとよいでしょう。この部分の詳しい操作方法は後述します。
エフェクトセクション1
インプットチャンネルのEFF1/2ツマミで送った信号はこの部分に到着します。ダイヤル式のPROGRAMノブでエフェクトタイプを決定し、PARAMETERツマミでリバーブの長さなど、エフェクトの量を決定します。
リハーサルスタジオで特殊なエフェクトを使用することはあまりないので、ボーカル用に薄っすらリバーブをかけるくらいでしょうか。その際にはエフェクト名称がPLATE REVERBやVOCAL ECHOなどというものを選択するのがよいでしょう。
リバーブの種類については以下の記事をご参照ください。
パワーアンプセクション
パワーアンプ内蔵型ミキサーの場合、接続先スピーカーや使用方法に合わせるためにパワーアンプの出力コントロールをするセクションが存在します。
リハーサルスタジオ常設のミキサーの場合は、この部分の設定は絶対に変えずに使用してください。変更して使用するとスピーカーやミキサー本体を痛めたり破損させてしまう可能性があります。
メーター
後述のマスターフェーダーから出力される信号の大きさを視覚的に表すメーターです。機種によってはメーターで表示する入出力レベルを切り替え可能です。
メーターにも0位置があり、こちらが基準レベルになっています。PEAKが点灯するレベルで使用すると機器を痛めるので絶対に点灯させないよう注意が必要です。
今回はご紹介しませんが、デジタルミキサーでは最大レベルが0(dBFS)になっています。多くの場合は、-18dBがアナログミキサーの0位置に相当します。
エフェクトセクション2、モニターセクション、マスターフェーダー
エフェクトセクション2
先ほどエフェクトセクション1で使用したエフェクトの出力をONにするEFF ONスイッチとライブで使用するモニターにエフェクト音を返す用のAUX1/2センドツマミが並んでいます。
スタジオではONスイッチの状態に注意しておけば問題ないです。
モニターセクション
ヘッドホンを接続しているときに、ヘッドホンのボリュームをコントロールするツマミがついています。
スタジオではあまり使用することはないと思いますが、使用する場合には最初は絞りきった状態で、音を出しながら徐々に上げて行くようにします。
マスターフェーダー
左からエフェクトの音量を決定するフェーダー(EFF1/2)、各外部出力(AUX1/2)の出力マスターフェーダー、ST(STEREO)マスターフェーダーが並んでいます。入力フェーダーと同様に0の位置が基準レベルになります。
エフェクトリターンフェーダー
エフェクトを使用する場合はONボタンに加えてこのエフェクトリターンフェーダーも上げる必要があります。
AUXマスターフェーダー
ライブに使用する場合などAUX出力を使用する場合は、このフェーダーを上げておく必要があります。
スタジオでは使用しないと思うので、-∞の位置(絞り切り)に設定しましょう。
ステレオマスターフェーダー
ステレオマスターフェーダーは謝って操作しないように、多くの機種では赤いフェーダーになっています。一旦音量が決まったら操作しないようにしましょう。
機種によってはこのフェーダー付近にオールミュートスイッチがついています。オールミュートスイッチとは、全てのインプットチャンネルをOFFにするスイッチで、チャンネルの設定状況を保ったままケーブルの抜き差しをする場合に便利ですが、ステレオインプットには作用しない機種なども多く、いちいち確認するくらいなら使用しない方が賢明です。
以上各部の名称や機能について見てきましたが、ここからは実践編ということで、リハーサルスタジオで使用する際のコツや注意点、基本的なセッティング方法などについて解説していきます。
リハーサルスタジオで困らないミキサーの使い方
バンドを結成して、練習のためにリハーサルスタジオに入ったはいいけど、ミキサーの使い方がわからない、説明が書いてあっても理解できない。
リハーサルスタジオは時間制です。設定に戸惑っている間にもタイムリミットは近づいてきてしまいます。こんなとき、速やかなセッティングができれば、より多くの時間をリハーサルに使うことができます。
はじめにやること
私にも経験があるのですが、リハーサルスタジオの入れ替え時間(前のバンドさんが部屋を出てから次のバンドさんが部屋に入るまでの時間)は戦場です。
そのために、ミキサーの状態がフラットな状態になっていないことがあります。
まずはミキサーの状態をフラットにすることから始めましょう、慣れればほとんど時間はかかりません。
1.全てのフェーダーが絞り切られていることを確認する
フェーダーが絞り切られていない場合、絞り切ります。すぐに終わります。
PFLボタンがあるミキサーの場合は、PFLボタンがOFFになっていることも同時に確認しましょう。
2.GAINツマミが絞り切られていることを確認する
全てのチャンネルのGAINツマミが絞り切られているかどうかを確認します。フェーダー同様、絞り切られていない場合は絞り切ります。慣れれば簡単です、片手でできます。一瞬です。
3.EQツマミがフラットな位置になっていることを確認する
ここがフラットに復帰されていないことが非常に多いです。どころか、ほとんどの場合、いつから設定されているかもわからない謎セッティングになっています。どこかの帯域がブーストされた状態になっているとハウリングが起こりやすく、音量が稼げません。
この記事のEQセクションの項にある画像がEQのフラットな状態です。+/-がついているところのツマミをセンター位置に、周波数が描いてあるところのツマミを絞り切りにします。
4.EFF、AUXツマミが絞り切られていることを確認する
ここも絞り切りになっていないことが多いです。
そのまま使用して、スタジオマンや次のバンドに「なにも繋がっていない端子になんの音を送っていたのだろうw」、とか思われないように全てのインプットチャンネルのツマミを絞りきってから使用しましょう。
5.電源を入れる
やっと電源ONです。慣れればここまで1分とかです。
はじめから電源が入っているスタジオの場合、わざわざ電源を切ってから1〜4を行う必要はないですが、マイクの接続などはしないようにしてください。
6.グラフィックイコライザーがフラットになっているかを確認する
アナログのグラフィックイコライザーの場合は電源投入前でも良いのですが、今回資料をデジタルグラフィックイコライザーのミキサーで用意してしまったので電源投入後にしました。
とても重要な位置であるにも関わらず、復帰されてないことが多いです。全ての素子が0の位置にあることを確認、そうでなければ0の位置にしましょう。
ここまでの行程でミキサーがフラットな状態になったので、ここからはボーカルマイクの声を出す方法をPA初心者向けにご紹介していきます。
経験がある方からすれば、手順に疑問を感じられることもあるかも知れませんが、一つの方法論だと思っていただければ幸いです。
リハーサルスタジオのミキサーでボーカルの音を上手に出す方法
上記手順でフラットな状態のミキサーになっていることを前提に紹介しています。
1.マイクをインプットチャンネルに接続する
スタジオ常設のものであったり、受付で入室時に渡されるボーカルマイクをミキサーに接続します。
ケーブルがミキサーのツマミ類に触れないように取り回すとベストです。
2.ステレオマスターフェーダーを0位置まで上げる
まず最初に赤い色のステレオマスターフェーダーを0の位置まであげます。
そして、今後このフェーダーの位置は変更しません。
3.インプットチャンネルをONにし、フェーダーを0位置まで上げる
マイクを接続したインプットチャンネルをONにし、そのチャンネルのフェーダーを0の位置まで上げます。
この段階で音はでますが、十分な音量は得られません。
4.メーターを見ながら声を出し、インプットチャンネルのGAINを上げていく
ここで重要なのは『メーターを見ながら』、『声を出しながら』という点です。メーターでPEAKが点灯しないように注意しながら、音量が自分が欲しいところまで得られるかを確認しながらGAINを上げて行きます。PADスイッチがついているミキサーの場合はPADを先に外しておきます。
多くのミキサーの場合、GAINツマミは時計の文字盤でいう、9〜11時方向がボーカルマイクに最適化されています。
この時、不要な低音の影響を避けるため、ハイパスフィルターが備わっているミキサーでは有効にしておくのがよいでしょう。
ここまでの行程で満足な音量が得られた場合、そのまま使用して問題ありません。また、各アンプの設置位置やドラムセットとの位置関係など、リハーサルが行いやすい、優秀なスタジオということができると思います。
この段階で音量不足を感じる場合、単純に弦楽器隊のアンプの音量が大きすぎることも考えられます。その場合はボーカルを上げて対処するのではなく、弦楽器隊のアンプの音量を下げて調整する方が上手くいきます。
弦楽器隊の音量を調整しても絶対的に音量が足りない場合、スピーカーからの出力をさらに上げる必要が出てきます。ここからは、ミキサー、スピーカーでこれ以上の音量を出す方法についてご紹介します。
5.ゆっくりとフェーダーを上げながらハウリングするポイントを探る
マイクに声を出しながら、ゆっくりインプットチャンネルのフェーダーをハウリングが開始する音量まで上げて行きます。このとき、フェーダーに常には手をかけておき、ハウリングが始まったらすぐにフェーダーを下げて止められる状態にしておくことが重要です。
「キーン」という高い音のハウリングや、「ボワーン」という低い音のハウリングなどが発生し始めるところまでフェーダーを上げたらフェーダーの位置をキープしたまま、次の行程に移ります。大きな音量のハウリングが始まったら、すぐにフェーダーを下げてハウリングを止めることが重要です。大音量でハウリングをさせ続けるとスピーカーを痛めます。
6.イコライザーを使用してハウリングをカットする
ミキサーにグラフィックイコライザーが備わっている場合、それを使用してハウリングが発生している周波数帯域をピンポイントでカットします。
と言ってもどこの周波数がハウリングを起こしているかわからない、と思います。わからなくても止められるのでご安心ください。
低い音のハウリングなら低い周波数の素子から、高い音のハウリングなら高い周波数の素子から、ひとつづつ総当たりでカットしてみる方法でハウリングを止めることができます。
カットしてハウリングが止まらなければ、素子を元に戻して次の帯域をカット、という作業をハウリングが止まるまで繰り返します。ハウリングが収まったらまた5.の行程に戻って音量を少しずつ上げます。5.と6.を繰り返してハウリングを抑制しつつ音量を上げて行くことが可能です。
この時メーターにも注意し、PEAKが点灯しないようにする必要があります。
ミキサーにグラフィックイコライザーが備わっていない場合は、インプットチャンネルのイコライザーを使用します。
低い音のハウリングにはLOWのツマミを使用します。反時計回りにハウリングが収まるところまで絞っていきます。高い音のハウリングにはMIDのツマミを使用してEQをカットしながらハウリングの帯域を探っていきます。HIGHのツマミを絞れば良いと思うかもしれませんが、HIGHの周波数は固定である場合が多く、多くの場合ハウリングが発生している帯域よりも高い周波数です。
それでも音量が不足する場合
イコライザーで止められるハウリングには限界があります。イコライザーをカットすると音量が下がるため、ハウリング対策でグラフィックイコライザーで4ポイント以上カットしなくてはならない状況になるとフェーダーを上げる前の方が良かった、ということになりがちです。
その場合は大きな音量を出すことよりも、他の楽器の音量を下げたり、スピーカーからの声を聞こえやすくする方法で解決した方がよいです。
スタジオ内で生音の音量が調整できないドラムから離れる、ギターアンプ、ベースアンプの向きをボーカルから遠ざける、スピーカーの向きが変えられる場合はボーカルに向ける、変えられない場合はボーカルがスピーカーが向いている方向に立つ、マイクを口に近ずけて持つ、などの方法が考えられます。
ボーカル用マイクロフォンの正しい持ち方や、ハウリングが起こってしまう原因とその対策については下記記事を参考にしてください。
また、上記の方法で音量を上げ、立ち位置も調整したにも関わらずボーカルに自分の声が聞こえづらい場合、少し広めのスタジオを使用してみることで解決することもあります。狭いスタジオではドラムセットや各楽器アンプとの距離が近く、楽器隊が自分の音をモニターするためにある程度の音量を出さなくてはならない場合が多く、スピーカーも省スペース性を優先して効率のあまりよくないスピーカーが設置されていることが多いからです。
3行でまとめると
- ミキサーを使うときはフラットな状態から!
- PEAKが点灯しないように注意!
- ハウリングはイコライザーでカット出来る!
最後に
リハーサルスタジオで使い方がいまいち解らないミキサーの使い方についてでした。
ミキサーは使い方が解らない敵ではなくて、上手く使えば快適なリハーサルを助けてくれる味方です。この記事を参考にいろいろ触ってみてください。
また、ご自宅にDTM環境を持っている方には、コンパクトミキサーの導入もオススメです、サイズやメーカーが違っても基本的に使用方法は一緒なので、スタジオのミキサーが使えればコンパクトミキサーも使えます。
下記記事でコンパクトミキサーについても紹介しています。よろしければご覧になってください。
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