Distortion

Suhr Eclipseレビュー、2ch歪みペダルの新しいカタチ!

歪みサウンドにこだわるギタリストの悩みの一つ、それは、理想の歪みエフェクターを探して、よりよい歪みを、他のキャラクターの歪みを、と歪みエフェクターの個数が増えていってしまうことが挙げられるんじゃないでしょうか。

私も歪みエフェクターは各方面からの評判を聞いたり、動画をみたり、他の方が使用しているのを聴いたり、様々な影響を受けて様々な種類のエフェクターを使用してきました。

実際に自分で使用してみると、なんだかしっくり来なかったり、使えるサウンド(使いたいサウンド)がピンポイントすぎて応用が効かなかったりで上手く扱いきれない感じがありました。

そんな中、Suhrから多チャンネルのオーバードライブ/ディストーションペダルEclipseがリリースされました。Suhrの歪みと言えばRiotのローノイズで太い良質なディストーションのイメージがあったためEclipseにも期待して試してみました。

ちなみに、当ブログで使用している製品の画像の一部は、個人で所有するEclipse本体に、移動中や使用中にノブが意図せず回ってしまうことを防止するHawkeye Knobと、フットスイッチの踏み損じを避けるためのキャップが取り付けられた状態です。

余談ですが、このHawkeye Knobは外周と内周のノブが独立していて、外周を引っ張り上げながら回したときだけ内周も一緒に回る構造になっています。足が当たってしまったり、輸送中にケース内で設定が変わってしまうことがないのでとても便利です。



目次

Suhrとは?

suhr_logo

Suhr(サー)とは、John Suhr(ジョン・サー)氏が創業した、アメリカの高級ギターブランドJohn Suhr Technologyです。

John Suhr氏は楽器のリペアマンとしてキャリアをスタートさせ、以降、楽器店の店長と共同でギタークラフトを行ったり、CAEでギターアンプOD-100やギタープリアンプ3+の開発に携わったり、Fender Custom Shopでノイズレスピックアップの開発に携わったりしています。

その後、1997年に独立しJohn Suhr Technologyを創業しています。

Suhrホームページ(英語)

ABOUT USページでギターを構えているのがJohn Suhr氏です。

同じ人がキャリアの中でギター本体を作ったり、ギターアンプを作ったり、ピックアップを作ったり、エフェクターを作ったりしていることに驚きを隠せませんが、Suhrの製品はどのジャンルも高品位でハズレがありません。

日本での国内代理店はオカダインターナショナルです。

Eclipseの特徴

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外観的な特徴は、さすが高級ギターブランド、と言ったところでしょう。ノイズにも強い堅牢なアルミ削り出しボディに、高級感のあるヘアライン加工が施されています。また、個人的な趣味の話で恐縮ですが、赤い歪みエフェクターには説得力を感じざるを得ません。

全体的なサウンドの傾向として、歪みのレンジがかなり広く、ほとんどクリーントーンの状態から、深めのディストーションサウンドまでを一台でカバー可能です。激歪というようなところまでは歪みませんが、HR/HMジャンルでも十分使用可能なレンジの歪みを得ることができます。

Eclipseのサウンドに関しては、以下のSuhrオフィシャル動画をご参照ください。

また、他社の一般的なオーバードライブ・ディストーションエフェクターではツマミのレンジ調整の関係か、ある程度以上GAINノブを上げると音が潰れてしまって、かなり使いづらいサウンドになってしまいますが、Eclipseでは3時方向位までは有効な変化をしていきます。

ここからは、Eclipseのコントロール類などの特徴を挙げていきます。

2チャンネルの独立した歪みチャンネル

多チャンネルの歪みペダル全般の特徴ですが、2チャンネルのEclipseはバイパス時のクリーンと合わせて3つの音色を1つのエフェクターでコントロール可能です。ギターアンプ本体のフットスイッチを使用しなくても、クリーン・クランチ・オーバードライブなど3つの音色を出力することが可能です。

また、近年になり、歪みエフェクターも多チャンネルのものが増えてきましたが、Suhr Eclipseには他のエフェクターと大きく異なるユニークな特徴があります。

実は、2チャンネルあるチャンネル、向かって右側、赤いLEDのRED CHANNELと左側の青いLED、BLUE CHANNELは全く同じ回路で構成されています。つまり、ツマミの位置を同じ位置に調整すれば、全く同じサウンドになるということです。

直列に両方のチャンネルをONにすることはできませんが、十分なゲインレンジを持つ2チャンネルのプリアンプのように使用することができるため、不便を感じることはないでしょう。

また、オーバードライブとブースターが一台に収まったエフェクターは多いですが、多くの場合、基本的な歪みサウンドやトーンコントロールは1つしか使うことができません。2チャンネルの独立した歪みがあるということは、2つの同じエフェクターを並べているのとほぼ同じことになります。

このことにより、別途ブースターを使用しなくても、バッキング用の歪みと、同じ歪みのキャラクターでGAIN、ボリュームとMIDがブーストされたリード用の歪みを使い分けることが可能です。

他にも、ギター本体のボリュームコントロールだけではカバーが難しいレンジの歪みを使い分けたり、使用方法は多く見つけられるでしょう。

3バンドEQで細かな音作り

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RED、BLUEの両チャンネルにはBASS,MIDDLE,TREBLEとギターアンプのような3バンドのEQが備わっており、TONEツマミだけでトーンコントロールをするタイプのエフェクターと比べて幅広いサウンドメイクが可能になります。

EQの効きに関しては、12時方向を中心に実用的な範囲での細かい調整にフォーカスしている印象です。

そのため、EQだけで極端なサウンドは出しづらいかも知れませんが、後述のVOICEコントロールと合わせることでサウンドの幅は非常に広く、MIDを抑えたドンシャリサウンドからMIDを突いた骨太サウンドまでカバーしてくれます。

GAINを抑えたクランチサウンド時にも、このEQで抜け感のコントロールをすることができます。

両チャンネルでEQが独立しているため、骨太サウンドとシャキシャキクランチトーンの組み合わせや、ドンシャリサウンドとウォームなオーバードライブサウンドの組み合わせなども可能です。

実際の使用では、ギターアンプのEQで若干カラッとしたクリーンを作ってからEclipseで歪ませると、良い感じにコントロールが効く印象を受けました。プリアンプではなく、あくまでも歪みエフェクターということを考えると、全体のサウンドキャラクターはアンプのEQで設定するのがよいでしょう。

また、カラッとしたクリーンが得意なアンプと相性が良い、ということで、苦手とする方が多いRoland JC-120での歪みサウンドにも非常に重宝します。



VOICEコントロールでキャラクターの幅が広い

Eclipse_voice

前述のEQに加えて、本体中央に位置する、両チャンネル共通のVOICEノブで高域のレスポンスをコントロールすることができます。ギターアンプのパラメーターで言うとPRESENCEコントロールのようなイメージです。

12時方向を基準に、絞っていくと上品で落ち着いたトーン、上げていくとギラついた派手なトーンとかなり柔軟に変化していきます。

同社のRiotディストーションにも同様のVOICEコントロールが搭載されていますが、こちらはスイッチでの3段階切り替えとなっていて、ツマミでコントロール可能なEclipseの方がより柔軟性があると言えます。

Riotよりも下のゲインレンジもカバーする関係で、より柔軟なVOICEコントロールが実装されたのではないかと推測されます。

高域の倍音部分を制御している関係で、VOICEコントロールを上げていくと聴感上の歪みも深くなっていきます。実際に使用する場合には、EQよりも先にGAINとVOICEでサウンドを決めて、EQで補正していくような使い方が良いんじゃないでしょうか。

比較的省スペース

Eclipse_size

多チャンネルの歪みエフェクターには比較的大型なものが多いのですが、Eclipseは豊富なコントロールを持ちながら、ミニノブを採用するなど、積極的な省スペース化が計られています。奥行きに関しては、接続にL字型コネクタのシールドを使用した場合には、いわゆるBOSSサイズを下回ります。

外部DC電源の接続口も奥側にまとめられているため、両サイドに出っ張るものがなく、見た目の印象以上にコンパクトにまとまります。

参考までに、エフェクター本体のみのサイズは、BOSSサイズ[横幅約73mm、奥行き役129mm、高さ約59mm]に対して、Eclipseは[横幅約124mm、奥行き約98mm、高さ約51mm(スイッチ含む)]となっています。

また、専用電源などはなく、一般的な9VDCのアダプターや9V電池で動作する(動作電圧は4~18VDC)ため、エフェクトボード内で別の電源を用意する必要が無いのも利点です。

ピッキングニュアンスに忠実

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ディストーションペダル、特にハイゲインのペダルは、ピッキングの強弱に依らず一定の歪み方をするエフェクターが多い傾向にありますが、Eclipseはハイゲインに設定した状態でも弱く弾けば浅い歪み、強く弾けば強い歪み、と当たり前のことを当たり前にやってくれます。

トーンに関しても同様で、ブリッジ寄りでハードにピッキングすればトレブリーな歪み方を、ネック寄りでソフトにピッキングすればウォームな歪み方をしてくれます。

アンプライクな使用感とでも言うのでしょうか、当たり前のことなのですが、このあたりがちゃんと叶えられるディストーションは少ないんです。

ギター本体のキャラクターを損なわない

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上記のピッキングの項と同様に、Eclipseは深めに歪ませた状態でもギター本来のキャラクターがしっかりと残ります。

シングルコイルのギターはシングルコイルのブライトなサウンドを保ったまま、ハムバッカーのギターは太いハムバッカーのサウンドを保ったまま歪んでくれます。

これも至極当たり前のことですが、ディストーションペダルの中には、どんなギターを繋いでもそのエフェクターのサウンドに化けてしまうペダルも多く、しっかりとキャラクターが残ってくれることはメリットにもなります。*

言い換えれば、Eclipseの歪みは個性の押し出しが弱く、歪みサウンドにおいても、使用するギターのキャラクターを活かすことが可能ということです。

 

*『メリットです。』ではなく、『メリットにもなります。』としたのは誤植と言う訳ではなく、エフェクター特有の個性的なサウンドを活かす目的で、キャラクターの強い歪みエフェクターを使用する選択肢も有効であるためです。

SUHR / Eclipse
SUHR / Eclipse




3行でまとめると

  • 独立2chの歪みでバイパス合わせて3ch!
  • 各ch独立の3バンドEQで幅広い音作り!
  • VOICEで歪みのキャラクターをコントロール!

最後に

いままで色々な歪みペダルを渡り歩いてきましたが、現在のところはEclipseに落ち着いています。

今までは、1chの歪みエフェクターを深い歪みにセットしておいて、歪み量を本体のボリュームだけでコントロールしていましたが、このセッティングだとクランチを使用する時に音抜けが悪かったり、クランチに合わせるとオーバードライブがトレブリーになりすぎたりと、なかなか難儀しておりました。

私はBLUEチャンネルをギター本体のボリュームを絞ればクリーンまで出せるような浅いオーバードライブ、REDチャンネルをザクザクとしたディストーションサウンドに設定して使用しています。

どちらのサウンドもアンサンブルに埋もれず抜けてくれるので弾いてて気持ちが良いエフェクターです。

 


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