AUDIO I/F

apolloシリーズの心臓部!Consoleアプリケーションの使い方

DTM/DAWで使用するオーディオインターフェースには内蔵ミキサーのコントロールを行う専用アプリケーションがそれぞれ存在し、各社さまざまな機能を盛り込んで便利に使用できるよう工夫がされています。

今回は、私も使用しているUNIVERSAL AUDIO社のapolloシリーズをコントロールするアプリケーション、Consoleの基本的な使用方法についてご紹介していきます。

apolloシリーズオーディオインターフェースのレビュー記事はこちらをご参照ください。




目次

Consoleとは?

Console=コンソールとは、本来ライブPAやレコーディングを行う際の音響ミキサーのことを指します。Consoleソフトウェアも読んで字のごとく、音響ミキサーとしての機能を備えています。

apollo8pではリバーブなどに使用できるAUXが2系統、モニターMIXに使用するCUEが4系統備わっています。MIX時にUADプラグインを使用する場合は通常DAWのインサートスロットを使用しますが、レコーディング時にはConsoleのインサートスロットを使用した方が低レイテンシーでモニタリングを行うことが可能です。

apolloシリーズのオーディオインターフェースに入力された信号は、マイクプリアンプセクションを通過した後に録音用にDAWに入力される信号と、モニタリング用にConsoleに入力される信号に分岐されるため、ドライ音をレコーディングしつつ、エフェクト音をモニタリングすることが可能です。

Consoleのメイン画面

console2

Consoleのメイン画面はこのようになっています。

画面上部から、マイクプリアンプセクション、インサートセクション、センドセクション、アウトプットセクション、フェーダーセクションと並んでいます。

また、画面左上には現在のビューを切り替えるビューセレクトが、画面右にはAUXチャンネルとCUEやモニターの設定を行うボタン、メイン出力のメーターが備わっています。マイクプリのGAIN、HPF、PAD、+48V、PhaseやMONITOR出力レベルはapollo本体でも操作可能で、画面の表示内容と連動しています。

Consoleにはアナログデジタルの各入力チャンネル、DAWから出力アサイン可能で2MIXのCUE送りなどに使用するVIRTUALチャンネルが存在します。

ここからは、各部の表示と使用方法について解説していきます。

INPUTSセクション

input

INPUTセクションは音声信号の入り口で、アナログ入力チャンネルでは、このセクションでUNIVERSAL AUDIOの高品位なマイクプリアンプの設定を行うことが可能です。

また、INPUTセクションには専用のUNISONマイクプリアンププラグインを読み込むことができます。UNISONマイクプリアンププラグインを読み込むことで、ハードウェアのマイクプリ回路をモデリング元の機器に似せることができ、実機にかなり近いサウンドでのレコーディングが可能となります。

画像ではNeveの1073マイクプリアンプ、EQを読み込んでいます。通常緑色で表示されるGAIN値がオレンジ色に切り替わりUNISONマイクプリが動作していることを表しています。

1073

画面上のプラグインをクリックすると、プラグインの設定画面が立ち上がります。この画面でGAINやHPF、PADなどを操作すると、Consoleソフトウェアや、apolloハードウェアでもその設定が反映されます。

INPUTセクションのUNISONプリアンププラグインはDAWへの信号分岐前に使用されるため、このセクションでEQやコンプレッションを行うとエフェクト後の信号がレコーディングされます。過度なEQやコンプレッションを行うと取り返しが付かないので、軽めのHPFのみにしておくなど注意が必要です。

INSERTSセクション

insert

INPUTSセクションを通過した音声信号は次にINSERTSセクションにたどり着きます。このセクションではDAWのインサートスロットと同様に各種UADプラグインをロードして使用することが可能です。インサート可能なプラグインは最大4つで上から順に信号処理されていきます。これをインサートチェーンと呼びます。

INSERTSセクションの2色のランプはインサートのルーティーンの状況を表しています。青いランプはUAD MON、モニター音にUADプラグインが使用されていて、DAWにはINSERTSセクションのプラグインは影響を及ぼさない状態です。赤いランプはUAD REC、インサートチェーン通過後の信号をDAWに送る、いわゆるかけ取りを行うことができるモードですが、よほど狙いのサウンドが明確ではない限り、かけ取りは行わないのが無難です。

UAD MONでレコーディングをして、後からリアンプを行う方法は、UADプラグインにアンプシミュレーターも充実してきたので、ギタリスト、ベーシストに非常にオススメできます。

以下の記事でUAD-2プラグインを15種紹介しています、参考にしてみてください。

SENDSセクション

sends

SENDSセクションではリバーブなど空間系エフェクトにセンドを行うAUXと、レコーディング時のモニターに使用するCUEが備わっています。

sends

OVERVIEW画面では小さいフェーダーで表示されているセンド値ですが、SENDS VIEWではツマミが表示されていて、より詳細にセンド値の設定を行うことが可能です。

また、マスターメーターの下部、CUE OUTPUTSをクリックするとCUEの出力設定画面を呼び出すことができます。

cueout

この画面では各CUEをapolloインターフェースのどの端子から出力するかを設定することができます。背面のライン出力からだけではなく、前面パネルの2つのヘッドホン出力へも出力アサインが可能なので、CUEを聴くために別途ヘッドホンアンプや小型ミキサーを用意する必要もありません。

FADERSセクション

fader

どのVIEWを選択していても画面下部にはフェーダーが表示されています。

規定(0dB)はフェーダー突き上げの位置でそこからの減算式のフェーダーで、例えばレコーディング時にモニタースピーカーから聞こえるボーカルの音が大きすぎる場合にこのフェーダーを絞ることでモニターのバランスを取ることができます。

デジタルレコーディングではレコーディングする信号のGAINをクリッピングが起こらない範囲で高めに設定したほうがS/Nや音質の面で有利になることが多く、このフェーダーを絞り気味でモニタリングを行うことが少なくありません。

SESSIONの保存

INPUTやINSERT、SENDなど全てを含めたConsoleの設定状況をSessionと呼びます。このセッションは保存、呼び出しをすることが可能です。

session

Console画面の一番右下、SESSIONSをクリックすると上記のウィンドウが立ち上がります。このウィンドウでSessionの各種設定状況を保存したり、呼び出すことが可能です。

また、DAWのマスターインサートなどにConsole Recallプラグインをインサートしておくことで、DAWを起動した際にSessionを呼び出すことも可能です。



apolloの動作を設定する、Console Settingsについて

console_settings

画面最左下部のSETTINGSをクリックすると上記ウィンドウが立ち上がります。このウィンドウではapolloインターフェースの各種設定を行うことができます。

HARDWAREタグではapolloインターフェースの動作について、CORE AUDIOタグではCORE AUDIOドライバの割り当てについて、DISPLAYタグは画面表示に関して、MIDIタグは外部MIDI機器との連携について、それぞれ設定が行えます。PLUG-INSタグでは現在使用可能なプラグインを一覧表示させることができます。

以下HARDWAREタグでの設定項目についてご紹介していきます。

SAMPLE RATE

現在のサンプリングレートを表示しています。DAWでの設定が自動で反映されるので、基本的には触る必要はありません。44.1kHzから192kHzまでの範囲で設定可能です。

CLOCK SOURCE

現在のワードクロックソースを表示しています。外部機器からクロックを受け取る際に設定が必要です。INTERNALがapollo内部のクロックで動作している状態です。INTERNAL、WORD CLOCK、ADAT(S/PDIF)から選択可能です。

MONITOR OPERATING LEVEL

モニター出力の基準レベルを+14dBuと+20dBuから選択可能です。大音量が出せる環境でない限りは+14dBuに設定しておいた方が、細かいレベル調整が可能です。

INPUT DELAY COMPENSATION

入力信号の遅延をどの程度補正するかを設定する項目です。通常使用する際には標準のMEDIUMで問題ありません。

CUE BUS COUNT

CUEの出力数を設定する項目です。CUEの出力系統数が必要ない場合、この設定値を減らすことでDSPの負荷を減らし、より多くのUADプラグインを同時に使用することが可能になります。

ALT COUNT

apollo8pでは最大3系統のモニタースピーカーを切り替えて鳴らすことが可能です。ここではメインのモニター出力以外に出力するモニター出力の系統数を設定することができます。

FCN SWITCH ASSIGN

apolloインターフェース本体のFCN(ファンクション)スイッチの動作を設定する項目です。

モニターの切り替えを行うALT、モニター出力を一時的に減衰させるDIM、モニター出力をモノラル化するMONOが選択可能です。私はモノラル環境でも崩れないMIXを随時確認するためにMONOに設定して使用しています。

DEVICES

PCと接続されているUADデバイスが一覧表示されます。2台以上接続されている場合はそれぞれのデバイスごとに設定が可能です。

DEVICE NAME

選択されているデバイスの名前です。初期状態ではハードウェアの名前がそのまま使用されますが、任意に変更可能です。

また、DEVICE NAME右側のIDENTIFYボタンをクリックすると、該当するハードウェアのフロントパネルが点滅し、デバイスを判別することが可能です。

DIGITAL INPUT / OUTPUT

デジタル入出力のフォーマットを選択する項目です。apollo背面のオプティカル端子から入出力するフォーマットをADAT、S/PDIFから選択できます。

MONITOR OUTPUT GAIN

MONITOR出力の音量調節をON/BYPASSから選択可能です。通常ONで使用しますが、MONITOR出力を外部のモニターセレクターなどに接続し、そちらでレベルコントロールを行う場合はBYPASSに設定します。モニタースピーカーに直接接続しているときにBYPASSに設定すると、GAINが最大の状態で出力されるので注意が必要です。

OUTPUT REFERENCE LEVELS

アナログ出力の出力レベルの切り替えを行う項目です。-10dBVと+4dBuから選択可能です。レコーダーや+4dBuのメーターにでも接続するのでなければ-10dBV設定が無難です。

LINE INPUT GAIN

アナログライン入力端子に入力された信号がプリアンプ回路を通るかどうかを選択する項目です。GAIN回路を通るとレベルを変更しなくても音質に変化が生まれます。この項目をBYPASSに設定すると信号はプリアンプ回路を通らず、素の状態でA/D変換されます。

 

その他のタグについてご紹介していくと非常に長くなってしまうので、今回はここまでとさせていただきます。



3行でまとめると

  • Consoleで快適なモニタリングを!
  • Consoleでプラグインのかけ取りも!
  • apolloのハードウェア設定もConsoleで!

最後に

最近になって再び注目されているUNIVERSAL AUDIOのapolloシリーズ、DSPによるUADプラグインに注目が集中しがちですが、インターフェース本体やコントロール用のアプリケーションも非常に優秀な作りになっています。私は小規模会場のPA現場に持って行って使用したりするのですが、別途ミキサーを用意しなくてもConsoleだけで問題なく仕事ができることも多いです。

使い慣れていることが最大の武器になるので、どんどん使って機能を把握していきたいですね。

 


Facebookページ作ってみました。
いいね!とかしていただけると歓喜します。



COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です