Waves、McDSP、Sonnox、Softube、Duende、Slate Digitalなどなど、DAWを使用していると少しでも良いサウンドを目指すために、様々な種類のプラグインが欲しくなるものです。
DTMを初めたころはDAW標準のプラグインで満足できていても、ちょっと慣れてくるとサウンドに幅を持たせたくなってきます。
あれもこれもと単体で買い揃えて行くよりも、各社バンドル製品を購入した方がお得な場合が多いのですが、使ったことのないプラグインが20個とか30個あってもどれを使えばよいか悩んでしまいますね。
今回はすでに使用されている方も多い、WavesのGoldにバンドルされている中から10種のプラグインをご紹介させていただきます。Goldをお持ちでない方もプラグイン選びの参考にしていただければと思います。
Wavesのその他標準バンドルについては下記記事もご参照ください。
※2020/4/15にUIが変更されたプラグインについて追記しました。
目次
EQ
GoldにバンドルされているEQの中からそれぞれ用途の違う3種類をピックアップしました。私もMIXでバリバリ使用しています。
中でもRenaissance EQはかなりの頻度で使用しており、気づけばほとんど全てのトラックにインサートされていたりもします。
EQの使用方法などについては下記記事をご参照ください。
Renaissance EQ
Wavesの代名詞とも言えるRenaissance EQです。Renaissanceとはフランス語で「再生」とか「復活」とかいう意味で、14世紀頃からヨーロッパで起こった文芸復興のことも意味します。ルネサンスとかルネッサンスって読みます。
Renaissance EQは使用されている方も多く業界でも標準となっているEQで、癖のないフィルターカーブを生かしたカットEQに向いています。UIが長年変更されておらず、高解像度のディスプレイでは少々表示が小さいですが、EQのカーブがディスプレイ可能なので不便さを感じたことはありません。
と言っていたらUIがアップデートされていました(2020/4現在)。しかもRTA付きです。個人的には以前のカラーリングの方が好みでしたが、アナライザーで信号を視覚的にも追えるメリットには変えられません。これからはRenaissanceシリーズは乳白色のイメージを持って使っていきます。
カット用のEQについてはこちらも記事もどうぞ
プラグインリストにはREQ2、REQ4、REQ6と3種類のプラグインとして表示され、カットポイントの数によって使い分けています。
各バンドは全周波数を網羅しているので、例えば低い方から3番目の緑のバンドで600Hzをカットして、その上の青のバンドで300Hzをブーストする、なんてことも可能です。地味ですが役に立つ機能です。
また、一番上のHighと一番下のLowバンドではEQモードをHPF/LPFだけでなく、シェルビングEQ、ピーキングEQに切り替えて使用できます。6番のバンドでのシェルビングEQカーブは画像のようにレゾナンスシェルフに切り替え可能で、ブースト時に痛くならないようになっています。
Q10
周波数バンドごとにQ1、Q2、Q3、Q4、Q6、Q8、Q10の7つのプラグインがセットになっています。インストールするとEQプラグイン一覧の[Q]の辺りがこれらに埋め尽くされてびっくりします。
Q10は他ではなかなか見ない10バンドEQです。その最大の特徴は極細に設定可能なQで、目的の帯域のみをピンポイントでブースト、カットすることができます。個人的には10バンドバージョンはほとんど使わず、Q1とかQ2でピンポイントのカットを行うために使用しています。
Qを狭く設定することで、比較的近い帯域で2ヶ所以上を同時にブースト、カットしてもお互いに干渉が起こりづらく、正確なEQが可能です。
こちらも25周年仕様としてUIが更新されています(2020/4現在)。フィルタータイプが一覧で見れるのは便利かな、と思いました。以前のUIに変更することもできます。
V-EQ3/4
上の画像のV-EQ3はNEVE 1073のモデリング3バンドEQ、下の画像のV-EQ4はNEVE 1081のモデリング4バンドEQです。
いわゆるアナログモデリングもののEQで実機同様の倍音を多く含んだサウンドが特徴的です。サウンドがオリジナルNeveに似ているかどうかはこの際置いておいて、個性的なサウンドで特定トラックをMIX内で際立たせたい時のブースト用のEQとしてかなり使えます。
通常のデジタルEQを使っている方には操作可能なEQポイントが少なかったり、Qの設定が出来なかったり、あまりにざっくりだったりなどと見た目上の不安を与えますが、インサートしてHighをシェルビングで3dB程度ブーストしただけでその不安は払拭されます。
個人的にはV-EQ3のANALOGスイッチOFFで12kHzを持ち上げたサウンドが好みです。
ブーストEQについてはこちらの記事もご覧ください。
COMP/LIMITER
GoldにはEQ同様、有用なコンプレッサープラグインが複数あります。Goldだけでも、綺麗なコンプからマルチバンドコンプ、アナログモデリングにリミッターと必要なダイナミクスエフェクトは一通り揃います。
各種ダイナミクスエフェクトの効果については下記記事をご参照ください。
Renaissance Compressor
Renaissance Compressorは業界標準Renaissanceシリーズのコンプレッサーです。EQ同様こちらも使用されている方が多いです。
Threshold、Ratio、Gainの主要コントロールが大きめのスライダーで表示されていて視認性も高く、サウンド面でも素直なレベリングから少々の味付けまで幅広くこなせます。真ん中のリダクションメーターが非常に見やすく、どのくらいのコンプレッションをしているかすぐにわかります。
上部のスイッチ群は、左からアタックリリースのAuto/Manual切り替えスイッチ、動作モードをOptoとElectroから選択するスイッチ、キャラクターをWarmとSmoothから選択スイッチとなっています。
動作が軽いので、レベリング目的のコンプ処理はこのRenaissance Compressorに任せることも多いです。
こちらもUI更新です(2020/4現在)。配置が変わったのと全体的にUIが大型化したのと、あと乳白色になりました。
C4
慣れない方や初心者の方には耳馴染みがなかったり、使いどころがわかりづらいエフェクターなのですが、C4はマルチバンドコンプレッサーというプラグインです。
マルチバンドコンプとは、周波数帯域ごとに設定の違うコンプレッサーを組み合わせたエフェクトで、C4は4つのコンプレッサーが組み合わさっています。周波数ごとに設定の違うコンプレッサーを使用することで、低域をコンプレッションせずに残したまま、中音域を抑えることが可能になります。
私はC4をドラムのサブミックスなどにインサートしてバスコンプと合わせてまとまり感を出したり、広い帯域で鳴っているシンセトラックにインサートして各帯域のバランスを整えたりする目的で使用しています。他メーカー製のマルチバンドコンプを使ったりもするのですが、動作の軽さからC4に戻ってきてしまうことが多いです。
また、積極的にコンプレッションをさせずに、Gainを使用して各帯域ごとの音量を調整するような使用方法も可能で、どちらかと言うとこの目的で使用することの方が多いかも知れません。
V-Comp
V-CompはNEVE 2254というコンプレッサーのモデリングプラグインです。
ドラムスやベーストラックなどに最適で、アナログ感のある図太いサウンドが特徴です。かなりハードにコンプレッションしてもサウンドの芯が潰れてしまわず、アナログ的な歪み方をしていくため、少々Inputを突っ込んだセッティングの方が良い結果を得られる場合が多いです。
バスコンプとして使用されている方も多いようですが、個人的にはバスコンプとして使用するには癖が強すぎる感じがあります。
メーターが若干過敏な印象があるので、あまりアテにせず、ANALOGスイッチをOFF、LIMITER、DeESSERもOFFでコンプレッサーセクションのみを使用しています。
L1+ Ultramaximizer
L1はLシリーズリミッターの1号機で正確なリミッティングを行うリミッターです。ルックアヘッドと言われるピークの先読み機能を搭載していて、レンジの広いトラックやMIXでも突発的な大入力を潰し損なうことはありません。
また、IDRディザーを内蔵しているため、L1一台で簡易的なマスタリングリミッター+ディザーとして使用可能です。
変な味付けがないため、マスタートラックにインサートする以外にもOut Cellingを設定してサブミックスや打楽器系のトラックにインサートして、トラックのダイナミックレンジを狭めるために使用することもあります。
25周年仕様でUIが変更になりました(2020/4現在)。Q10のように以前のUIとも変更可能です。
Other
今回ラインナップした中では少し異色のプラグインですが、使用頻度が非常に高いので加えさせていただきます。
PAZ
サウンドに直接影響を与えるプラグインではないのですが、PAZは便利なアナライザー、オーディオ解析プラグインです。
マスタートラックの最終段にインサートし、今鳴っているトラック、MIXをリアルタイムで視覚的にも判断するために使用します。
普段から使用してMIXを視覚的にも捉えておくことで、低域の再生に不利な小型のモニタースピーカーやヘッドホンなどでモニターしているときや初めてのスタジオでのMIX作業時に特に役に立ちます。
自分の好きなCDなどをDAWに読み込み、PAZを通すことで大まかな周波数分布やパンニング、位相分布などを視覚的に判断可能な点もポイントです。
まだWavesプラグインを使用したことのない方は、各種プラグインが一度に揃うGOLDが大変おすすめです。
セッションファイルの共有を行う際などに、先方のWavesバンドルを確認してやり取りできてしまうほどにシェアが大きく、使用したことのないエンジニアはいない程にメジャーなプラグインメーカーです。
また、Wavesのプラグインは他メーカーと比べて動作が軽量なことも特徴の一つに挙げられます。こちらも初心者の方にオススメできる理由となっています。
3行でまとめると
- Renaissanceシリーズが全体的にオススメ!
- Vシリーズでアナログの温かみを!
- PAZでMIXを視覚的にも捉えよう!
最後に
今回はWavesの人気バンドルGoldのおすすめプラグインについてご紹介いたしました。
実際、Goldには空間系やモジュレーション系エフェクトもバンドルされているのですが、個人的にはあまりしっくり来ないことが多いので、EQ、COMPに絞ってご紹介してみました。
振り返ってみて思うのは、Renaissanceシリーズの便利さですね。脱Wavesを掲げてMIXをしていた時にもカットEQやレベリングコンプがどれもしっくり来なかった思い出があります。
また、使ったことのないプラグインに慣れるには、ひたすら使うしか方法がないのですが、いきなり実戦で使用するのは難しいし、作業効率もダウンしがちです。
そんなときは、自分が最近MIXしたセッションをコピーして該当プラグインを全部抜いた状態から、新プラグインのみを使ってMIXをし、出来上がりを元の2MIXと比べるという方法をとるのがおすすめです。
単一トラックだと細かい部分の変化でしか無くても、それらが積み重なって、全体になると大きな変化になるためにプラグインの特徴を掴みやすいのです。
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