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意外と音が変わる!シールドの構造、選び方とおすすめシールド5選


エレキギターやエレキベースに使用する楽器用のケーブル、通称シールドは各メーカーから様々なラインナップが取り揃えられていて、価格や材質、サウンドもさまざまです。

今回は楽器本体の調整やアンプのセッティングにこだわりがあっても、以外と気にされていなかったりするシールドについて解説していきます。

楽器用のケーブルもマイクケーブルも基本的には全てシールドされたケーブルですが、通例に習い当記事では楽器用の、両端がフォーン端子のケーブルをシールドと呼んでいます。





シールドの構造について

シールドとは、英語で『盾』を意味しています。この盾で楽器やマイクの音を外来ノイズから守ってくれているのです。シールドケーブルで使われているのは、導体により信号線と外界(ケーブルの外側)を分断する『電磁シールド』という方法です。

 

gs6

ケーブルの断面図の網の部分とその内側の黒い部分がシールドになっています。この部分をコネクタのグランド端子と結線することで、中心にある信号線を囲んで伝送中の外来ノイズから守ってくれています。

また、シールドが楽器と接続機器間の電位差をなくすことでノイズの軽減にもなります。

 

 

楽器用ケーブルではアンバランス伝送が主なため、芯線の本数は1本で問題ありません。マイク用のケーブルを楽器用に使用する場合は2〜4芯のケーブルを使用する場合もありますが、2芯ケーブルの場合は片方を、4芯ケーブルの場合は半分の2本をシールドと接続して使用する場合が多いです。

 

シールドでの音質変化

基本的な構造はどのシールドケーブルも大差はないのですが、そこには音質の差が確かに存在します。シールド部分や芯線の導体の質、本数や太さ、コネクタの素材、ケーブル作成の作業精度、使用する半田の導通率、接触面積、などなど様々な要因で音質は変化します。

各メーカーは、この音質変化が音楽的に有利な変化になるように導体の素材や組み合わせを工夫しているのです。

 

音が良くなるケーブル

ケーブルを変えることで、確かに音質は変化します。

しかし、ケーブルという伝送経路ではどんなに工夫を凝らしたところで、元の信号よりも電気的に音が良くなることはあり得ません。ケーブルで起こる変化は全て劣化方向の変化です。

つまり、『高音域が良く出るケーブル』というのは、高音域に比べて低音域がより多く減衰(劣化)しているケーブルということなのです。

この音質変化は、ケーブル内の信号が電気的に小さい信号であればあるほど、ケーブルの長さが長ければ長いほど、顕著に現れます。当然インピーダンスの影響も受けるので、楽器に近いケーブルを変えた方が音質への影響は大きくなります。

 

シールドの選び方

さて、ここからは実際にシールドを選ぶ際のポイントについて解説していきます。音質面だけにこだわると見落としがちな部分も多いので注意しましょう。

 

シールドの長さ

シールドは短く使った方が電気信号的な劣化を抑えられるのですが、ライブで使用することを想定するとある程度の長さが必要です。

例えば、楽器をストラップにかけたときに地面とジャックの距離が1m、アンプのインプットコネクタの高さが地面から1mだったとすると、3mのシールドではアンプから1mしか離れることができません。これでは繋がれた犬になってしまいます。

逆に自宅でオーディオインターフェースに楽器を接続することを想定すると、5mのケーブルではやや長すぎて取り回しに苦戦するような気がします。

エフェクター同士の接続に使用するパッチケーブルがあまりに長いと、エフェクターボードの中身を圧迫してしまいます。

私はケーブルを新調するときは切り売り15mの状態で購入し、3m、5m、7mの3本のシールドを作成します。3mは自宅のオーディオインターフェース用、5mは足元のエフェクターからギターアンプのインプット用、7mはギター本体から足元のエフェクター用としています。

ライブでワイヤレスを使用する際もパッチケーブルなどの短いケーブルは使用せず、レシーバーから足元のエフェクターまでは7mのシールドで接続しています。こうすることで、本番中にワイヤレスがトラブったときにすぐに有線に切り替えることができるからです。

また、表面の素材にもよりますが、シールドは土足で歩く場所を引きずり回すために相当な勢いで汚れていきます。自宅の床にそれを使用するのは衛生的にも精神的にもあまりよろしくありません。シールドの使用場所を限定することで、外で使用したケーブルを家の中で使用する必要がなくなります。

また、ケーブルのシース(表面)には塩化ビニルや耐熱性ポリエチレンといった素材が多く使用されています。これらの素材はケーブルを使用しているうちに削れていき、しばらくするとシールド部分が見えてしまうほど磨耗していまう場合があります。私は予防策としてケーブルに工業用のメッシュチューブをかけて使用しています。こうすることで磨耗に強くなり、長く使用することができます。

 

シースの硬さ

シース(表面)の硬さも非常に重要な要素です。シースが硬ければシース自体の断線や、中の芯線やシールド素材のメッシュが断線するリスクは低減しますが、なに分取り回しが悪くなるため、あまりにシースが硬いシールドというのも考えものです。

特にパッチケーブルに使用するシールドには強度はそんなに必要ないので、シースが柔らかめのシールドを使用するのがよいです。硬くて取り回しの悪いシールドを使用すると、最悪の場合、シールドが直線に戻ろうとする復元力にエフェクターとエフェクトボード、マジックテープの摩擦抵抗、粘着力が負けて使用中にエフェクターが動いたりします。

また、パッチケーブルは曲げたままで使用することが多いです。硬いシースのケーブルを使用していると、ケーブル自体やコネクタ部分に常に復元力がかかっている状態になるため、機器の故障の原因にもなります。

 

コネクタの形状

使用している楽器の出力ジャックの形状や、接続するエフェクターの入出力ジャックの位置、エフェクトボード内での配置案によって最適なコネクタ形状は変わってきます。

例えば、L型コネクタをストラトキャスターなどの船形ジャックのギターに接続すると、ギター表面に大きく出っ張り、そこに手も当たってしまうことでしょう。ジャックの内側が心配です。なにより、その状態ではトレモロアームは確実に使用できません。見た目にも美しくないですしね。

入出力コネクタともに横側にあるエフェクター間を両端が通常サイズのI型(ストレート)コネクタのパッチケーブルで接続すると、エフェクター同士の距離が離れてしまい、エフェクトボードのスペースが無駄になります。この場合は、L型コネクタや短いI型コネクタのシールドを使用するのがよいです。

このように、使う場所、接続機器のジャック位置によって最適なコネクタ形状は様々です。

 


ここからは余談ですが、メーカーごとにコネクタのサイズ、主に太さが微妙に違います。また、コネクタのジャックに挿さらない外側の部分のサイズも様々です。

このことにより、コネクタの相性によりジャックにシールドがなかなか挿さらないことや、挿したケーブルがくるくる回る、なんてことが起こり得ます。また、2つの近接したジャックにそれぞれシールドを挿そうとした際に、コネクタ同士が物理的に干渉して挿さらないなんてこともあります。

挿さらなかったり、緩かったりする場合は、ジャック側をラジオペンチなどを使って、ほんの少し加工してやれば問題なく使用できる場合が多いのですが、2つのコネクタが物理的に干渉している場合は、別のコネクタを使用するしかありません。どちらかというと、ギタリスト、べーシストよりもキーボーディストが悩まされる問題ですね。

楽器やエフェクターの入出力ジャックにはSWITCH CRAFT社製が多く使用されています。そのため、私はケーブルを作成する際はSWITCH CRAFT社製280を使用することにしています。同一メーカーであれば誤差も最小限であろうという予測と、いままでSWITCH CRAFT社製のコネクタを使用してトラブったことがない経験則からです。


 

シールドの価格

シールド選定を行う際に絶対に外せない項目がシールドの価格です。長さにもよりますが、シールドの価格は安いものでは数百円から、高いものだと数万円まで様々です。高価なシールドが必ず良い音を出してくれるか、と言われると答えに困ってしまうのですが、百円台の安価なシールドは必ず値段なりの音質だと言い切れます。

基本的には同一メーカーのシールドであれば高いほうが高品質な導体を使用しています。また、ある程度の価格を超えてくると無酸化銅が高純度になってきたり、クライオ処理といわれる、超低温で導体の物性を整え信号が綺麗に流れるようになる処理が行われていたりしてきます。

 

高いには高いなりの理由はあるのですが、残念なことにシールドは消耗品です。シースが痩せてくる、といったこと以外にも半田やシールド内部の導体は酸化して(錆びて)いきます。半田は定期的にリフレッシュすることができますが、導体自体の酸化が進むとかなり音質も変わってきます。怖いのは徐々に変わっていくので、変化に気づかないところです。

私は以前、ライブ当日にシールドを忘れて、仕方なく近くの楽器店で同じメーカーの同じシールドを購入した経験があります。その日のライブで自分の音を聴いて、新しいシールドは音が抜けるなぁ、とか思っていたのですが、考え方が逆でした。古いケーブルは音抜けが悪かったのです。徐々に音抜けが悪くなっていっているのに気がついていなかったんですね、お恥ずかしい。(現在も気づいていない可能性もありますが…。)

話がだいぶそれてしまいましたがシールドの価格に関しては、消耗品にどこまでの予算が組めるか、といったところがかなり大きいです。紛失する可能性も楽器本体やエフェクターに比べると高いと思いますし…。




おすすめのシールド5選

ここからは、私ZALが使用してきたケーブルからおすすめのものを5つに絞ってご紹介いたします。印象に関しては個人的な部分が大きいことをご了承ください。

シールドの試奏が出来る場所はあまりないと思うので、試行錯誤していくしか無いと思いますが、なにかの参考になれば幸いです。

 

CANARE / LC07

CANARE製のストレートプラグ7mのものです。楽器店などではLC00などの型番で販売されていますが、使用されている線材はGS-6という型番です。

このGS-6はマイクケーブルで言う所のL-4E6Sやボーカルマイクで言う所のSM58などと同様、業界の標準になっています。他のケーブルが低域に特徴がある、などと言えるのはこの基準点があるからです。シースも硬すぎず、適度なしなやかさを持っています。

特性としてはフラットな、味付けのない良質なケーブルで入門用にも非常におすすめできます。価格帯的にもリーズナブルな上に、カラーバリエーションが豊富なので色々選べるのもよいですね。

 

CUSTOM AUDIO JAPAN / II-7M

CUSTOM AUDIO JAPANのストレートプラグ7mのものです。メーカーの商品説明にもあるとおり、原音忠実、味付けのない素直なケーブルです。GS-6と比べると少し高音域が出ているように感じます。フラットな中でもややハイファイなケーブルということができると思います。

クリーントーン、歪みサウンドのどちらでも濁りのないギター本来の音を伝えてくれます。全帯域に渡ってクセがないので、ベースやキーボードに使用するのもおすすめです。

また、シースも柔らかめで取り回しがよく、パッチケーブルとして使用しても問題ありません。コネクタにSWITCH CRAFT製が使用されているのもポイント高いのですが、コネクタ内部を熱収縮チューブで綺麗にまとめてあり、作業の丁寧さを感じられるのが好印象です。

 

BELDEN / 8412 THE Wired 6SS

アメリカの放送局御用達のメーカーBELDENの8412にストレートプラグを取り付けたモデル6mです、8412は元々はマイク用のケーブルですが楽器用シールドとしても広く使用されています。こちらもカラーバリエーションが豊富です、なんだかアメリカンでビビッドな感じの色が多いです。

アメリカ産の特徴なのか、中低域が太く、重心の低いロックサウンドに向いているシールドです。シングルコイルのカッティングサウンドよりもハムバッカーのブリッジミュートサウンドを得意としています。

ベースに使用する方もいますが、どちらかというとギターの美味しい帯域を強調するケーブルなので、ベースの強調したい帯域とは合ってないのかな、と感じています。

8412最大の弱点はシースの太さ、硬さです、シースが硬くクセも付きやすいので、取り回しには苦労します。パッチケーブルに使用するのもやめておいた方が無難です。また、自作でケーブルを作る際にもCANAREのF15など細身のコネクタにはケーブルが収まりません。

 

OYAIDE / QAC-222G SS/7.0

ケーブルと言えばオヤイデ!オヤイデ製のストレートコネクタ7mのシールドです。また、現在のイチオシシールドでもあり、ライブにレコーディングに多様しております。

フラットな特性と、各帯域で密度の高いサウンドがウリのシールドです。どこかの帯域に作為的なクセがあるわけではないのですが、中低域のコシ、太さと高音域の程よい抜けといったところが共存しています。コネクタもオリジナルの真鍮削り出しだそうです、こだわりがすごいですね。

こちらも硬いシースが最大の弱点です。シールドを巻いて溜めておくと、一番上の輪っかが立ち上がって来るレベルの硬さです。幸い変な巻きグセは付きづらいので、綺麗に巻いて使用するようにしましょう。

また、普段使いのシールドにしては少しお値段が張るのも悩みどころです。

 

MONSTER / M ROCK2-21

高級シールドのハシリ的な存在のMONSTER製ストレートコネクタ6.4mシールドです。品番はインチ表記なので注意してください。音が太いケーブル代表選手です。以前使用した旧モデルはコネクタのプラグ部分が若干大きく、ジャックに挿すのに苦労しましたが現在はどうなんでしょう。

サウンドは比較的フラットではあるものの中低域に特有の山があり、太さを演出しています。

個人的な好みの範囲なのですが、低域に比べて高域が抜けて来ない印象があります。ハードロック用途に使用する分にはおすすめ出来るシールドです。



☆まとめ☆

  • 音が良くなるケーブルは存在しない!
  • ケーブルは消耗品!
  • 綺麗に巻いて使用しましょう!

最後に

いかがだったでしょう、今回はギターシールドについてご紹介してきました。

積極的なサウンドの変化を狙って、ギターやアンプごとにシールドを変えてみたり、わざと長めのシールドを使用して個性を強調してみたり、いろいろ試しながら楽しんでみるのも面白いのではないでしょうか。

また、既製品のケーブルだけでなく自分でケーブルを作ることで、既製品より安価に、好みの長さのケーブルを入手することが可能です。下記リンクを参考にDIYをしてみるのもオススメです。

 

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ZAL

 

 

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ZALのプロフィール

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お仕事:フリーランス音響エンジニア、
    作編曲家、ギタリスト、たまにDJ
    基本的に音楽関係なんでも屋さん


 趣味:最近もゲーム


いままで個人ブログの経験はなかったのですが、
プロの音響エンジニアならではの視点で、
解説やレビューをしていきます。


エレキギター内部の配線やパーツにも明るく、
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