ギタリストがライブに向かうときの荷物は意外と多くなるものですよね、ギター本体にエフェクターケース、ケースに入りきらない分のシールド類、予備の9V電池、などなど重量のあるものを多く持ち運ばなくてはならず、ライブ前に疲れてしまうこともあるのではないでしょうか。
私も以前はラックタイプのプリアンプとチューナー、足元用のコンパクトエフェクター数点、ワウペダルやボリュームペダルなどギターケース、エフェクターケースがパンパンになるくらいのものを運んでいました。
数年前に評判を聞いて、思い切ってKemper Profiling AmplifierのPOWER RACKを導入してからは、持っていく機材の点数も減り、エフェクターを複数使用して似せていた真空管アンプのドライブサウンドを手軽に出せるようになりました。
今回は、私がKemper Profiling Amplifier POWER RACKを導入して感じた5つのメリットをご紹介します。
目次
1.RIG MANAGERで手軽にRIGを試すことが可能
ギターアンプを試奏する際には、楽器店やリハーサルスタジオのレンタル品を使用するのが一般的です。
ただし、楽器店では音量や時間が制限されますし、自分の楽器を持って行きづらいのがデメリットになってきます。また、リハーサルスタジオでレンタル品を使用する場合にも、やはり時間の問題は解決しませんし、そもそもお目当のアンプのレンタルを行っているスタジオを探さなくてはなりません。
Kemper Profiling Amplifierには無償のRIG MANAGERを使用することで、世界中に無数にあるRIGを無料でダウンロードし、自宅にいながら試奏することが可能です。また、キャビネットから大音量を出しながら試奏したい場合にも、試奏用のRIGをいくつか詰め込んだProfiling Amplifier本体をリハーサルスタジオに持って行けばよいのです。
RIG MANAGERについては下記記事もご参照ください。
また、高品位な有償RIGを別途購入する場合にも、アンプ本体を購入するよりも遥かにお手軽な価格で購入することができます。
さらには、リハーサルスタジオにお気に入りのギターアンプがある場合はProfiling Amplifierを使用して、そのアンプをプロファイリングすることで他の場所でもほとんど同じサウンドを出すことができます。プロファイリング禁止って書いてあるスタジオはないと思います。
2.アンプコンディションの影響を最小限に抑えられる
スタジオでギターサウンドを作り込んで、「これで完璧っ!」と思っていたのに、本番当日にライブ会場のギターアンプを鳴らしたときに「あれっ?」となること、ありますよね。
ギターアンプ、特に真空管アンプにはそれ自体の個体差や、使用状況、メンテナンス状況などによるサウンドの差があります。リハーサルスタジオとライブ会場のギターアンプの個体差によって、納得いかないサウンドでライブを行った経験が私にもあります。
Kemper Profiling Amplifierのパワーアンプ搭載モデルを使用することで、現地で使用するのはキャビネットのみとなり、アンプコンディションの影響を最小限に抑えることが可能です。また、電源ケーブルとスピーカーケーブルも自前で用意することで、ケーブルから受けるサウンドへの影響も抑えられます。
ライブでの使用を考えているならパワーアンプ搭載モデルがおすすめです。また、ラックマウントする予定がないなら、よりコンパクトに持ち運べるPOWER HEADがよいのではないでしょうか。
KEMPERでの音作り
自宅でヘッドホンを使用して音作りを行う際には、CABINETをMarshall 1960をプロファイリングしたものに変更しておくのがおすすめです。
リハーサルスタジオやライブ会場に常設のキャビネットはほとんどの場合、Marshallの1960Aです。そのため、1960をプロファイリングしたRIGでサウンドを作っておくと、会場で実機の1960に接続した際に音質の差が少なく、最小限の微調整のみで音作りを終わらせることができます。この状態が標準状態だと考えておくのがよいでしょう。
現地での微調整には、Monitor Output EQを使用します。[OUTPUT]ボタンを押してOUTPUTメニューを表示させ、[Page 3/7]で調整可能です。低音が回りやすい会場などでは[Bass]を少し抑えるなど、会場に合わせた調整を一括で行うことが出来ます。
肝心のMarshall 1960のキャビネットデータはRIG MANAGERからMarshallのスタック系RIGをダウンロードすれば、多くの場合は付属(?)してきます。RIG MANAGERでCABINETの欄を確認してからダウンロードするのがよいでしょう。
お気に入りのRIGをBROWSERで表示した状態で[STACK]セクションの[CABINET]ボタンを長押し、[BROWSE]ノブを回してキャビネット選択画面を表示させます。[From Rigs]タグからダウンロードしたMarshall系スタックのRIGを選択することでMarshall 1960のサウンドを選択することができます。
一度選択したら[STORE]ボタンを押し、[Cabinet]タグから、別名で保存しておくと、他のRIGを編集する際に便利です。
3.アナログのアンプヘッドに比べて小型軽量
MarshallやENGL、Mesa/Boogieなど一般的なアンプヘッドは非常に重いです。また、ギターアンプの上に置かれているのを見るとサイズ感を見失いますが、自宅や街中で見ると大変大きいです。
これらをライブの度にギター本体、エフェクターと合わせて持ち運ぶとなると、徒歩+電車での移動は難しいのではないでしょうか?
Kemper Profiling Amplifier POWER RACKを軽いとは言いませんが、一般的なアンプヘッドと比べて小型軽量で、スーツケースやキャリーカートを使用して持ち運ぶことが十分に可能です。POWER HEADであればさらに小型で、持ち運びの手間もかかりません。
また、音質的にもフルチューブアンプはある程度の音量を出さないとパワー管がドライブせず、細い印象のサウンドになってしまいがちですが、PROFILING AMPLIFIERではしっかりドライブさせた状態をプロファイリングすることで、大音量時の太さを音量を絞ってもある程度キープすることが可能です。
実際の寸法・重量
参考までに、代表的な多チャンネルアンプヘッドとKemper Profiling Amplifierの寸法・重量を比較してみます。こちらのデータはカタログスペックを参照したもので、実測値とは若干の誤差が生じる場合があります。あらかじめご了承ください。
Marshall – JVM410H
750W×310H×215D mm 22 kg
ENGL – INVADER II E642/2
71W×27H×29D cm 21 kg
Mesa/Boogie – Dual Rectifier Road King SERIES II Head
704.9W×266.7H×282.6D mm 25.86 kg
Kemper Profiling Amplifier – POWERHEAD
378W×173D×217H mm 6.5kg
Kemper Profiling Amplifier – POWERRACK
483W×220D×139H mm 6.18kg
実際にはこれにラックケースやハードケースの重量がプラスされるので単純には比較出来ませんが、およそ15〜20kgほどKEMPERの方が軽量と言うことが出来ます。サイズに関してもかなり小型なのが伺えると思います。
4.内蔵エフェクトが優秀で、外部エフェクターが不要
サウンドにこだわりのあるギタリストほど、足元のエフェクターケースは大型化し、配線も複雑化する傾向にあります。エフェクター一つ一つは小型で重量も大したことはありませんが、スイッチャーを導入してストンプボックスを集中管理し始めると、かなりの重量物に変化します。
ストンプエフェクターが増えることで使用するケーブル総長も長くなり、重量増加が加速します。なにより、電気的な接点が増えることで外来ノイズの影響を受けやすくなったり、接触不良やケーブルの断線などケーブル周りのトラブルが起こる危険性が高まります。
個性的なストンプボックスを並べて個性溢れるサウンドを奏でているかっこいいギタリストも多くいますが、Profiling Amplifier一台で完結することで機材の点数が少なくなりセッティングもスピーディーになるため、他のメンバーを待たせることも少なくなります。
これに関しては多くのギタープリアンプ、マルチエフェクターにも言えることですが、Profiling Amplifierには一通りのエフェクトが内蔵されていて、それらのクオリティーも高いために別途外部エフェクターを持ち運ぶ必要はありません。
また、視認性の高いチューナーも搭載しており、本番中にチューナーを繋いでおく必要がありません。チューニング中は自動的に出力をMUTEすることが可能です。
フットコントローラー
外部エフェクターが必要無い、とは言ってもライブ演奏中にサウンドを切り替える必要があるため、フットコントローラーは必要です。Profiling Amplifierの制御には一般的な汎用MIDIコントローラーが使用可能です。RIGの切り替えだけでなく、当然CCを使用したボリュームやモジュレーションのコントロールにも対応しています。
専用のフットコントローラーProfiler REMOTEを使用する場合は、付属する専用のケーブルでProfiling Amplifier本体から電源を供給することが可能なため、足元周りが非常にスッキリします。
REMOTEにも外部スイッチやエクスプレッションペダルを最大4台接続可能なため、Profiling Amplifierとスイッチ、ペダル間のケーブルを接続しなくて済むのもよいですね。
内蔵チューナーを使用したチューニングの際にもREMOTEのディスプレイとLEDでチューニング状況を確認することが出来ます。チューナーもREMOTEから起動可能なので、ライブ中に後ろを振り向く必要がないのもメリットです。
また、REMOTEを使用することでProfiling Amplifier本体でLooperエフェクトも使用することが可能です。Looperエフェクトを使用されている方は同時に導入するのもよいかも知れません。
5.LINE出力が高品質、リアンプ入力もレベル調整が可能
豊富な出力端子を使用してライブ会場でのLINE出しはもちろん、DAWを使用したギター録音の際にもKemper Profiling Amplifierは大活躍します。
ライブ会場でLINE出力を使用することで、会場のギターアンプやキャビネットをモニターとして使用し、客席側には実際のギターアンプからプロファイリングしたキャビネットを通したサウンドを出力することが可能です。MAIN OUTPUTにもMONITOR EQとは別にEQが備わっているため、会場に合わせての微調整も可能です。
DAWでのレコーディング時には、録音したギターのドライ音を本体背面のALTERNATIVE INPUTやRETURN INPUTに接続し、REAMP SENSEを調節する。あとはRIGを選択するだけでコンピューターのCPUに負荷をかけない、高品位なリアンプが可能になります。
なお、本題とはそれますが、リアンプに使用したRIGは今後のリテイクに備えてリアンプ後に必ずSTOREしておきましょう。
Kemper Profiling Amplifier / POWERHEAD
Kemper Profiling Amplifier / POWERHEAD + REMOTE
3行でまとめると
- アナログのアンプヘッドと比べて多機能で軽量!
- 内蔵エフェクトも充実でこれ一台で完結可能!
- LINE出しやDAWでの録音も可能!
最後に
私自身、音質面よりもどちらかというと、持ち運びの面で大きなメリットを感じています。当然、レコーディングでも使用していて、音質面でも満足しているのですが一番のメリットは小型軽量なところや真空管のメンテナンスが必要ないところではないかと思います。
現在、FRACTAL AUDIO DESIGNやHELIX、Positive Gridなどからも高級プリアンプが出ていますが、ユーザーレベルで実際のアンプのサウンドを取り込めるという点ではKemper Profiling Amplifierが一歩リードしているのかな、と感じています。
コンピューター場でのエディターが、この記事を書いている段階ではリリースされていないところや、ディスプレイの表示など改善していただきたいところはいくつかありますが、これからのファームウェアアップデートに期待しつつ気長にお付き合いをさせていただこうと思ってます。
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