現役エンジニアが教える!おすすめEQプラグイン5種パート2
前回のおすすめEQプラグインに続いて今回も5種のおすすめEQプラグインをご紹介していきます。
前回の記事はこちら
同一のEQを複数のチャンネルにインサートすることで、キャラクターが揃ったMIXになり、サウンドの一体感が出てくるのですが、デメリットとして、ブースト帯域とカーブが同じなことでサウンドがダンゴになり、抜けないサウンド、平坦なMIXになってしまうことが挙げられます。
逆にキャラクターの異なる複数のEQを使用してMIXを組み立てていくことで、MIXに奥行きを持たせることが可能になります。今回、前回の記事を参考に各種EQを使い分けて奥行き感のあるMIXをしてみてください。
また、基本的なEQの使用法については下記記事もチェックしてみてください。
目次
Filter Bank
McDSP
今回ご紹介するEQの1つ目は、ProToolsでは定番の緑のEQ、Filter Bankです。2016年にVSTやAUにも対応し、ProTools以外のDAWユーザーにも身近になりました。私は、主にカット用のEQとして使用しています。余計な色付けがなく、設定通りに効いてくれるEQといった印象です。
Filter BankはF202、E606、P606の3つのプラグインからなるEQバンドルです。どのプラグインも低負荷で、かかり具合も操作系もシンプルで使いやすいEQです。
私は中でもF202を使用することが多く、特有のフィルターカーブが大変おすすめです。
F202
F202はHPF/LPFのみのシンプルなフィルタープラグインですが、カットオフ周波数付近にPEAKを設定することが可能です。このPEAKで各トラックのローエンド、ハイエンドを作成し、MIXの中で際立たせることが可能です。
E606
E606はHPF/LPFとLOW/HIGHバンドのシェルビングEQ、LMF/HMFのパラメトリックベルEQから構成されるEQです。LOW/HIGHバンドでは、シェルビングカーブを詳細に設定可能です。HPF/LPFとLOW/HIGHバンドを組み合わせて思い通りのカーブを作成することが可能です。
アナログモデリングのEQを使用する必要性を感じないトラックには、これかREQを1つだけインサートしてサウンドを決めてしまうこともあります。
P606
P606はフルパラメトリックの6バンドEQです。グラフの見た目通りに作用するEQでカットに使用するとサウンドの曇りがしっかりと取れて、MIXにスペースを与えてくれます。
E606ではQの幅がQ=4までしか設定できませんが、こちらのP606ではQ=10まで設定できます。これにより、より狭い帯域をピンポイントでカットするのに適しています。最も狭いQ幅で大胆にカットをしても不自然になることがないのも魅力です。
PuigTec EQs
Waves
2つ目にご紹介するのは、かの有名なPultecの真空管EQのモデリングプラグインで、LOW/HIGHレンジに相当するEQP-1AとMEQ-5の2つのプラグインから構成されています。
Pultec EQ、Tube Tech EQ共にWaves以外にも各社からモデリングプラグインがリリースされています。
私は主にブースト用のEQとして使用していますが中域用EQ、MEQ-5のDIPにより、ミッドレンジのカットを行うことも可能でPuigTec EQ独特のサウンドを得ることが可能です。
パッと見た感じでは、それぞれのつまみの機能がわからないので若干扱いづらいEQという印象を受けますが、使ってみると癖になるEQです。
EQP-1A
PuigTec EQだけではなく、Pultec、Tube Tech全般のインターフェースはGAINがないモデルもありますが、画像のような感じです。実機にはGAINとMAINS(電源周波数選択)はありません。
下段のLOW FREQUENCTでLOWバンドでEQを作用させる周波数を決定します。ここまでは一般的なEQと同じです。
ここからが特徴的な部分で、上段左のBOOSTつまみで、LOWのブースト量を、ATTENでLOWのカット量をそれぞれ設定可能です。同一の中心周波数のブーストカットが同時に行うことができるのがPultec EQの最大の特徴になっています。BOOST/ATTENのつまみは0の目盛りの位置でフラットになっています。
高域に関しては、HIGH FREQUENCYでブースト周波数を決定し、BOOSTでブースト量を決定、BAND WIDTHでQの幅を設定します。また、ATTEN SELでカットする周波数を設定し、ATTENでカットを行うことができます。
MEQ-5
MEQ-5に関しては3バンドのパラメトリックEQなのですが、一番左と一番右のPEAKと表記されている周波数バンドはブーストのみ、真ん中のDIPと表記されている周波数バンドはカットのみに使用できます。
API 550A & API 550B EQ
Waves
続いてはWavesからAPI500シリーズEQ550A/Bのモデリングプラグインです。ブースト/カットの値によってQが変わる『プロポーショナルQ』が採用されていて、ブースト/カットが大きくなればQが狭くなるため、緩やかなカーブのブースト/カットから、ピンポイントでのブースト/カットまで、幅広く使用できます。
550Aは3バンド、550Bは4バンドEQでそれぞれ選択可能な帯域が微妙に異なります。
WavesのAPIシリーズはアナログ回路特有のノイズを含めて非常に丁寧にモデリングされています。私はホワイトノイズが気になるので、WavesのアナログシリーズのANALOGスイッチはOFFにしてしまいますが、そこまでモデリングされているのが印象的です。
使用ポイントはブースト用EQで、ドライブサウンドのギタートラックの高域やをこのEQでブーストすると、無理のない抜け感が演出できます。
また、バスに挿して15kとか20kと30Hzを2dBだけブーストするような使い方もおすすめです。ローエンドとハイエンドを緩やかに持ち上げてくれるので、MIXのレンジ感が広がります。
Trident® A-Range Classic Console EQ
Universal Audio
世界中で13台しか生産されていないTrident A-RangeコンソールのEQセクションのモデリングEQです。オリジナルが世界で13台しかないのに、なぜそれをモデリングしようと思ったのかは大きな疑問ですが、実力は確かです。
各バンドのGAIN調整をツマミではなく、フェーダーで行う一風変わったEQです。新鮮な感覚とサウンド両面で、触っているだけで楽しいEQですね。
各周波数バンドの設定値が絶妙で、7kHzをカットしながら8kHzをブーストなどの設定を行うことで、不要な帯域を抑えつつ目的の帯域のみをブーストすることが可能です。このEQもギターのドライブサウンドの中高域をブーストするのによく使用しています。
ちなみに、Trident EQのネイティブ版プラグインは、Softubeからリリースされています。
Neve 1073 Preamp & EQ Collection
Universal Audio
プリアンプ/EQの王様、NEVE1073のモデリングプラグインです。NEVE 1073はモデリングハードウェアも多くリリースされている大人気プリアンプ/EQです。
プリアンプセクション含めて丁寧にモデリングされていて、プリアンプセクションを通しただけでサウンドが一歩前に出てくるような印象を受けます。
軽めのブーストに多用していて、メインボーカルなど主役級のトラックに使用して音像を自然に前に出したり、ベーストラックの低域の質感を整えたり、ドラムバスに挿してサウンドを派手に飾ったりというようにどんなものにでの使ってしまう魅力があります。
こちらも各社からモデリングプラグインがリリースされています。私もいくつか使用してきましたが、実機に近いかどうかは置いておいて、UAD-2の1073が一番しっくりきています。
3行でまとめると
- EQのキャラクターをうまく活用!
- 適材適所なEQ配置を!
- でも、結局は使い慣れたEQが一番!
最後に
前回に引き続きおすすめEQ5種をご紹介してみました。
前回の記事はこちら
今回もいわゆるド定番のEQを中心にご紹介しています。
みなさん色々なプラグインを使用していらっしゃると思うのですが、定番の良さ、みたいなものを感じていただければと思います。
基本的なEQの使用法については以下の記事をご参照ください。
より実践的な組み合わせによるEQについてはこちらをご覧ください。
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