今回はタイトルの通りリバーブの各パラメーターについてです。
リバーブのパラメーターって解りづらい項目が多いと思うんです。英語表記のものを直訳しても全く意味が伝わらなかったり、メーカーによって同じ項目でも表現がまちまちだったりとかで。
今回の記事では、全てのリバーブのパラメーターを網羅するのは困難なので、標準的なデジタルリバーブのパラメーターについて解説していきます。
当記事で解説するに当たって、参考にAvid社のD-Verbを使用していきます。D-Verbは基本的な機能をしっかり押さえている上でパラメーターが多すぎないので初心者にもとっつきやすい、良いReverbだと思います。なにより軽い。
機種によっては他の表記がなされていたり、もっと多くのパラメーターが存在するかと思いますが、ご参考になれば幸いです。
目次
Reverbのパラメーター
こちらがD-Verbのプラグイン画面です。シンプルかつ触れるところがあまりないのでセッティングに悩まないのがよいところです。
では、各パラメーターについて見ていきましょう。
GAIN
画面左端のフェーダーがGAINです。他の機種だとINPUTやINPUT LEVELなどと表記されている場合もあります。
こちらのパラメーターは見た目の通り、数値を大きくすると、リバーブエフェクトに送られる信号が大きくなります。リバーブはAUXバスにインサートし、センドを使用して使うことが多く、AUXバスのフェーダーでリターンレベルを調整できるため、インプットでレベルコントロールすることはあまりありません。
ほとんどの機種でマイナスの値しか設定できないとは思いますが、プラスの値を設定するとリバーブのインプット段でクリップが発生する恐れがあります。リバーブのリターンレベルを調整したい場合はアウトプットレベルやトラックフェーダーで調整するようにしましょう。
また、通常使用する際には標準値でよいでしょう。
センドエフェクトの使用方法については下記記事をご参照ください。
REVERB TYPE
画面上部の[HALL]とか[CHURCH]というボタンが並んでいるセクションでは、必要なリバーブタイプを選択することができます。
またその下段の[SMALL][MEDIUM][LARGE]はそれぞれのリバーブタイプでシミュレートする部屋などの広さをコントロールするパラメーターです。当然LARGEの方が広く、残響音も長くなります。
各リバーブタイプの特徴については下記記事をご参照ください。
DECAY
リバーブ音の長さをコントロールするパラメーターです。一般的にはREVERB TIMEという表記のプラグインの方が多い印象があります。
意味としてはリバーブ音が減衰するまでの長さを、ほとんどの場合『秒(s)』の単位で設定します。画像の例だとリバーブ音は4.5秒間なり続けます。だいぶ長めのリバーブということができます。
PRE-DELAY
リバーブ音が出力されるまでの時間です。
原音が鳴った瞬間からリバーブ音がなり始めると、音の分離が悪くなり、結果としてリバーブ音が目立たずにかけすぎてしまう場合があります。また、原音とリバーブ音が団子状になって聞き取りづらい場合があります。
このことを避けるためにリバーブ音を遅らせて発音させるために、リバーブ前段にディレイが入っています。PRE-DELAYではこのディレイタイムをコントロールします。
コントロールの単位は大体の場合1/1000秒=ミリ秒=msです。
注意点としては、30ms以上のPRE-DELAYを使用すると原音とリバーブ音が完全に分離して聞こえてしまうことが挙げられます。特殊な効果を狙う場合以外は20ms程度までに止めておくのが無難です。
どうしても原音との分離が悪い場合には後述のフィルターを使用するか、リバーブの後段にEQをインサートして調整するのがよいでしょう。
DIFFUSION
聞きなれない英単語ですが、直訳すると『拡散』です。
意味合いとしては、ステレオミックス内でのリバーブ音の広がりを表しています。機種によってはWIDTHやSTEREO WIDTHと表現されているものもあります。感覚としてどちらの表記も半分半分くらいでしょうか…。
このパラメーターは100%に近づくほどステレオ感が強く、0%にすると完全にモノラルになる機種が多い印象です。基本的には初期設定で80%以上の値が設定されている場合が多いと思います。
リバーブをかける狙いの一つとして、ステレオ感を出すというものがあります。DIFFUSIONの値をあまり小さくするとこの効果が得られなくなってしまうことにご注意ください。
なれないうちは初期設定から触らなくてOKだと思います。
MIX
MIXは、原音とリバーブ音の比率をコントロールするパラメーターです。
100%でWET(リバーブ音)のみ、0%でDRY(原音)のみが出力されます。
センドリターンでリバーブを使用する際には100%WETで使用します。
HF CUT
High Frequency Cutの略です。
リバーブの種類によっては高音域がかなりキンキンして耳につくため、このパラメーターで設定した周波数より高い帯域のリバーブ音をカットします。
LP FILTER
このパラメーターもHF CUTと同様リバーブ音の高域を調整するためのものですが、フィルターをかけて減衰させることで、HF CUTよりも緩やかに高域を調整することができます。
LP FILTERとはLOW PASS FILTERの略です。他にもLPFという表記がなされている場合があります。また、HF CUTとLP FILTERはどちらかしか備わっていない機種もあります。
先ほどPRE-DELAYの項でも触れましたが、リバーブ音を細かく調整したい場合は、リバーブの後段にEQをインサートして調整することをお勧めします。
3行でまとめると
- 表記は様々だけど、基本は一緒
- 分離が悪いと感じたらPRE-DELAY
- 音質調整は前段・後段にEQをインサートして行う
最後に
リバーブってCD聴いたりライブ観たりしてると、かかってて当然のものなんです、でも、デジタルリバーブなどで、後から響きを足したら本来は不自然なんですよ。だから、できる限り自然に聞こえるように、リアルさを求めてかけるんです。
とっても繊細な調整をすることになるし、トータルコンプ一発で狙いのバランスから外れてしまうんです。だから、慎重に慎重を重ねて調整してみてください。
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