EQ

エフェクトの基本!EQ(イコライザー)の役割とパラメーター

DAWなどでしばしば目にするEQとは、EQualizer=イコライザーのことを指します。

Equalとは記号で表すと「=」で、和訳すると「等しい」という意味です。Equalizeは動詞系で「等しくする」、「均衡を取る」という意味になってきます。Equalizerは「等しくするもの」、「均衡を取るもの」といった訳になってくるでしょうか。

DAWに限らず、MIXの基本中の基本=イコライザーはMIX内で周波数ごとの均衡をとるものとして、また、頭の中で描いている理想のサウンドと、実際のサウンドを等しくするものとして機能します。

簡単にご紹介してきましたが、今回はイコライザーとは何者なのかについて詳しく説明していきます。



目次

EQで出来ること

簡単に言うと、EQでは各周波数帯域ごとに音量を上下させることができます。また、作用させる周波数が低ければ低い音、高ければ高い音をコントロールすることができます。

EQを使用することで各トラックの音を加工したり、MIX全体の音質を調整することが可能です。ミニコンポやポータブルオーディオプレイヤーなどにも簡易的なEQが搭載されていて音質調整が可能なモデルもありますよね。

EQはツマミで各帯域の音量を調整可能な『パラメトリックイコライザー』と、小さなフェーダーが幾つか並んでいて視覚的に分かりやすい『グラフィックイコライザー』に分類されます。

ここからは、DAWで主に使用される『パラメトリックイコライザー』について解説していきます。

EQのパラメータ

それでは実際、EQをコントロールするパラメータについて確認していきます。ハードウェア、プラグイン問わず一般的なEQには以下のような調整項目があります。

アナログ機材を模したものや、ハードウェアのEQでは搭載されていないパラメーターもありますが、基本的なEQやEQプラグインでは以下の項目が設定可能です。

BAND

パラメーターではないのですが、用語解説としてまずはBANDの概念を解説していきます。

1台または1つのプラグインEQで調整可能なEQのポイントの数のことをBAND(バンド)と呼びます。3バンドEQでは3カ所、4バンドEQでは4カ所の周波数ポイントを調整可能です。また、LOW、MID、HIGHなど各帯域に分離されていて、それぞれのFREQUANCYが固定されているモデルもあります。

画像はAvid EQ3で、5バンドのEQ+HPF/LPFという構成のEQプラグインです。LF/LMF/MF/HMF/HFで区切られている5箇所のEQ処理が可能です。

PAスピーカーのチューニングなどに使用されるグラフィックイコライザーは、30〜31バンドのものが一般的です。

FREQUENCY

FREQUENCY(フリケンシー)は日本語にすると『周波数』で、EQで調整する中心周波数を設定する項目です。一般的なEQでは人間の可聴周波数帯域に合わせて20Hz〜20kHz(20000Hz)から調整できます。設定した周波数を『EQポイント』なんて呼ぶことが多いです。

上の画像では、各周波数帯にFREQと表示されているのがFrequencyコントロールです。

モデルによっては、各帯域のFREQUENCYが固定されていたり、各バンドごとにFREQUENCYの調整範囲が決まっているものもあります。

GAIN

GAIN(ゲイン)は日本語にすると『利得』です。あまり耳馴染みのない言葉ですが、DAWや音響機器では音声信号の大きさや増幅幅のことを指します。

ちなみに、ギターアンプではプリアンプ段の増幅量を指しています。GAINを大きく設定したことで、プリアンプ段が増幅過多で歪んでいることをオーバードライブと呼び、これがオーバードライブサウンドの元となったわけです。

EQでのGAINでは0が標準状態で、GAINを+値にすることでFRECUENCYで設定した周波数帯域の音を大きく、-値にすることで小さくすることができます。大きくすることを『ブーストする』、小さくすることを『カットする』と言います。

Q

FREQUENCYで設定した周波数を中心にどれ位の幅で調整を行うかを設定する項目です。数値が大きければ狭い、小さければ広い範囲を調整可能です。

また、アルファベットの『U』の形の幅でQ値を表しているモデルや、Qが固定されていてこの調整項目が無いモデルもあります。

また、APIのEQにはプロポーショナルQと呼ばれる、GAINとQが連動して可変するモデルがあります。当然マニュアルでのQ設定は不可能ですが、細く鋭いブーストや広い帯域でうっすらブースト・カットが行えるなど理にかなった仕様になっています。

Qが大きい=幅が狭いEQ

Qが大きい状態では細く鋭いシェイプのEQが可能です。

Qが小さい=幅が広いEQ

逆にQが小さいEQでは中心を基準に広い範囲に影響を与えるEQが可能です。




SHELF EQ

複数あるバンドの一番低域と一番高域のバンドで設定可能なことが多い項目です。低域側をLOW SHELF EQ、高域側をHIGH SHELF EQと表します。調整項目が無い場合は、LOWとHIGHはSHELF EQ固定の場合が多いです。

先ほどのAvid EQの画像では、作用する帯域を表す記号がLFとHFにだけ備わっているのが確認できますね。

LOW SHELF EQでは設定したFREQUENCYよりも低域を、HIGH SHELF EQでは設定したFREQUENCYよりも高域をまとめて調整します。

ちなみに、SHELF EQはシェルビングEQと読みます。

ピーキングEQ=ベルEQ

画像のようにMIDバンドなどと同様に上下対称なEQが可能です。

シェルビングEQ

高域側のシェルビングEQを使用すると、このように決まった周波数以上の信号をまとめて持ち上げることが出来ます。

HPF/LPF

それぞれ、HIGH PASS FILTER、LOW PASS FILTERの略称です。HPFでは設定した周波数より低域を、LOW PASS FILTERでは設定した周波数より高域をカットします。

名前で混乱しやすいのですが、HIGH PASS=HIGHを通す=LOWをカット、LOW PASS=LOWを通す=HIGHをカットというところです。モデルによってはカットするカーブを設定可能なものや、周波数が固定のもの、LOW CUTやHIGH CUTと記載されているものがあります。

HPFとローシェルビングEQでのカットは同じ低域をまとめて処理する機能を持っていますが、そのカーブは全く異なるものです。シェルビングEQが決められた帯域より下の帯域をまとめて5dBのように、カット量を決めてカットするのに対して、HPFでは12dB/Octといった数値でカーブを設定します。

dB/Octはデシベル毎オクターブと読みます。12dB/Octでは1オクターブ下がるごとに12dB下がるカーブでフィルターがかかります。

HPFについては以下の記事で詳しく解説しています。




3行でまとめると

  • BANDごとにFREQUENCYで周波数を決定!
  • GAINでブースト/カット!
  • Qで周りの巻き込み具合を設定!

最後に

さて、今回はMIXには欠かせないEQ=イコライザーの機能とパラメーターをご紹介してきました。

プラグインEQでは作用具合がグラフィカルに確認できるモデルが多いですが、アナログ機器やモデリングEQプラグインではEQの作用が視覚的に確認できないモデルがほとんどです。加えて基本的なエフェクト過ぎるためか、説明書類も不親切なものが多く、機能を把握出来ていない状態で使っている方も少なくありません。

プラグインにしろ、ハードウェアにしろ、エフェクトは道具です。道具の使い方がわからなくてはMIXはできないので初歩的な部分ですが確認してきました。

EQの実践的な使用方法については以下の記事を参考にしてみてください。


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