自作ケーブルを製作するときに必要なパーツの一つがコネクタです。
当たり前ですが、ケーブルの両端に取り付けて使用します。
今回は自作ケーブルでコネクタに悩んだときのための、オススメコネクタをコネクタ種ごとにご紹介して行きます。
ケーブル作成の方法については以下のリンクをご覧ください。
また、ケーブルの線材については下記リンクをご参照ください。
また、今回ご紹介するコネクタよりも安価なコネクタ類もあるのですが、強度面で信頼ができないので当ブログではご紹介いたしません。現場でも使用している、音質・耐久性ともに優れたものをご紹介してまいりますのでご安心ください。
目次
フォーンコネクタ
まずは、ギター・ベースのシールドに主に使用されるフォーンコネクタをご紹介していきます。
コネクタの呼び方として、「フォーンコネクタ」、「標準コネクタ」、「モノラル標準コネクタ」、「TSコネクタ」、「#100」、「47」などがあります。前半の呼び方が一般的なもので、後半に行くと伝わらなくなって行きます。
Switchcraft / 280 380 226 184
長らく業界標準となっているSwitchcraft製のフォーンコネクタ280です。
堅牢な真鍮製ボディとシンプルな外見で信頼感があります。
なぜ、この280が業界標準かと言うと、楽器やエフェクターのジャック側にSwitchcraft製11が多く使われているから、という点が大きいところになっています。当然、同じ会社が作っているものなので、しっかりと試験されていて、ジャックとプラグの相性問題に悩まされることがありません。
パッチケーブルなどに便利なショートタイプの380とサイドジャックにも便利なL字タイプの226、スピーカーケーブル用の184などラインナップも多く、Switchcraft製だけで楽器周りのコネクタは事足ります。
しかしアメリカのケーブルやコネクタ、楽器や音響機器なんかの型番はもう少しなんとかならないものでしょうか。
OYAIDE
P-275M P-275MS P-275L P-275LS P-285M
日本が世界に誇るオヤイデ電気からP-275Mです。日本人の考える型番(?)はわかりやすく、Pでフォン(Phone)コネクタ、2はわからないですが、75が適合ケーブル径7.5mm、Mがモノラルを表しているようです。
日本のJIS規格ではなく、Switchcraftなど海外メーカー同様のJEITR規格に準拠しており、Switchcraft製のジャックとの相性も心配ありません。
P-275Mでは、内部の端子(ターミナル)とジャックに接触する部分が一体成型されていて、通電の際のロスが最小限に抑えられているのが特徴で、音質面・剛性面共に非常に信頼できるコネクタとなっています。
サウンド面では、同じく真鍮+ニッケルメッキのSwitchcraft 280よりも若干ブライトな印象を受けました。高級なケーブルを作成するなら、コネクタも高級なものを、と考える方には非常にオススメできるコネクタです。
こちらのPシリーズにもショートタイプのP-275MS、L字タイプのP-275L、L字ショートのP-275LS、適合径が8.5mmまでのP-285Mなど多くのバリエーションが用意されています。
ちなみに、今回ご紹介した中で、ターミナルとの一体成型はP-275MとP-285Mの2モデルのみです、ご購入の際にはご注意ください。
ケーブルリフレッシュのタイミングで、メインで使用しているシールドのコネクタをP-275M、P-285Mに入れ替えて見ました。他の要素も考えられますが、Switchcraft製の280よりもローエンド・ハイエンド共に伸びている印象を受けています。
ステレオフォーンコネクタ
ステレオフォーンタイプのコネクタは、通常のフォーンタイプを使うシールドのように楽器の入出力に使用されることは少なく、オーディオインターフェース周りの配線や、ラック機器間の配線、ミキサー周りの配線に使用されることが多いです。
そのため、曲げ強度などはシールドよりも重要度が低くなりますが、どうせなら堅牢なものの方が安心感があります。
ステレオフォーンタイプのコネクタに求められるのは、ボディ部分が太くないこと、細かいスペースに3極が集中しているので、各端子間がコネクタ側でしっかりと絶縁されていること、作業がしやすいことなどです。
特に、ラック機器などのジャックが密接している状況で、隣り合ったジャックに挿したコネクタが当たってしまうようなコネクタは避けるべきです。
ステレオフォーンコネクタは、「ステレオフォーン」、「TRS(フォーン)」、「ステレオ標準」、「バランスフォーン」、「3P(フォーン)」、「#110」などと好き放題呼ばれています。あまり口頭でやり取りすることは無いコネクタですが、悩ましいところです。前例の通り、先に紹介した呼び方の方が一般的です。
Switchcraft / 297
フォーンコネクタはやはり、安心と信頼のスイッチクラフト製です。ステレオフォーンは297です。内部の構造も280同様しっかりしていて、各端子間の絶縁にも問題ありません。
他の特徴も280とほぼ同様です。また、ここまでご紹介してきたフォーンタイプ全般に言えることですが、個人的にはフォーンコネクタには、端子がニッケルメッキのコネクタを好んで使用しています。金メッキのものは音が鈍るような印象を受けるものが多い、と言うのがその理由です。
バリエーションにL字タイプの236がありますが、L字のTRSを使う局面が、エクスプレッションペダルとエフェクターの接続など特殊な例しか思いつかないのでここではご紹介を控えさせていただきます。
OYAIDE / P-275T
オヤイデPシリーズのTRSコネクタです。こちらも特に言うことはございません。TRSフォーンの複雑な形状をCNCで削り出しているというのが驚きです。
実際に私もオーディオインターフェース→モニタースピーカー間のケーブルにこのP-275Tを使用していますが、音量をあげなくてもローエンドとハイエンドが見えやすくなったような気がしています。ハンダとケーブルの先端も同時にリフレッシュしたので、どちらの影響かはっきりはわかりませんでしたが…。
それよりも、コネクタを挿した時のガチっと止まっている安心感の方が印象的でしたね。
こちらにはバリエーションとして、P-285Tがあります。径の大きいケーブルを使用してTRS-XLRなどを作成する際にはこちらを使用するのがよいでしょう。
熱収縮チューブをかけたケーブルなども径が太くなってしまうので、使用するケーブル径はしっかり確認しておきましょう。不用意に大きい径のコネクタを使うと隙間が生じてノイズの原因になりえます。
XLRコネクタ
続いては、XLRコネクタ、いわゆるキャノンコネクタをご紹介していきます。文語ではXLRが一般的ですが、口語では「キャノン」と呼ぶことが多いです。広く使われているものはピンの数が3本ですが、2〜7極のものがあるので、購入時には注意しましょう。
呼び方は、「XLR(F/M)」、「キャノン(オス/メス)」、「11c/12c」などがありますが、前述の通り文語ではXLR、口語ではキャノンでまず通じます。
また、フォーンコネクタと違い、オス、メスの向きがあります。通説として、信号をケーブルの文字が読める方向に流すのが良い、とされています。ケーブルの文字の頭にメスコネクタ、終わりにオスコネクタを装着するのが望ましいです。
オーディオテクニカ製などの一部のケーブルには向きが指定されているものがあるので注意しましょう。
個人的には向きにはあまりこだわりませんが、納品モノでは絶対に守るようにしています。
コネクタ選定の基準は使用する場所によって異なります。コンサート・ライブ現場では、バラし時などにメス側を持って巻いていく、つまりオス側のコネクタを引き摺り回すので、爪が折れない構造になっているものが好まれます。また、マイクが目立たないように黒色のコネクタを指定されることもあります。
逆に、レコーディングやDTM環境では、強度よりも音質面が最優先されます。
ITT / XLR3-11C XLR3-12C
まずは、ITTのXLR3-11C(メスコネクタ)とXLR3-12C(オスコネクタ)です。
もともと、ITT CANNON(アイティーティーキャノン)という会社名で、何を隠そうこのCANNONがキャノンコネクタと呼ばれる由来となっています。
堅牢なボディ、といった点では他の追従を許さない丈夫さを誇っています。
組み立てにドライバーが必要な点や、長期的に使用しているとネジが緩んで抜け落ちてしまうため、コネクタ全体に熱収縮チューブを使用しないと安心できない、などの点が残念ですが、未だに業界でかなりのシェアを誇っています。
また、広く使用されているCANARE製の音響用マルチケーブルの受けがITT製ということもあり、相性を考えてITT製を使用することも多いです。
NEUTRIK / NC3FXX NC3MXX
現代の主流、NEUTRIK(ノイトリック)製のNC3FXX(メスコネクタ)とNC3MXX(オスコネクタ)のご紹介です。
音響機器のジャック(レセプタクル)は現在、そのほとんどがNEUTRIK社製です。そのため、相性を考えるとキャノンコネクタにNEUTRIKを使うのは必然の流れなのではないでしょうか。
先代のNEUTRIKコネクタは、オスの爪が欠けたり曲がったり、メスの爪収納ボタンが外れたり曲がったりと散々な評価でしたが、モデルチェンジ後は比較的安定しています。
また、ドライバーを使わずに組み立てることが可能な点もNEUTRIKが出回り始めた当時は画期的でした。
バリエーションとして、黒色ハウジングのNC3FXX-B(メス)とNC3MXX-Bがあります。
こちらのモデルは端子が金メッキされていて、サウンド面でも銀色の無印シリーズとは異なるので、混在させる場合などには注意が必要です。
FURUTECH / FP-702F(G) FP-701M(G)
高級オーディオ界の雄、FURUTECH(フルテック)のオーディオグレードコネクタのベーシッククラスに当たるモデルです。なんと端子部は24kメッキ、純金ですよ、純金!
オーディオグレードとは、オーディオ用に最適化された、言い方を選ばなければ金に糸目をつけずに、音質的に有利になることはなんでもやるシリーズです。信頼性のホスピタルグレード電源などは一般的にも使用しますが、オーディオグレードのハイエンドはその価格に手が出づらい場所に存在します。
このFP-700シリーズはオーディオグレードの中でもベーシッククラスと言うことで、一般的なコネクタよりも高価ではあるものの、手が届かないレベルではない、丁度良い塩梅の価格設定になっていると思います。
ちなみに、FURUTECHはもともと、古河電工の一部門だったのですが、世界のオーディオマニアやレコーディングエンジニアなど耳の肥えた人々からの圧倒的な評価を受けて株式会社になった日本の企業です。
ハウジング部分はずっしりとした銅合金製で、金属部分にはクライオ処理(-196℃)を施し、電気的な素性を安定させたモデルです。さらに前述の純金メッキです。
これはQAC-222と組み合わせてボーカルレコーディング用に使用していますが、同じボーカリストの声でも中域〜高域の情報量がNEUTRIK製のコネクタよりも増えたような印象を受けています。若干ですが…。
強度も銅合金製なので申し分ない、ハズです。と言うのも、引き摺り回すような現場で使用したことが無いのと、これからも引き摺り回す予定が無いからです。
ちなみに、さらに上位のFP600シリーズやCM600シリーズも存在します。残念ながら使用したことがないので、ここではご紹介を控えさせていただきます。
RCAコネクタ
エレキギターやエレキベースなどの楽器ではあまり馴染みのないRCAコネクタですが、DJ用のCDプレイヤーやミニコンポのアナログ入力などによく使われています。また、S/PDIFの同軸デジタル端子(COAX)もRCA形状ですね。
「RCA」以外にも「ピン」と呼ばれたりします。
RCAケーブルの自作は、特にDJの方にオススメのカスタマイズの一つです。DJ機器などに付属してくるケーブルよりも端子全体が金属製のコネクタの方が耐久力や耐ノイズ性の点で大きく優っています。
コネクタ選びで注意する点は、コネクタのサイズが一番にあげられるでしょう。RCAを使用したアナログライン入出力のほとんどはLRのステレオ入出力です。機器側の入出力端子は当然のごとくLR非常に近い位置に配置されています。
あまり種類もないですが、大型のRCAコネクタを使用してケーブルを作成すると、コネクタ部分が干渉して機器に挿さらないことがあるので注意しましょう。
また、内部のターミナル部分や、ケーブルを通す爪の部分も外見同様コンパクトであることが多いため、太いケーブルや4芯ケーブルを使用する場合、作業難度が上がることにも注意が必要です。個人的には、RCAを使用した-10dBV用のケーブルは引き摺るわけではないはずなので、細めのゲージの単芯、または2芯ケーブルで作成するのがオススメです。
CANARE / F10
ケーブルコネクタの定番、CANARE(カナレ)のF10はケーブルを作り慣れていない方にもオススメできるRCAコネクタです。
適合ケーブル径は6mmまで、スプリング状のケーブル保護部分を外すことで7.5mmまで対応可能です。
RCAコネクタに限らず、保護部分を持たないコネクタは細身のケーブルを使用した場合、コネクタとケーブルの接点でケーブルが破れてしまったりと曲げ強度に難があります。F10を使用することでケーブル自体に力がかかることが少なく、長持ちするケーブルを製作可能です。
また、ハウジングが金属製の胴体であるため、樹脂製のコネクタよりも内部のシールド製が高く、外来ノイズにも強くなっています。
ターミナルも作業しやすい形状で、初めての自作RCAケーブルにはこちらがよいんじゃないでしょうか。
Switchcraft / 3502AAU
こちらは他カテゴリーでもオススメしているSwitchcraft製のRCAコネクタ、3502AUUです。適合ケーブル径は7.2mmまでです。
CANARE製に比べて、ガッチリと挿さる印象で、非常に安心感があります。コネクタ自体のサイズも控えめで干渉によって挿さらない、といったこともありません。
金属製のハウジングで剛性や耐ノイズ性にも不安がなく、その点でも安心です。
こちらのコネクタはケーブルを保護するスプリングなどが付いていません。そのため、ケーブルとコネクタの接合点での曲げ強度を確保するために、熱収縮チューブを被せるなどの対策が必要です。熱収縮チューブは収縮後にある程度の厚みを持ってケーブルを保護してくれますが、その分コネクタ部分でのケーブル径が大きくなります。使用する熱収縮チューブにもよりますが、実質の適合ケーブル径は6mm程度と考えておきましょう。
ステレオミニコネクタ
楽器用に使用することはまずありませんが、ヘッドホン・イヤホンの端子として日常的に目にするのがこちらのステレオミニタイプのコネクタです。
「ステレオミニ(フォーン)」、「ミニステ」、「3.5」などと呼ばれます。
上の画像の用に2本の細いケーブルを使用し、片方にステレオミニ、反対側にLR2つのRCAコネクタやフォーンコネクタを取り付けたケーブルを作成することで、ポータブルオーディオプレイヤーをオーディオインターフェースにアナログ接続したり、DJミキサーと接続したりすることが可能になります。
ギター用のマルチエフェクターのAUX IN端子などにも使用されているため、自宅での練習用に両端ステレオミニのケーブルを用意されている方もいるんじゃないでしょうか。自作であれば、長さを自由に作れるメリットがあります。
先にお断りしておきますが、こちらでご紹介するものに限らず、ステレオミニタイプのコネクタは内部が非常に狭くなっています。それに加えてステレオフォーン同様、内部が3極になっているため、非常に作成難度が高いです。他のケーブルなどで熟練度を高めてから臨んだ方がよいでしょう。
こちらの端子もRCA同様に細めのケーブルを使用してケーブルを作成することが多くなります。前述の通り、曲げ強度確保のために熱収縮チューブなどの対策をとるのがよいでしょう。
また、ステレオミニコネクタを使用することで、ケーブルとコネクタの接続部分が壊れてしまったヘッドホンやイヤホンを自分で修理することが可能です。ものによっては音質の向上も狙えるので試してみてもよいかもしれません。
モニター用ヘッドホンの定番SONY MDR-CD900STのコネクタは前述のステレオフォーンが取り付けられているのですが、汎用性を考えて、これをステレオミニ(+ステレオフォーン変換プラグ)に交換して使用しているスタジオさんやエンジニアさんもいらっしゃいます。利便性を考えたアイディアの勝利みたいな感じですよね。
SONY/ MDR-CD900ST
同じSONY製品でも、他シリーズのモニタリングヘッドホンではステレオミニ+ねじ式のステレオフォーン変換プラグという構成になっています。CD900STには接点数や部品点数を増やさずにストレートに出力するという狙いがあるのではないかと思うので、交換する場合には自己責任でお願いいたします。
さて、話がそれてしまいましたが、ここからステレオミニタイプのコネクタをご紹介していきます。
Switchcraft / 35HDBNS
定番Switchcraft製のステレオミニコネクタ、35HDBNSです。適合ケーブル径が〜4mmまでと、比較的狭いので注意しましょう。
メタルボディで安心感のある作りをしています。ジャックとの接点もしっかりとしていて接触不良が起きづらいのも安心できます。
こちらのコネクタは、コネクタの端子部分と台座の部分に段差が設けられていないので、接続する機器によってはコネクタ形状の干渉によって挿さらない場合がある点に注意が必要です。
OYAIDE / P-3.5 SR
OYAIDE製のステレオミニコネクタ、P-3.5 SRです。安定の国産クオリティです。適合ケーブル径は〜6mmで上記のSwitchcraft製よりも太めのケーブルで使用可能です。
真鍮製の端子に銀メッキ→ロジウムメッキと2段階のメッキを施すことで、音質面だけでなく耐サビ性も高めることに成功しています。メッキの影響かは定かでありませんが、以前ヘッドホンの修理にこちらのコネクタを使用したところ、元のコネクタよりも高域が抜ける用になった経験があります。音質としては若干ブライトな傾向にあると考えて良さそうです。
端子部分と台座の部分に段差が設けられているのもポイントです。これにより、オーディオプレイヤーやスマートフォンなどに接続する際にも、本体やケースと干渉することが少なくストレスがありません。
ラインナップにはL字型のP-3.5 SRLや金メッキ仕上げのP-3.5 Gもあります。
OYAIDE / P-3.5 SRL
ケーブルの介錯に便利なL型と音質調整に便利な金メッキ、痒いところに手が届く秀逸なラインナップです。
電源コネクタ
最後は電源ケーブル用の電源コネクタとIECインレットコネクタのご紹介です。実はこんなものも自作可能です。付属の電源ケーブルでも機器は使用可能なので、他のカテゴリー以上にこのカテゴリーでは音質・安定性といった部分が重要になります。電源は驚くほどに音質に影響を与えています。
「電源なんて入ればいい」と思われる方も多いかと思いますが、アンプヘッドやモニタースピーカー、マイクプリアンプなどのアナログ機器では電源ケーブルの品質差は顕著に現れます。デジタル機器でも、内部にはバッファアンプなどのアナログ部分が設けられています。高品位な電源ケーブル+コネクタを使用することで全体的なサウンドは間違いなく向上します。
最も大きな差は、機器付属の電源ケーブルをオーディオグレードのコネクタを使用したケーブルに変更した際に感じられます。オーディオグレードのコネクタ同士では大きな差は感じられませんが、ギターアンプのヘッド用などアナログ要素の強い部分に使用することで、倍音構成や芯の太さなど確かに電源の影響を感じることができます。
他のケーブルを作成するときもそうですが、電源ケーブルを作成する際には特に、使用前のチェックを確実に行いましょう。音響用の弱電と違い、AC100Vを通すケーブルなので、ショートしていると発火などの恐れがあります。
また、一般的に電源ケーブルには(送電ロス=発熱を避けるため)ハンダを使用せず端子内部のターミナルにケーブルをネジで固定して製作します。専用の圧着端子を使用するものもあるため、付属の取扱説明書やメーカーHPなどを参照し、確実な作業を行うようにしてください。
繰り返しになりますが、AC100Vはショートが原因で発火する恐れがあります。ご自分での作業が不安な方は、紹介しているコネクタを使用した既製品をお使いいただくのもよいでしょう。
FURUTECH / FI-11M(Cu) & FI-11(Cu)
FURUTECHのオーディオグレード電源コネクタFIシリーズです。適合ケーブル径は6.6mm〜16mmです。電源ケーブルはターミナル部分にテンション(張力)がかからないように、コネクタとの境目をネジで固定する構造になっています。そのため、他の種類のコネクタと異なり適合ケーブル径に下端もあるので、こちらを遵守しましょう。
電極部に超低温処理を施されて素性が安定している燐青銅を用いて、あえてメッキを施さず、そのままの電源をロスなく機器まで届けてくれます。
電源部分に限らず、各金属接点でサウンドに影響を与えるのはメッキによるものが大きいです。銀色のメッキは音質をシャープに、金でのメッキは音質を丸くと言われますが、このメッキ部分を排除したことにより、音質に影響を与えない電源を供給してくれます。
メッキがない分、定期的なクリーニングをすることで、品質を維持しましょう。
OYAIDE / P-037 & C-037
オヤイデのP-037、C-037は私も同社の電源ケーブルと組み合わせて使用している、非常にオススメできる電源コネクタ・IECインレットコネクタです。適合ケーブル径は6.5mm〜17mmで、ケーブルの適合ゲージはAWG10(5.5sq)までとなっています。
ケーブルの適合ゲージとはターミナル内部にネジで挟み込む部分に適合しているケーブルの太さを表しています。ここに関しては一般公開情報がないメーカーも多いのですが、オヤイデは細かいところでも信頼のできる仕事をしてくれています。
ブレード(実際にコンセントやインレットと接触する電極)部分には、脱酸りん青銅を使用しており、表面を2回に渡って研磨したのちに、銀メッキ+ロジウムメッキで仕上げられています。とても酸化に強い、と思っていただければ正解です。電源ケーブルの最大の敵、酸化に強いことは大きなメリットになります。
また、導電性・摩擦強度がメッキで確保されていることもあり、メッキレスのものよりもライブ会場などに持ち運んで使用する際のケーブル抜き差しや、輸送中にも安心できるのが大きなポイントです。
音質も色付けが少なく、どんなものにでも使える優秀な電源コネクタです。
3行でまとめると
- DIYなら低予算でケーブルが入手可能!
- コネクタも音質に影響している!
- 持ち運ぶモノは強度を優先して選ぶ!
最後に
ケーブルDIYシリーズ、コネクタ編として各種コネクタをご紹介してきました。
いいものを安価に入手する方法として、ケーブル自作は非常にオススメです。既製品は工程管理や在庫管理などの点で、コネクタ形状のラインナップが少なかったり、ケーブルとの相性といった部分にこだわりきれなかったりと微妙に自分に合わないものが多いのですが、自作することでそれらの問題点をクリアできます。
また、苦労して作ったケーブルを使用してライブやレコーディングを行うことで、一層よい体験になるのではないかと思っています。ぜひ試してみてください。
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